2011年8月25日
大阪地裁で来月始まる放火殺人事件の裁判で、絞首刑が残虐な刑罰を禁じた憲法36条に反するかどうかが争点になり、和田真(まこと)裁判長が違憲性を検討する審理に裁判員の参加を認める異例の決定をしたことがわかった。判決が示す違憲性についての判断に、市民の意見が反映されることになるとみられる。別の事件で絞首刑の違憲性を検討している最高裁の判断にも影響を与える可能性がある。
事件は2009年7月に大阪市此花区で5人が死亡し、10人が重軽傷を負ったパチンコ店放火殺人。殺人罪などに問われた高見素直(すなお)被告(43)の弁護団は検察側の死刑求刑を予測し、公判前に証拠などを絞り込む手続き(非公開)で「絞首刑は頭部が切れたり、即死しなかったりすることがあり残虐だ」として違憲性を争点に加えるよう求めた。
弁護団によると、地裁は公判での主な争点を(1)刑事責任能力の程度(2)絞首刑の違憲性――に決定。裁判員法6条は(憲法などの)法令解釈に関する判断は裁判官が担当し、裁判員らに解釈を検討する審理への参加義務はないとしている。だが、和田裁判長は17日、裁判所の裁量権を定めた裁判員法60条に基づき「裁判員と補充裁判員の審理参加を認める」と判断。審理に加わるかどうかは裁判員らに委ねることにしたという。