SakuraFinancialNews

PJ: 田中 大也

児童ポルノ禁止法改正案民主党案公開、国会提出(2)各方面で慎重さと丁寧さが光る
2011年08月22日 13:39 JST

前回に引き続き、今回も国会に提出された児童ポルノ禁止法改正案民主党案のポイントについて見ていきたいと思う。

●量刑に対しての慎重さも目立つ
今回の民主党改正案では、「反復かつ有償での取得」についての罰則(最大で一年以下の懲役、または百万円以下の罰金)が追加されたものの、既存の、児童ポルノ公然陳列、提供、製造等に関する罪に関しての厳罰化はなされなかった。「児童ポルノ」絡みの事案ということになると、どうしても「厳罰化を」ということになりがちな中で、あらためて慎重な姿勢を明示した形となった。児童ポルノ禁止法という犯罪の独自性を考慮すると、こうした慎重な姿勢は評価できる部分は大きいと考えられる。

というのも、「児童ポルノ」絡みの案件は、被害者と直接対面して行われる「製造」を除けば、行為者が犯罪という認識を非常に持ちづらいという、他の犯罪とは違った特性を有している。例えば、誰かのPCのフォルダ内に、ネットから拾ってきた画像があったとして、その画像の被写体が「児童」であるかどうかを、正確に判断するのはかなり難しく、仮に児童だと認識できたとしても、「児童ポルノ」かどうかを正確に見分けるのは極めて困難だ。例えるなら、速度計がない自動車で公道を走るようなものだ。

違法という認識がない以上、いくら厳罰化がなされても、事象の抑制にはなり得ず、ただ、逮捕される段階になって、当事者の社会的ダメージがいたずらに増加するだけという結果になってしまう。そうした、「不要なリスク」を軽減する、実利性のない圧力は加えないという観点からすれば、量刑引き上げに対する慎重な姿勢は、妥当なのではないかと考えられる。

●「児童ポルノ」禁止法の定義から、医学及び学究目的での供用を除外
また、「児童ポルノ」の定義についても、いくつかの除外規定が見られる。児童ポルノを示す条文の中に(専ら医学その他の学術研究の用に供するものを除く)という一文が加えられ、学術的、医学的な目的等々に関わる供用であれば、罪に問わないとする姿勢が明文化されたのだ。

もともと、日本における「児童ポルノ」の定義は、単なる裸や、裸よりもさらに露出の少ない下着姿等々に至るまで含まれうる、極めて広いものである上に、芸術性等々のあるものに対しても除外規定がないという、ある意味では非常に硬直した形になっていた。そのため、医学や歴史、文化的資料に対しても、抵触し得る部分があった時点で、「児童ポルノ」のレッテルが貼(は)られ、社会から抹殺されてしまうのではないか、ひいては、研究等々そのものが滞ってしまうのではないかという懸念が存在していた。

今回の除外規定の明示化は、そうした懸念を払しょくし、学究活動などを進めていく上で、非常に有意義なものと言えるだろう。もちろん、一体どこまでが「学究的正当性がある」のかどうかという問題はあるが、この除外規定が盛り込まれれば、資料的価値のある写真や映像などが、「児童への人権侵害」という理由付けで、社会から消されてしまう危険性はかなり薄れるはずだ。【つづく】

■関連情報
PJニュースは一般市民からパブリック・ジャーナリスト(PJ:市民記者)を募り、市民主体型のジャーナリズムを目指すパブリック・メディアです。身近な話題から政治論議までニュースやオピニオンを幅広く提供しています。

PJ募集中!みなさんもPJに登録して身の丈にあったニュースや多くの人に伝えたいオピニオンをパブリックに伝えてみませんか。


【PR】有名レストラン50%引き?クーポン情報をまとめて掲載!「グルーポンなう!」



関連記事:
タグ:
pagetop

PJ 記者