'11/8/23
被爆の旧電気試験所を解体へ
広島市西区三篠町の被爆建物、旧電気試験所広島出張所が取り壊されることが22日、分かった。年内にも解体され、跡地にはスーパーが建つ予定だ。土地と建物を所有する中国電力の子会社は被爆建物があったことを伝えるため、壁面の一部を生かしたモニュメントを設ける。
市などによると建物は1937年2月に完成した鉄筋2階建て。旧逓信省が電気計器の検定に使っていた。設計は当時の逓信省職員で、後に日本武道館(東京)などの有名建築も手掛けた故山田守氏。上薬を塗ったタイルを壁一面に張るなど逓信省関係の建物のデザインの特徴がよく残っているという。
爆心地から1・79キロの建物は被爆時、爆風で窓ガラスが飛び散った。旧出張所では職員と動員学徒の計4人が死亡、24人が重軽傷を負ったという。
61年以降は中国電力の子会社で不動産管理などの中国企業(中区)が所有。特別民間法人の日本電気計器検定所(東京)が中国支社として使っていたが、今年2月に西区へ移った。老朽化が進んでおり、中国企業が被爆建物として登録する市へ解体を申し出て了承された。
跡地には来夏、スーパーのスパーク(西区)が進出予定で、10月に解体工事が始まる。
市によると、市内の被爆建物は同出張所を含め89件。登録を始めた93年以降、13件が解体された。
【写真説明】タイル張りの外壁が特徴的な旧電気試験所広島出張所。10月にも解体工事が始まる