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日本が世界に誇る巨匠・黒澤明監督の69の作品のリメイク権を米映画製作会社Splendent Mediaが取得したことがわかった。【関連写真】“史上最悪のリメイク映画”トップ10発表!1位はヴィンス・ボーン主演の「サイコ」
Splendent Mediaは2010年に日本人女性が設立したロサンゼルスを拠点とする製作会社。このたび同社が取得したのは、「羅生門」(50)「用心棒」(61)「椿三十郎」(62)「乱」(85)「影武者」(80)「夢」(90)といった黒澤監督の代表作を含む映画26作品のリメイク権、黒澤監督がメガホンは取らなかったものの脚本もしくは共同脚本を手がけた24作品、さらには未製作の脚本19作品という、合計69作品。これだけの黒澤作品のリメイク権を1社が所有するのは初めてのこと。
気になるのは未製作の脚本19本だが、同社サイトで公開されたリストには、監督デビューを果たす前の1938年に書かれた「水野十郎左衛門」にはじまり、戦前に書かれた「達磨寺のドイツ人」(41)「静かなり」(42)「森の千一夜」(42)、そして1977年の「黒き死の仮面」まで、興味深いタイトルが並んでいる。
黒澤作品のリメイクといえば、ハリウッドでは「七人の侍」(54)をリメイクした「荒野の用心棒」(64)が有名。日本でも映画では「椿三十郎」(07)や「隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS」(08)などの例があるが、誰がやろうと不朽の名作をリメイクする難しさは避けられない。しかし、そもそも「天国と地獄」(63)はエド・マクベインの小説を、「乱」「蜘蛛巣城」(57)「悪い奴ほどよく眠る」(57)はシェイクスピア作品を下敷きにしており、文化の輸出入を繰り返しているのは興味深いところではある。
熱烈なクロサワ信奉者として知られるスティーヴン・スピルバーグ監督やジョージ・ルーカス監督だけでなく、若い世代にも黒澤監督に影響を受けたことを公言する監督や俳優は多い。世界のクロサワ作品を誰が継承していくのか、今後に注目したいところだ。
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