宮城県南三陸町の町立戸倉小学校は21日、東日本大震災で春から延期していた卒業式を約5カ月遅れで開いた。津波で校舎が流されたため、会場は約10キロ離れた仮校舎として使っている同県登米市米山町の旧善王寺小学校。23人が卒業証書を受け取り、「みんなを笑顔にできる人になりたい」「犠牲者の分も精いっぱい生きたい」などと話した。
卒業式で麻生川敦校長は、津波でできた汚れを丁寧に取り除いた卒業証書を一人一人に手渡し、「震災で何もかも失った気持ちになったかもしれませんが、6年間の思い出は心に刻まれています」と語りかけた。
生徒たちは「旅立ちの日に…」を合唱。この歌を作った歌手、川嶋あいさんも訪れ、「とてもつらかったと思いますが、絶対に負けないで」とエールを送った。ピアノで伴奏した卒業生、小野寺みなほさん(13)は「感謝の気持ちで弾きました。卒業式を開けて、うれしいです」と話していた。【遠山和宏】
毎日新聞 2011年8月22日 東京朝刊