2011年08月23日更新
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社会福祉法人 宇治病院 対談記事

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65年の伝統に根差した誇りを胸に
医療の責任を果たすべく邁進

社会福祉法人 宇治病院

理事長 広川 慶裕
法人事務局 局長 畦浦 武則

【異業種ネット】月刊経営情報誌『報道ニッポン』特別取材企画 掲載記事─略歴

「現場で起こる全てを把握し、全ての責任を負うのが私の務め」

【異業種ネット】月刊経営情報誌『報道ニッポン』特別取材企画 掲載記事─人ページ写真

経営再建の立役者としての実績が評価され、創立65周年を迎える『宇治病院』の舵取り役に抜擢された広川理事長。「現場で起こっている問題を明確に把握したい」と、総勢約450名ものスタッフ一人ひとりと文字通り膝をつき合わせて意見を聞いているという。

そんな取り組みからも分かるように、理事長が一貫して守っている信念は、全責任の所在を自身に置くことだ。経営の全てを任された以上、問題点やアピールすべき点など院の全てを知った上で判断し、スタッフたちには自ら対処法を伝える。

実力・人柄ともに頼れる熱きトップに、周囲の期待は高まるばかりだ。


幅広い診療科目を備え、さらには福祉サービスも提供している『宇治病院』。創立65年の伝統に根差した誇りを医療に反映させ、長らく地域の人々から大きな信頼を集めてきた。本日は、昨年より同院の経営を担っている広川理事長と、畦浦局長にインタビュー。真の地域医療を追求する取り組みに迫った。

【異業種ネット】月刊経営情報誌『報道ニッポン』特別取材企画 掲載記事─対談

村野 早速ですが、広川理事長が現職に就かれるまでの経緯から伺います。

広川 私は大阪府出身で、大学進学をきっかけに京都府に移り住み、その後ずっとこの地で医師として地域医療に携わってきました。そして10年間の院長経験などを経て経営面の重要性に着目し、様々な病院で経営の立て直しに従事。その後、医師不足により危機的状況にあった『宇治病院』の経営改善を行うべく顧問として迎え入れて頂き、昨年の9月に現職に就任した次第です。

村野 優れた経営手腕が評価された訳ですね! 畦浦局長はいつごろこちらに入られたのでしょう。

畦浦 昨年3月です。私は金融関係の法律を専門に学んできましたので、当院の経営の中でも経理面をサポートしてほしいと声をかけて頂きました。金融機関との折衝などでスキルを駆使し、微力ながらお役に立とうと努めています。

村野 理事長にとっても心強いパートナーですね。経営改善において、まずどういった点が重要なのですか。

広川 基本的なことですが、有する全ての科目においてその専門性を高め、患者様の治療に全力であたることです。当院は内科、小児科、外科、眼科、整形外科、泌尿器科、産婦人科と、幅広い診療科目を備えていましてね。こうした自分たちの守備範囲を把握し、その上でとるべき対応を見極めることが重要なのです。科目内のご要望は必ず受け入れ、迅速に対応する。そして、例えば対応していない科目についての診療をご希望の患者様が来院された場合、異なる科目内で対応するのではなく、関連病院との連携を利用する。この姿勢こそが本当の意味で“医療機関としての責任を果たす”ということであり、これを徹底せずして地域の方々から信頼は得られません。お陰様で、現在少しずつ経営状況は改善されつつありますね。

村野 シンプルで地道な取り組みが、着実に再建へ結びついているのですね。スタッフの方々も、理事長の進める改革に期待を寄せておられることでしょう。

【異業種ネット】月刊経営情報誌『報道ニッポン』特別取材企画 掲載記事─取材記事写真
院長
蔭山 典男
【異業種ネット】月刊経営情報誌『報道ニッポン』特別取材企画 掲載記事─取材記事写真
看護部長
蒲田 史

広川 ともに苦境を乗り越えようと懸命に働くスタッフたちには私の方こそ感謝していますよ。医療とは、医師だけではなく複数の職務に携わる人たちによって行われるもの。チーム医療の概念は不可欠ですから、皆で志を同じくするよう働きかけることもまた、私の責務だと考えています。そこでまずは一人ひとりと意見交換をしようと、全スタッフとの面接を目下行っているところなんですよ。スタッフ数は約450名で、1年を費やす予定となっています。

