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「放送外収入」を増やすという私利私欲行為の宣伝に電波が安価に利用されているという事実

木走日記

木走正水(きばしりまさみず) プロフィール


 暴利をむさぼった結果どうなったか、在京キー局の社員平均年収は国民平均年収の3倍となる異常な状況になっているのです。
■テレビ局社員平均年収(2011年1月時点)(※単位:万円)

局名年収
フジ1457
TBS1357
日テレ1262
TV朝日1213
TV東京1050
<データソース>
テレビ局の年収をグラフ化してみる(2011年1月版)
http://blog.livedoor.jp/booq/archives/1379335.html
・・・
■ネットの台頭にもがくマスメディアのあがき

 しかし今、バブル崩壊とインターネットの台頭により、テレビ局の“安過ぎる電波利用料”を背景とした濡れ手でアワの商売にもすっかり陰りが見えてきています。

 ここに2月23日にプレスリリースされた広告代理店のレポートがあります、そこのデータから、新聞・テレビ・ラジオ・の4大メディアとインターネットにおける広告費の推移を表にしてみました。
■媒体別広告費の推移(2002年〜2010年)(※単位:億円)

媒体2002年2010年増減率
総広告費57,03258,427△2.45%
新聞10,7076,396▼40.26%
雑誌4,0512,733▼32.54%
ラジオ1,8371,299▼29.29%
テレビ19,35117,321▼10.49%
インターネット8457,747△916.80%
<データソース>
平成23年2月23日
2010年の日本の広告費は5兆8,427億円、前年比1.3%減

― テレビは微増、インターネット・衛星メディア関連は大幅増 ―
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2011/pdf/2011019-0223.pdf
21世紀に入り、02年から10年までの総広告費は5兆7,032億から5兆8,427億と2.45%微増していますが、4大メディアはすべて激減していることがわかります、新聞など40.26%も減じています、その中でテレビも10.49%と1割以上も広告収入を落としているわけです。

 変わって台頭してきたのがインターネットであり現在ではすでに広告費では新聞を抜いていることがわかります。
 
 インターネットの台頭により、TVや新聞の広告収入が急減するこの現象は、なにも日本だけでなく世界中のメディアで起こっている現象ですが、日本の場合、上述した異常に高い給与を維持するために、TV局は手段を選ばず「放送外収入」に傾斜していきます。
(前略)
例えば、テレビ通販だけで、日本テレビ108億円、TBS96億円、テレビ朝日85億円、フジテレビ82億円を売り上げる。キー局各局は連結で2000億円以上の総売り上げを誇るとはいえ、これは小さくない金額である。
不動産事業の稼ぎ頭はTBSで163億円。日テレも、汐留・麹町のテナント料収入が72億円にのぼる。

土地を提供して名前を貸すだけでカネが転がり込む「ドル箱商売」(ローカル局幹部)である住宅展示場などのハウジング事業は主に地方局が展開しているが、キー局で手掛ける日テレの関連子会社の売り上げは26億円である。
他にも、文化事業と銘打って、各局が競って開く美術展も儲かる。ヒット作「大哺乳類展」「ゴッホ展」などを主催したTBSに転がり込んだ催事事業収入は32億円だ。

もっとラクに儲けるなら、社屋敷地内で催すテーマパークのイベントが最適だ。フジテレビの「お台場合衆国2010」は、来場者数と入場料から計算すれば、53億円を売り上げたことになる(※数字はすべて平成22年度のもの)。
「民間企業なのだからどんな商売をしても勝手だろう」とはいわせない。どの事業も、公共の電波に「タダ乗り」する形で宣伝され、集客が図られているからである。

出資映画や主催イベントの告知が自局の番組で繰り返し放送される。また自局番組のDVD発売を知らせる番組内宣伝や、社屋や自前の住宅展示場からの中継など、電波がテレビ局によって“私的流用”されている実態は目に余る。繰り返しになるが、その電波はほとんどタダで彼らが使い放題なのだ。

テレビ通販に至っては、朝から深夜まで絶え間なく放送され、最近では情報番組内にわざわざコーナーを新設してまで、視聴者を誘導する。
(後略)
※週刊ポスト2011年8月19・26日号

http://www.news-postseven.com/archives/20110811_28066.html
・・・

■「放送外収入」を増やすという私利私欲行為の宣伝に電波が安価に利用されているという事実

 貴重な公共財である「電波」を独占しているTV局が、本来の使命を忘れて、不動産業、通販業、テーマパーク、あげくは子会社を通じて芸能事務所や音楽出版業にまで進出しているのです。

 ここで一番の問題は、彼らの身分を保身するために「放送外収入」を増やすという私利私欲行為の宣伝に、貴重な電波がしかも安価に利用されているという事実です。

 今回のフジテレビ「韓流押し」もそうですが、その底流にはメディアとしての公共性ある使命を放棄して、手段を選ばず私利私欲に走るその体質があるのであります。

 TV局自身の既得権益が侵害されるような自己批判報道をTV局に求めても仕方が無いのですが、ならばラジオや大新聞がそれを監視すればよいのですが、この国のマスメディアはどれも同じ穴の狢(むじな)であり、誰もフジテレビを批判することはできないのです。

 解決するには、欧米諸国と同様にクロスオーナーズシップをまず禁止すべきです。

 その上で電波の自由化、これも欧米のようにオークション制度等の導入により、電波の独占状態に風穴を開け、そこに自由競争原理を導入するべきです。

 現在のマスメディアの閉鎖的な体質を考えると彼らに自浄作用など期待できません。
 
 今こそマスメディアのその構造から大きなメスを入れるべきではないでしょうか。
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