昭和20年第二次大戦末期、戦局は衰退の一途をたどり、敗勢を挽回する手段として人類史上類がないとも云われる爆装をした飛行機もろとも敵艦に体当たりするという命を受けた1036名の陸軍特別攻撃隊員いわゆる"特攻隊"が飛び立って行った基地が"知覧飛行場"でした。そこには出撃直前の若い隊員達の写真や、親や家族への遺書の他、軍が決めたこの"無謀"とも云える作戦を後世に伝えるべく資料が多数展示してありました。彼らは「さようなら」と飛行機の翼を上下斜めに降り地上の人々に別れを告げ上空に消えていったといいます。その日を待つ隊員達の話相手となり、母の様に皆に慕われていたという食堂のおばさん="特攻おばさん"の事も知りました。宮川という軍曹が特攻前夜「おばさん、明日ホタルになってまた帰ってくるから追っ払ったらダメだよ」と。翌日の夜9時、一匹のホタルが開けておいた食堂の玄関からすーっと入ってきてそこにいた8人の隊員たちが驚くも、皆で「同期の桜」を謳い、ホタルはその歌を聴き入るかの様に天井にずっととまっていたという話には本当に泣けました。このエピソードは後年「ホタル」という高倉健さん主演の映画にもなったそうです。20歳前後でお国の為に命を投げ出し大空に散っていった若者達の立派さに悲しくなるのと共に、この人達のおかげで今の平和な日本があるんだという事を思い知らされます。
広島、沖縄、そして知覧と戦争の爪跡が残る地に訪れる度、その悲惨さに涙し、心の底から憂鬱で重い気持になりますが、やはり勇気を持ってそういった歴史と向き合い、日本人の一員として知っておきたいと僕は思っています。