2011年6月25日 11時31分 更新:6月25日 12時39分
日本原子力研究開発機構は、福島第1原発事故で海と大気に放出された放射性物質のうち、半減期が約30年と長いセシウム137が太平洋にどう拡散するかを長期予測した地図を作製した。1年後には日本の沖約4000キロまで楕円(だえん)状に拡散、3年後には米ハワイ、5年後には米西海岸まで広がるが、濃度は低くなるとしている。
半年後(今年9月)のセシウム137の濃度は最も高い地点でも、1950年代の米国の核実験で海が汚染されていた頃の推測値(海水1リットル当たり0.08ベクレル程度)まで低下。7年後には、現在まで残る核実験由来のセシウム濃度の10分の1程度になると予測した。
予測を基に、来年4月時点で最も汚染度が高い海域に生まれ育った魚介類を食べた場合の内部被ばくについても試算した。日本人の年間平均摂取量を食べた場合、1年間で0.0018ミリシーベルトになるという。同機構の中野政尚技術副主幹は「(一般人の年間線量限度の)1ミリシーベルトの500分の1程度で、食べても健康に影響はない」と話す。今回の予測では、放射性物質の海底への堆積(たいせき)は考慮していない。
拡散予測地図は、同機構のホームページ(http://www.jaea.go.jp/)で公表されている。【野田武】