韓国国会の企画財政委員会小委員会は22日、太平洋戦争当時に韓国の労働者を徴用しながら、戦後補償を済ませていない企業を公共機関の入札から排除する趣旨の文書を採択した。明記していないものの事実上、日本企業を対象とする内容。日本側の世論の反発を招く可能性があるが、拘束力はなく大型工事などは除外される見通しで、日韓関係への影響など今後の展開は読みにくくなっている。
韓国でここにきて日本企業を“狙い撃ち”にするかのような動きが出る背景には、日韓両国が領有権を主張する竹島(韓国名・独島)に絡む対日感情の悪化があるとの見方が強い。今月1日に自民党議員が竹島に近い鬱陵島を訪問しようとし、韓国政府がこれを拒否。来春の総選挙を控える与野党は国内世論を意識して強硬姿勢に傾いているようだ。
採択した文書は与野党の賛成で企画財政委を近く通過させ、本会議で議決することで合意している。その後に企画財政省が入札を実施する関連部署に送付し、対応を求めるという。法改正は伴わない。拘束力もなく「勧告する」という水準の位置づけだ。
韓国は公共事業などの入札で外国企業を国内企業と平等に扱うと定めた世界貿易機関(WTO)の政府調達協定を締約している。協定の対象外になっている約1000の公共機関で原則として国内企業だけの入札を実施するが、外国企業の入札参加が避けられない場合は、戦後補償が済んでいない企業を除外するとしている。
戦後補償が未決着だとする具体的な日本企業名は明らかにしていない。国会での議論の経緯を踏まえると三井、三菱、住友など旧財閥系企業が含まれる見込みだという。「未決着」と判断する基準も明示しておらず、運用が曖昧になる可能性もある。このため、日本企業の間では「本当に実施に踏み切るのか」(駐韓日本企業幹部)という疑問の声もある。
この問題を巡っては韓国の野党議員が昨年、同じ趣旨の国家契約法改正案を提案。だが、議論の過程ではWTOに提訴される恐れがあるとの判断が強まっていた。この経緯を踏まえ、与野党が文書を採択し「国会として政府の行政措置を求める」形を作ることで22日に折り合った。(ソウル=尾島島雄)
韓国、三菱
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