農作物価格:高騰…小麦粉など数百品目、7月から値上げ

2011年6月26日 21時14分 更新:6月26日 23時41分

主な値上げ商品と値上げ幅
主な値上げ商品と値上げ幅

 世界的な農作物価格の高騰を背景に、大手食品会社は7月からパンや乾麺、小麦粉など少なくとも数百品目の値上げに踏み切る方針だ。販売価格への反映を検討するスーパーもあり、食卓への影響がじわりと広がりそうだ。3月に相次いで値上げされたコーヒーの場合、大手外食チェーンが6月に値上げしており、今回のパンなどの値上げも「外食産業の値上げにつながる」との見方も出ている。【久田宏、谷多由、新宮達】

 製パン最大手の山崎製パンは7月1日から、食パンなど227品目を平均5%値上げする。原料の小麦価格高騰が原因だ。輸入小麦は全量を政府が買い上げ国内で販売しているが、製粉会社への売り渡し価格が4月に平均18%引き上げられた。昨秋から食用油や砂糖も値上げされ、原油価格の上昇で包装材も高騰。「企業努力では吸収しきれない」(山崎製パン)と判断した。敷島製パンやフジパンも値上げする。日清フーズや昭和産業は家庭用小麦粉やうどんなどを数%引き上げる。

 大手スーパー側は、メーカー側の値上げ分を販売価格に反映させるかどうか対応に苦慮している。あるスーパーは「値上げすれば売り上げに響きかねない」と価格を据え置く意向だが、別のスーパーからは「ある程度、転嫁せざるを得ない」との声が聞かれる。農作物価格の高騰が際立っていた08年、「食パンが200円を超すと、売上高が目に見えて落ちた」(パンメーカー)経緯もあり、難しい判断を迫られそうだ。全国展開するお好み焼きチェーンなど10社が加盟する「上方お好み焼たこ焼協同組合」は「輸入小麦の上がり方は大きかったが、値上げをするとお客が減る。価格転嫁は難しい」とこぼす。

 一方、2年で商品市況価格が2倍以上に跳ね上がったコーヒー豆の場合、その後の外食産業の値上げにつながった。今春、ネスレ日本やUCC上島珈琲が相次いで値上げしたのに続き、日本マクドナルドは6月24日、コーヒーのSサイズを120円から140円に改定。シャノアールが展開する「カフェ・ベローチェ」も1日から、コーヒー関連商品を値上げした。「パンや乾麺などの値上げが外食産業の値上げにつながる」(業界関係者)との見方も出ている。

 小麦など農作物価格は、高成長を続ける新興国の需要に投機マネーの流入が加わり、高い水準にとどまっている。国際商品市況に詳しい丸紅経済研究所の柴田明夫代表は「新興国の経済発展で需要が拡大し、価格帯のステージが上がった。日本の食卓に並ぶ食品価格が今後下がるとは考えにくい」と指摘する。

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