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2011年8月23日3時11分

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泥だらけのサーバー、住民データ使えた! 岩手知事選へ

写真:ほとんどの家屋が津波で流された高田小学校付近の地区にも、知事選、県議選、市議選のポスター掲示場が設置された=20日、岩手県陸前高田市、上田潤撮影拡大ほとんどの家屋が津波で流された高田小学校付近の地区にも、知事選、県議選、市議選のポスター掲示場が設置された=20日、岩手県陸前高田市、上田潤撮影

 東日本大震災で延期された岩手県知事選が25日告示される。総務省の全面支援もあり、宮城、福島より早く全県選挙の実施にこぎ着けた。 

 震災直後の一つの発見が、選挙を可能にした。

 役所が被災した陸前高田市と大槌町は住民基本台帳データが失われ、当初「選挙は無理」とみられた。

 しかし、発生から2週間後、県市町村課の佐々木琢磨主任らががれきが積まれた大槌町役場で、泥の付いた住民データのサーバー7台を探し出した。陸前高田市もバックアップのデータがあるのを確認。その結果、有権者のデータが復活し、6月には選挙人名簿の登録にこぎ着けた。

 「データが復旧しなかったら、選挙どころか他の行政事務も出来なかった」と県担当者は振り返る。

 次に、被災者が避難所から仮設住宅に移ったことなどを踏まえて、各市町村選挙管理委員会が投票区を組み直した。

 陸前高田市、釜石市、大槌町の各選管には東京都千代田区、横浜市、山形県川西町などから計32人の応援職員が入る。投票箱など用具が流失した陸前高田市選管には、東京都や千葉県船橋市から投票箱や投票用紙交付機などが届いた。

 残る課題は、避難した有権者がどこにいるかを完全に把握できていないことだ。

 大槌町選管は選挙のお知らせはがきを有権者1万1528人に送ったが、15日現在で159人が「宛て所不明」で所在がつかめていない。陸前高田市選管は、他の自治体に避難した住民が登録する総務省の「避難者情報システム」を使って不在者投票を呼びかけている。

 告示が目前に迫り、最後の準備を進める県選管の担当者は「岩手県が失敗したら、宮城、福島などの被災地では選挙は出来ないということになる。失敗できない」と話している。

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