きょうのコラム「時鐘」 2011年8月25日

 暴力団と関係して引退した芸能人いわく。不適切な交友関係はモラルの問題であり、法に違反してはいない。後輩への示しがつかないから最大の罰を自分に科した、と

政局のニュースを見ようとつけたテレビで延々と会見が続いた。おかげで民主党代表選の報道は後回しになった。どちらが大事かなどと野暮は言わない。テレビにはテレビの論理がある。モラル違反に自ら示しをつけたとの弁も単純明快だった

が、モラルとはしょせん基準のない社会的な縛りである。その芸能界のモラルと同一視するわけではないが、モラル以上に重いはずの「法律」に違反した政治家の示しはどうなるのか考えた

不適切な献金を受け取って外相を辞めた前原議員が民主党代表選に出馬を表明、この問題は「近く国民に説明する」という。後見の経済人も動き始め、支持する閣僚も現れた。党内は過去の違法献金におおむね寛容のようである

示しのつけかたは人それぞれだ。生きる世界で異なって当然だが、モラルの縛りより法律が軽くみられるような法治国家がまっとうなのか、この際考えておいた方がよくはないか。