今朝の新聞報道によると、福島原発からの放射能漏れが収束したあとも、人の住めない土地が、かなり広く残るようだ。居住禁止になる区域の土地を、政府は借り上げる方向で検討に入ったという。土地を買い上げる案もあるが、先祖からの土地を失いたくない住民感情にも配慮して、地代を払うことで損害賠償や生活支援とする発想らしい。いずれにしても、関係住民とのキメの細かい話し合いが必要になるのだろう。
放射能汚染の広がりは同心円とは一致しないから、精密な線量の測定が必要になるのは言うまでもない。その測定も、政府主導のものは散々に批判されている現状だから、よほど精密に、信頼される方法でないと納得は得られまい。そしてデータが得られたあとも、居住不適の線引きをどうするのか、これまた難問の山積になることが目に見えている。さらに居住可能に分類されても、住みたくない人をどうするかといった問題も出てくるに違いない。多少は危険でも住みたいという人はどうするのか。
住居ばかりでなく、常磐線の鉄道や、幹線道路はどうなるのだろう。とにかくこの日本国内に、住めない使えない土地が出来てしまうことは決定的になった。そして、いつになったら住めるようになるのか、除染の方法と効果はどうかといった、未知の分野に踏み込む長い取り組みが始まることになる。
かくて日本国は領土の一部を失うことになった。失った面積が、政府による借り上げ可能な範囲に収まったことを天に感謝すべきだろう。これからも原発を推進したい人たちには、ぜひ福島の政府借り上げ地に居住することをお薦めしたい。そして身をもって放射線は怖れるに足りないことを実証していただきたいものである。その医学データは、今後の放射線対策の貴重な資料になるだろう。
それにしても、東京を含む東日本一帯が居住不可能にならなくて良かった。54基もの原発を抱えていた日本列島は、東海地震と連動でもしたら、全面的に人の住めない国になっても、おかしくはなかったのだ。今は福島の犠牲のおかげで、運転中の原発は15基だけになっている。停止した原発が安全なわけではないが、少しは危険性を減じることができた。
福島の原発被害者の方々の蒙った迷惑は察するに余りあるが、おかげで日本は亡国の災厄を免れたと考えることもできる。住めない国になる前に、間に合ってよかったのだ。