本と映画と政治の批評
by thessalonike5
アクセス数とメール
今日 
昨日 


access countベキコ
since 2004.9.1

ご意見・ご感想



最新のコメント
ラジオながら、長妻氏+湯..
by 玄明 at 22:36
原子力安全委員会委員長斑..
by とらよし at 01:19
今日すごい推理をー 僕..
by 推理の結果ー原爆同様二種の実験 at 00:45
泊原発の営業運転をやめて..
by カプリコン at 09:38
コメントが長すぎてアップ..
by 道産子詩人 at 16:27
>ノルウェイの酸鼻をきわ..
by 異論派 at 12:03
無責任の体系  ほんと..
by NY金魚 at 05:19
「言葉がない」。確かに。..
by ホロン at 02:35
本当に仕事ができる人間は..
by カプリコン at 20:32
最新のトラックバック
以前の記事


access countベキコ
since 2004.9.1


















勝ち馬に乗る小沢一郎 - 72年後の独ソ不可侵条約か
昨日(8/23)の午前と午後、前原誠司と小沢一郎が2人が相次いで稲森和夫を訪ねている。前原誠司が代表選に立候補表明する日の出来事であり、マスコミは、俄然この政治パフォーマンスに注目して報道している。2人とも、訪問予定をマスコミに伝えていて、京セラの社屋から出て来る場面を撮らせていた。稲森和夫が仲介役として動いているというメッセージを発信しているわけだ。また、昨夜は仙谷由人と小沢一郎が直接会談、仙谷由人が小沢一郎に支援を要請する一幕があった。どうやら、小沢一郎は勝ち馬に乗る構えで、対立候補は出さず、前原誠司の「挙党一致」に協力する選択に出るようだ。細野豪志も前原支持を表明した。これで代表選は無風になった。小沢一郎の支持を得られないと知りつつ、海江田万里と鹿野道彦が降りないのは、前原体制の「挙党一致」の中に潜り込む思惑からだろう。代表選の開票直後に、勝者を中心に候補者たちが手を重ねて撮る絵の中に入り、「挙党体制」の大物として重要ポストを得る狙いだ。立候補表明後の記者会見で、前原誠司は「小沢史観からの脱却」を唱え、小沢一郎の議員資格停止処分についても、「執行部の決定を尊重すべき」の立場を崩していない。マスコミは、前原誠司の「挙党一致」の言葉に、「脱・反小沢」の意味を被せて報道しているが、これは巧妙な情報操作であり、前原陣営の策謀に従った狡猾な宣伝工作である。


私は、前原誠司の「挙党一致」について、マスコミ報道とは異なる解釈をする。前原誠司の真意は脱トロイカであり、3人の影響力を党内から一掃し殲滅することだ。小沢派の中で使えそうな若手や小沢ガールは引き抜き、小沢派を解体して、小沢派を反主流派として存続できないようにすることである。これは、従来から仙谷由人ら主流派が策してきた動きで、現在もその基本戦略は変わっていないと思われる。果たして、昨夜(8/23)の会談で、仙谷由人はどのような取引条件を小沢一郎の前に提示したのだろうか。会談は仙谷由人の方から持ちかけたもので、勝ち馬に乗るように要請している。常識的には、ここで何か条件が提示されたと考えるべきだが、真相は誰にもわからない。虚々実々の駆け引きがある。小沢一郎の方からすれば、ここで対抗馬を立てず、前原誠司の「挙党一致」に協力すれば、党内主流派の立場を得ることになり、秋に控えた裁判を有利な状況にすることができる。仙谷由人とすれば、ここで小沢一郎に強力な対抗馬を立てられ、選挙が接戦に追い込まれれば、仮に前原誠司が薄氷で勝利しても、小沢一郎の影響力が決定的に増し、主流派の安定した権力維持が危うくなる。そもそも現在の主流派は、昨年の参院選から今年の地方選まで、連戦連敗を続けて党勢を失ってきた責任もあり、そういう問題までこの機に噴出しかねず、小沢派との真剣勝負は避けたいのだ。

