東日本大震災の液状化被害により150件以上の家屋が傾くなど県内最大の被害を受けた久喜市は23日、国の支援制度から漏れた約100件の家屋に対し、各100万円を上限に補修費を援助する独自の支援策を発表した。30日開会の9月定例議会に総額1億円の補正予算案として提案する。【西村隆】
同市南栗橋地区は震災で地盤が液状化し、住宅街の約200メートル四方に被害が集中。家屋や電柱が傾き、道路に土砂が噴出した。今も約20世帯が、自宅に戻れない状態という。
大震災により見直された国の被害認定では同地区で「全壊」11▽「大規模損壊」41▽「半壊」52▽「一部破損」59--と認定された。
「全壊」と「大規模損壊」認定を受けた家屋には、国の被災者生活再建支援制度により、基礎支援金として100万~50万円と、新築の場合上限200万円、補修の場合上限100万円が支給される。
しかし、「半壊」と「一部破損」は国の制度の対象外となるため、市が独自に100万円を上限に補修費を支援する。基礎支援金はないものの補修費は国の額に合わせた。
市内の他の地区の被災家屋と合わせて、申請予定を100件と想定し、1億円を計上する。すでに補修を終えていても、証明書類があれば支給対象とする。財源として同市は県に一部支援を要請している。
田中暄二市長は「柱が傾いたり、床が沈み込んだりした家屋を、一方で救済、一方はゼロという不公平を解消するために、市は独自の支援をしていくことにした」と話した。
毎日新聞 2011年8月24日 地方版