西之表市・馬毛島への米空母艦載機陸上離着陸訓練(FCLP)移転問題で22日、防衛省職員による漁業者対象の説明会が市内2カ所で開かれ、同省側はFCLPに伴う漁業補償はないとの見通しを示した。
同市と、隣接する中種子町の漁業者でつくる種子島漁協(山本進組合長)が同省に説明を要請した。24日までに計5カ所で説明会がある。
この日は2カ所で計約70人の漁業者が出席。漁業補償や馬毛島の地権者との交渉経過などについて質問が出た。
漁業補償については、まだ具体的な整備・運用案が未定なため詳細な言及はなかったが、港湾建設などに伴う消滅補償を必要とする一方、FCLPに関しては「空の訓練なので、海上で漁業制限しない」として基本的に補償は発生しない、と説明した。
基地完成までは「環境アセスメント3年、工事5年」との見通しを示したが、地権者との交渉は「土地の測量もできておらず、いつ契約できるか分からない」と話した。また、自衛隊訓練基地の候補先として馬毛島とは別の場所を検討していることも明らかにした。
説明を聴いた同市国上の山神満さん(48)は「詳しい説明がなくて、判断しようがない。防衛に必要かもしれないが、馬毛島近海は豊かな漁場だ」と困惑気味に話した。【村尾哲】
毎日新聞 2011年8月23日 地方版