【社説】北の長射程砲による奇襲攻撃を防ぐには

 韓国軍は、北朝鮮の長射程砲による奇襲攻撃に備えるため、対砲レーダーを運用しているが、その数は十分ではなく、故障も多いなど、対応能力に限界があることが分かった。北朝鮮はソウルをはじめとする韓国の首都圏を狙い、西部戦線(軍事境界線の西側)の非武装地帯周辺に170ミリ自走砲や240ミリ曲射砲(多連装ロケット砲)などの長射程砲340門を集中的に配備している。しかし、韓国軍がこれに備えるために運用している対砲レーダー約20基のうち、6基(スウェーデン製)は昨年78回も故障し、また米国製の2基のうち1基は過去5年間に98回、もう1基も同じく60回故障した。レーダーの数も、最低あと10基増やしてこそ、十分な監視が可能になるという。

 北朝鮮の長射程砲は最大射程距離が54‐65キロに達し、ソウルや仁川はもとより、京畿道安養、城南、軍浦市まで攻撃できる。また、240ミリ曲射砲は毒ガスを装填(そうてん)した化学兵器を搭載できる。北朝鮮が脅し文句としてたびたび使う「ソウルを火の海にする」手段がまさに長射程砲だ。韓国軍は普段、米軍の無人偵察機や軍事衛星を通じ、北朝鮮の長射程砲の陣地を把握している。全面戦争が発生し、北朝鮮の長射程砲が一斉に発射された場合、韓国軍は最新鋭の戦闘機F15K(約40機)やKF16(約130機)を用いて統合直接攻撃弾(JDAM)を投下し、北朝鮮の長射程砲の陣地を無能力化することになっている。

 だが、問題は全面戦争が発生した場合ではなく、北朝鮮が長射程砲を用いてソウルを奇襲攻撃した場合だ。この場合、北朝鮮が長射程砲を発射した後、砲弾の軌跡を逆探知し、長射程砲の陣地を突き止めることが可能になる。その陣地を早く突き止め、対応射撃を行う上で必要なのが対砲レーダーだ。

 現在のように、対砲レーダーの数が十分でない上、たびたび故障するようでは、万が一の場合に十分対処できないのは明らかだ。米国製の対砲レーダーは古くなったため、またスウェーデン製の対砲レーダーは数が少ないにもかかわらず無理に稼働させたために、故障がたびたび発生するという。もし、ソウルに向けて長射程砲が1‐2発でも発射された場合、砲弾による直接的な被害はもとより、都市ガス管やプロパンガスボンベ、ガソリンスタンド、車のエンジンなどに引火し、大規模な火災につながる恐れがある。この想像するだけでも恐ろしい事態を防ぐためには、対砲レーダーを24時間監視し、死角が生じないよう補完することが急務だ。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
関連記事
記事リスト

조선JNS | 서울 종로구 신문로1가163 광화문오피시아2213 | 등록번호 서울아01574 | 발행인ㆍ편집인 심인숙 | 등록일2011.04.01