2011年6月25日 21時18分 更新:6月25日 23時58分
東京電力は25日、福島第1原発から出た高濃度の汚染水を浄化するシステムのうち、放射性物質の除去後に塩分を取り除く淡水化装置が正常に作動したことを確認できたと発表した。27日にも試運転状態だった米キュリオン社のセシウム吸着装置の調整が終わるため、システム全体が本格稼働できる見通しが立った。月内に処理済みの淡水を原子炉へ再注入する循環注水冷却システムの稼働を目指す。
東電は当初、原子炉の冷却用に海水を注入したため、発生した高濃度汚染水は塩分濃度が高い。処理した水から塩分を除去せずに原子炉へ入れると、損傷につながる恐れがある。
東電によると、淡水化装置は塩素やナトリウム、微生物などを除去できる「逆浸透膜」に、放射性物質を除いた水を通す。通水前の塩素濃度は1万3000ppmだったのに対し、通水後は49ppmまで減少した。東電は250ppmまで濃度を下げることを目標としていた。
「循環注水冷却」では、油分離装置、キュリオン社製装置、仏アレバ社製除染装置、淡水化装置の順で浄化した水を原子炉冷却のため再利用する。【杉埜水脈、徳野仁子、野田武】