村野 理事長自ら個人面接をなさっているとは驚きです! 病院から力を必要とされていることが皆様に伝わるでしょう。面接を通じ、特に感じていらっしゃることは何ですか。

広川 スタッフたちの『宇治病院』への愛着の強さです。彼らのそうした感情は病院内の雰囲気にも良い影響を及ぼしており、実際、私が顧問として初めてこちらを訪れたときにも「この病院はきっと立ち直る」との印象を受けました。当院は今年で創立65周年を迎えた歴史ある病院ですから、長きにわたって築かれてきた伝統への敬意が皆の意識に根差していると感じますね。

村野 信頼できる人材が揃っているならば、将来の見通しは明るいと言えそうですね。改革を進める上で、今後はどんな取り組みを行っていく予定ですか。

広川 こちらの特徴である在宅部門を最大限に活かしていこうと考えています。と言いますのも、私どもではデイサービスや訪問看護、居宅介護支援などの福祉サービスも提供しており、医療と福祉が直結する全国でも珍しい態勢をとっているんです。地域の方々に求められていることは何かを考えながら、医療・福祉両面からアプローチしていくことで改革を進めていきたいですね。

村野 では最後に、お2人の改革への意気込みをお聞かせ下さい。

畦浦 経営建て直しの序盤である今は、早急に必要な措置としてコストダウンに努めており、契約の見直しにより支出を抑えて徐々に増収へとつなげていきたいと思っています。それと同時に、次の段階である増収に向けたプランも練っているところでしてね。当院が誇る有能なスタッフたちの存在も武器としながら、今後も理事長とともに全力で経営を支えていきたいと思います。

広川 先ほど申し上げたように、当院は幅広い診療科目を一つの特色としております。そこで、私どもはこのたび「産湯から看取りまで」とのスローガンを新たに掲げ、地域の様々なご要望を受け入れる窓口としての存在価値を再定義しました。ありがたいことに取り組みの成果は確実にあがっており、順調に状況が好転しています。スタッフたちも経営改善を実感してくれているようで、各々の業務に向かうモチベーションも高まってきているんですよ。地域の皆様にとって生涯を通して身近な病院であり、どんなときも頼れる存在でありたい──。全てのスタッフでこの信念を共有し、団結して歩を進めることが経営再建に向けた一番の近道ですから、皆をまとめて理想的な医療の実現を目指して参ります。

村野 是非頑張って下さいね!

【異業種ネット】月刊経営情報誌『報道ニッポン』特別取材企画 掲載記事─取材記事写真

地域全体に必要とされる医療機関であるために

▼医療機関とは、病気や怪我の治療を行う場所であり、それさえこなしていればよいのか──。『宇治病院』の示す理念は、そんな問いかけを鮮やかに打ち消す。医療に携わる者としての使命を全うするべく掲げられているその理念とは、「真療・信頼・進歩」の“3S”である。「真療」とはすなわち、真の医療。治療を必要とする全ての人に充分な処置を施し、誰にも平等に医療を行き渡らせること。そして地域医療に積極的に関与して地域の人々から「信頼」を得、スタッフ一人ひとりが日々技術の研鑽に努め医学の「進歩」に貢献することこそが医療機関の役割であると熟知していることが伺える。

▼長年地域とともにその歴史を刻んできた同院は当然知名度が高く、人々からの信頼も篤い。だが、そのことに胡座をかいていればたちまち医療の質は落ち、信用も失ってしまうだろう。医師不足による経営不振という苦難に遭いながらも同院が人々の支持を得ているのは、先述の揺るがぬ理念があればこそなのである。「地域全体に必要とされる医療機関でありたい」と言う広川理事長をはじめとする医療人たちの高邁な精神が心ある医療を生み、同院を守り立てているのは明らかだ。

対談を終えて

「全国的に深刻な課題となっている医師不足。経営不振をも引き起こすこの問題を解決するヒントは、広川理事長の「自分たちにできることを見極め、確実に対処する」との言葉にあるようです。至極当然とも思えるこの姿勢を徹底させることこそが、地域医療に最も求められることだと私も思います。」(村野 武範さん・談)

【異業種ネット】月刊経営情報誌『報道ニッポン』特別取材企画 掲載記事─会社概要

名  称

社会福祉法人 宇治病院

住  所

京都府宇治市五ヶ庄芝ノ東54-2

代表者名

理事長 広川 慶裕

U R L

http://uji-hosp.or.jp/

掲載誌

報道ニッポン  2011年7月号

本記事の内容は、月刊経営情報誌『報道ニッポン』の取材に基づいています。本記事及び掲載企業に関する紹介記事の著作権は国際通信社グループに帰属し、記事、画像等の無断転載を固くお断りします。