8月の青森ねぶた祭にバケト保存会公認のコスプレ集団が登場する。若者の「バケト離れ」を危惧する保存会と、活動の場を求めるコスプレーヤーの思惑が一致した格好だ。参加者は「コスプレは世界でもブームになるほど人気。ねぶたとの共演で祭りを盛り上げたい」と意欲的だ。【鈴木久美】
アニメのキャラクターなどに扮(ふん)した姿を披露するのはコスプレ集団「PLAYZ(プレイズ)」。保存会所属のグループとして今夏結成し、祭りには県内のメンバー約15人が参加する。
代表の会社員、坂本渚さん(23)=青森市=は3年ほど前から着ぐるみやコスプレ姿で友人と祭りに出てきた。観客や友人が楽しむ姿を見て、「大人数で参加したら面白い」と感じるように。県内ではコスプレの大規模なイベントはなく、活躍の場が少ないのも現状だ。
そこに目を付けたのが「青森ねぶた祭バケト保存会」(同市浅虫)。バケトは奇抜なメークと衣装で祭りを盛り上げるピエロのような存在で、会には30人ほどが参加している。しかし最近では高齢化が進み、継承者不足に悩んでいる。
事務長の三上均さん(50)は「バケトとコスプレは別物。バケトは白塗りで笑いを取る格好が基本です」と前置きした上で、公認の理由を語る。「このままではバケトが絶えてしまうという危機感がある。賛否両論あったが、若者文化を取り入れてまずはバケトへの関心を高めていくことになりました」
従来の祭りの枠から外れないよう、保存会がコスプレーヤーをチェック。露出の激しい衣装を避け、運行の妨げにならないように指導する。三上さんは「いずれはバケトに興味のある若者が出てきてほしい」と期待する。
メンバーはすでに青森市の浅虫や油川のねぶた祭りに参加した。坂本さんは「コスプレはキャラクターに成り切るので、バケトのように笑いを取るのが難しい。観客に楽しんでもらえるように、試行錯誤していきたい」と話している。
2011年7月30日