しかし、この小沢一郎の動きは、政策的に見れば、明らかに裏切り行為であり、国民を失望させるものである。小沢一郎は今度の代表選の候補者支援について、「枝葉はともかく、マニフェストの基本理念を継承する」者という基準を述べている。この表現は、従来の主張と比較すれば、ニュアンスとして遵守の意味が緩和されている。この立場は、マニフェストを骨抜きにして実質的に破棄した主流派も同じで、彼らは口ではマニフェストの基本理念は変わってないと詭弁を言っている。その仲間に小沢一郎も入るということなら、変節である。私はこれまで、小沢派と主流派との政治抗争は単なる権力闘争ではなく、基底に政策軸の対立があるのだと言い続けてきた。財政再建をめぐって、消費税増税か特別会計見直しかという対立がある。TPPについても、推進か反対かという決定的な対立がある。外交と安全保障についても、日米同盟か東アジア共同体かという大きな対立がある。普天間基地の問題をめぐっても、辺野古移転か国内国外移転かという対立がある。他にも、貧困と格差の問題についても、1年前の代表選では、小沢一郎は企業の内部留保を賃金に回せと言い、非正規労働の比率を減らすべしと提言していた。こうした政策軸の対立について言えば、09年マニフェストは小沢派の政策であり、主流派はそれを否定して自民党の政策と同一化している。この政策対立の構図の整理については、誰も否定する者はいないだろう。

だが、こうした政策対立の見方を今後は変えなくてはいけなくなる。もし、小沢一郎が裁判での保身を目的に主流派にスリ寄り、マニフェストの路線を変更するのであれば、小沢派と主流派の関係は単なる派閥争いでしかない。小沢派の一部には、こうした政策の変節と旋回に抵抗する者も出るだろうし、特に昨年以降、受難の身の小沢一郎に同情し、マニフェストを死守する姿勢に共鳴し、デモ行動して支持してきたネットの小沢信者たちに、この政変は大きな混乱を与えるに違いない。歴史で喩えて言えば、1939年の独ソ不可侵条約の衝撃である。この条約の締結が、全世界の反ファシズム陣営を蒼然とさせ、知識人が社会主義の信仰から離れた様は、オーウェルの『動物農場』の中でも描かれている。日本の青年層にも深刻な内面的影響を与えた。日本の場合、余波は体制側に大きく出て、当時の平沼内閣の総辞職という事態を招いている。そう。私は、この小沢一郎と前原誠司の野合について、霞ヶ関の官僚がどう慌てているかを思うのである。意外な展開と政変に、少なからず緊張が走っているのではないか。彼らは、野田後継で決まりだと端から思い込み、ポスト菅に小沢一郎の影が侵入する図など全く想定していなかったはずだし、ポスト菅が大連立と消費税増税に向かう政局を半ば前提し、それが流れだと楽観視していただろう。野田後継が潰れ、大連立の目算が消え、仙谷由人が小沢一郎の懐柔に動く状況は、官僚の心胆を寒からしめているに違いない。

面白いことに、調べてみると、独ソ不可侵条約が締結されたのは、1939年の8月23日である。72年前の昨日だ。偶然の一致だが、何か不吉な予感を感じる気分にもなる。スターリンがナチスと組む取引をしたのは、大粛清の影響で国内に対独戦の準備が整わず、時間稼ぎが必要な弱点があったからだが、その点、裁判という弱みを抱えた小沢一郎の事情とよく似ているではないか。小沢一郎が党代表に就き、「国民の生活が第一」の旗を掲げた2006年秋以降、党内で最も強硬かつ頑迷に小沢一郎に反抗し、対極の位置で反小沢闘争を続け、小沢一郎の失墜と掃討に奔走してきたのは、まさしく前原誠司である。親米タカ派で新自由主義の前原誠司こそ、民主党における反小沢のシンボルであり、「国民の生活が第一」を転覆させるアンチテーゼの存在だった。独ソ不可侵条約の比喩の適用は、スケールはミニチュアであるけれど、この政治の説明として当を得ていると私は思う。果たして、この野合は、72年前の独ソの関係と同じ運命を辿るのだろうか。不意を打たれたのはソ連の側で、条約は2年後の1941年6月に終焉を迎える。ヒトラーを軽信して胡座をかいていたスターリンは、独軍の電撃攻撃に為す術なく撤退を余儀なくされ、ヨーロッパ・ロシア平原の広大な領土を奪われ、レニングラードを包囲攻撃されて陥落寸前まで追い込まれた。悪乗りを続けて、仙谷由人がリッペンドロップで、平野貞夫がモロトフの配役だろうか。小沢一郎が「国民の生活が第一」を捨てない限り、両者は殺し合う関係を揚棄できない。

