下の映像は、リレハンメル五輪の前後に諸々問題を起こして
実力がありながらも皮肉な形で大きな話題になった
アメリカのトニア・ハーディング。
彼女を初めて見たのは、自分も出場した86年のスケートアメリカ。
当時17歳だったが、リンクの半分ぐらいの距離を
飛んでるんじゃないかと思わせるほどの、男勝りの
ジャンプに度肝を抜かれた記憶がある。
この映像は、91年の全米選手権のフリー。
伊藤みどりと並んで、今から20年近く以前に、
既に難易度の高いジャンプを飛んでいた生粋のジャンパーの雄姿だ。






もう1つ。これは記憶に新しい、
と言いつつ、もう8年も前のソルトレイク五輪。
ショートで堂々2位になった、日本のエース本田武史選手。
8年前に既に、4+3のジャンプコンボを見事に決め
同じく4回転を成功させたロシアのヤグディンに次いで
2位発進だった。



この当時、男子シングルフリー最終グループのメンバーは
全員が4回転を最低1種類、難なく成功させていた。
ティモシー・ゲーブル(USA)と本田武史選手はこれに
サルコウも加えた2種類を決めていた。

今から8年も前の話だ。

この現実を、特に男子の技術について、
ISUの技術委員会は、どう考えているんだろうか?
スポーツの世界において、8年も前のものと比較して、
技術(ジャンプの)が”劣化”することは、あってはならないと思う。

”いや、8年前にに比べてジャンプ以外の技術が向上している”
という言うならば、8年前のビデオをもう1度見返してほしい。
レベルを取らなければいけないスピンは別として、
今と比べてそこまで劣っているだろうか?
自分だって、毎年数々の試合をこの目で見ているし、
身近で選手たちを見ているから、各選手が並々ならぬ努力をして
ジャンプ以外の技術の習得をしている姿を目の当たりにしてる。
選手やコーチ当事者たちには何の罪もない。

ただ、実際にジャンプを跳んで成功したものでなければわからない、
ジャンプだけに感じる独特の快感は、他のどの技にも代えられないのも
これまたまぎれもない事実だと思う。

試合はジャンプ合戦ではない。全くその通り。

ただ・・・、

”クワドトウまでしか4回転は飛べない”と限界を作れば、
一生トウループより上のジャンプの練習はしなくなる。


選手がそうせざるを得ないようなルールは、
やはりもう1度見直す余地があると思う。