野田佳彦財務相は24日午前、当面の外国為替市場での円高に対応するための「円高対応緊急パッケージ」を発表した。外国為替特別会計のドル資金1000億ドル(約7.6兆円)を使った資金枠を設定、日本企業が海外の企業や資源権益を買収する原資にする。政府資金を呼び水に民間の海外投資を促し、為替市場に円売り・外貨買いの流れを作り出す狙い。併せて金融機関には外国為替の持ち高報告を求め、投機的な動きを抑制する。
海外投資の促進策では、外為特会からドル資金1000億ドルを使った海外投資の枠組みである「円高対応緊急制度」を創設。日本企業による海外企業のM&A(合併・買収)や資源権益の確保に活用する。
具体的には、同制度から国際協力銀行(JBIC)に6カ月物のロンドン銀行間取引金利(LIBOR)で融資する。JBICはこの低利の資金を使い、他の民間銀行とともに企業に海外投資の資金を提供する。海外企業のM&Aで500億ドル、資源エネルギーの確保・開発に500億ドルを振り向ける予定。このほか、中小企業の輸出支援のためのファンド創設も検討する。
政府資金を呼び水に民間マネーが海外に向かえば、外国為替市場で多額の円売り・外貨買い需要が発生。円高水準の是正につながる。円高のメリットを生かして海外の優良な企業や資源を割安に獲得できる利点もある。
ただ、民間金融機関がリスクを取って融資しなければ、海外投資が思うように進まず、政策の効果が薄れる可能性もある。1000億ドルの融資枠がすべて使われるかどうかは未知数だ。
民間金融機関に対する持ち高報告は、外国為替及び外国貿易法(外為法)に基づく措置。1998年の外為法改正以来、初となる。東京市場で取引の多い銀行や証券会社など約30社に、主要な為替持ち高を毎日報告させる。違反すれば罰則がある。市場の監視の精度を上げる狙いで、当面は9月末まで続ける。
市場関係者からは「持ち高を毎日報告することで、思惑的な売り買いがしにくくなる」との声が出ている。一方で、海外市場での取引参加者は対象外のため、実効性を疑問視する声もある。
最近の為替市場での円高傾向をめぐっては、経済界から対策を求める声が相次いでいた。
政府・日銀は4日に円売り介入を実施したものの、19日のニューヨーク外国為替市場では一時1ドル=75円95銭の最高値を記録。円相場はその後も歴史的な高値圏で推移している。介入効果が短期間で薄れるなど円高対策に手詰まり感が出る中で、政策総動員で取り組む姿勢を鮮明にした。
日経平均(円) | 8,639.61 | -93.40 | 24日 大引 |
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NYダウ(ドル) | 11,174.19 | -2.57 | 24日 12:58 |
英FTSE100 | 5,205.85 | +76.43 | 24日 16:35 |
ドル/円 | 76.76 - .78 | +0.13円安 | 25日 1:51 |
ユーロ/円 | 110.60 - .64 | +0.29円安 | 25日 1:53 |
長期金利(%) | 1.010 | ±0.000 | 24日 15:28 |
NY原油(ドル) | 85.44 | +1.32 | 23日 終値 |
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