2011年6月24日 19時41分
日銀が7月1日に発表する6月の企業短期経済観測調査(短観)の民間予測がまとまった。大企業・製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)は、東日本大震災による生産の落ち込みなどを受けて、全12機関が5期(1年3カ月)ぶりのマイナスを予測。ただ、被災工場などの復旧も進みつつあり、3カ月後の先行きDIは小幅なプラスに転じるとした。
前回の3月調査では足元のDIがプラス6だったが、震災前の回答が7割強を占め、「震災による景況感の悪化が十分に反映されなかった」(野村証券)のが実態。今回の6月調査は震災の影響を完全に織り込む形となるため、12機関平均のDIがマイナス5・6と、前回から10ポイント以上の大幅悪化を見込んだ。
震災直後は被災工場からの部品供給の途絶により、全国各地の工場で操業停止や減産が相次いだ。その後は「震災で寸断されたサプライチェーン(部品供給網)の復旧が前倒しで進んでいる」(大和総研)との見方が強く、先行きDIでは10機関が1~5のプラスを予測。非製造業の先行きDIでも、マイナスとしたのは5機関にとどまった。
日銀は6月14日の金融政策決定会合で景気の現状判断を上方修正し、「生産面での持ち直しの動き」に言及。今年度の後半以降、「緩やかな回復経路に戻る」とのシナリオを描く。ニッセイ基礎研究所は「電力需給逼迫(ひっぱく)の動きが全国的な広がりを見せつつある中、今回の短観では企業の景況感の先行きで、改善がどう示されるかが注目点」と指摘している。【谷川貴史】