おそらく、前原誠司は、小沢一郎の支援を得て代表となった新体制で、原口一博や松野頼久など、主だった反主流派の面々を閣内に入れ、脱トロイカの「挙党一致」をアピールすることだろう。森ゆうこや川内博史にも手を伸ばして、副大臣の処遇で政権内に取り込むかもしれない。そうすれば、前原体制を揺さぶる反主流派は党内に消える。その可能性は高いと思う。振り返ってみて、細川律夫だとか、江田五月だとか、あの菅派の面々というのは、もともと旧社会党左派などに属し、本来は「国民の生活が第一」の政策を率先して担がなければならない者たちである。菅直人自身がそうだ。小沢一郎が2007年に打ち出した「国民の生活が第一」と、民主党を政権政党にした09年マニフェストは、彼らこそが中心になって推進するべき政策だった。逆に言えば、前原誠司や野田佳彦や玄葉光一郎などは、そうした政策とは無縁であり、厳密には自民党に籍を置くべき政治家たちなのだ。ところが、菅派の面々は自らの思想信条を簡単に裏切り、投票してきた有権者を欺き、昨年以降、右旋回のマニフェスト潰しばかりやっていた。前原誠司の言う「挙党一致」とは、マニフェスト破棄、TPP推進、消費税増税、辺野古建設、改憲の挙党一致態勢という意味で、その政策で党内を斉一するという意味である。反対する者は公認しないという「挙党一致」であり、自分が代表になったら、党内に反主流派は作らせないという宣告である。マスコミ報道が言うような融和的で協調的な意味ではない。党内を一つの束にし、その上で政策が同じ自民党と期限を区切った大連立を組むという意味だ。

2005年に代表になったときも、前原誠司は同じことを言っていた。党を一つに纏めると。その方針に異議を唱える官公労系は切ると。



by thessalonike5 | 2011-08-24 23:30 | その他 | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : http://critic5.exblog.jp/tb/16167323
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
名前 :
URL :
※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。
削除用パスワード 
昔のIndexに戻る 民主党代表選の政治 - 細野豪... >>

世に倦む日日
Google検索ランキング


下記のキーワード検索で
ブログの記事が上位に 出ます

NHKスペシャル 激論2009
竜馬がゆく
花神
世に棲む日日
翔ぶが如く
燃えよ剣
王城の護衛者
この国のかたち
源氏物語黄金絵巻
セーフティネット・クライシス
本田由紀
竹中平蔵
皇太子
江川紹子
G20サミット
新ブレトンウッズ
スティグリッツ
田中宇
金子勝
吉川洋
岩井克人
神野直彦
吉川元忠
三部会
テニスコートの誓い
影の銀行システム
マネー敗戦
八重洲書房
湯浅誠
加藤智大
八王子通り魔事件
ワーキングプアⅢ
反貧困フェスタ2008
サーカシビリ
衛藤征士郎
青山繁晴
張景子
朱建栄
田中優子
三田村雅子
小熊英二
小尻記者
本村洋
安田好弘
足立修一
人権派弁護士
道義的責任
古館伊知郎
国谷裕子
田勢康弘
田岡俊次
佐古忠彦
末延吉正
村上世彰
カーボンチャンス
舩渡健
秋山直紀
宮崎元伸
守屋武昌
苅田港毒ガス弾
浜四津代表代行
ガソリン国会
大田弘子
山本有二
永岡洋治
平沢勝栄
偽メール事件
玄葉光一郎
野田佳彦
馬渕澄夫
江田五月
宮内義彦
蓮池薫
横田滋
横田早紀江
関岡英之
山口二郎
村田昭治
梅原猛
秦郁彦
水野祐
ジョン・ダワー
ハーバート・ノーマン
アテネ民主政治
可能性の芸術
理念型
ボナパルティズム
オポチュニズム
エバンジェリズム
鎮護国家
B層
安晋会
護憲派
創共協定
二段階革命論
小泉劇場
政治改革
二大政党制
大連立協議
全野党共闘
民主党の憲法提言
小泉靖国参拝
敵基地攻撃論
六カ国協議
日米構造協議
国際司法裁判所
ユネスコ憲章
平和に対する罪
昭和天皇の戦争責任
広田弘毅
レイテ決戦
日中共同声明
中曽根書簡
鄧小平
国民の歴史
網野史学
女系天皇
呪術の園
執拗低音
政事の構造
悔恨共同体
政治思想史
日本政治思想史研究
民主主義の永久革命
ダニエル・デフォー
ケネー経済表
価値形態
ヴェラ・ザスーリッチ
李朝文化
阿修羅像
松林図屏風
奈良紀行
菜の花忌
アフターダーク
イエリネク
グッバイ、レーニン
ブラザーフッド
岡崎栄
悲しみのアンジー
愛は傷つきやすく
トルシエ
仰木彬
滝鼻卓雄
山口母子殺害事件
ネット市民社会