--オーストラリア某所--
「......わかった。例のモノはすでに完成しているのだな。」
「ええ。あとは専用の武装がそちらに届けば。ただ...」
「わかっている。操縦者の件はこちらにまかせてくれたまえ。」
「...わかりました。それでは。」
「ああ。」
話を終えた男は電話を切りつぶやいた。
「明日か.....」
--オーストラリア アナハイム工専--
「バナージ!!」
廊下を歩いていた少年--バナージ・リンクス--は突如大声で呼ばれ困惑した。だが刹那首に衝撃が走り誰かの腕が巻き付いた。
「痛いじゃないか、タクヤ。」
「ごめんごめん。だがなバナージ遂に、遂にアナハイムのISを見れる日が来たん だぞ。うれしいじゃないか。」
巻き付いた腕を外すとそこには満面の笑みを浮かべた親友--タクヤ・イレイ--がいた。
その日はアナハイムのISパーツ工場の見学の日だった。引率の教師と工場長の指示にしたがい工場の中を見学していく。タクヤは目を輝かせ網膜にこの光景を刻み込まんとばかりに見ているが、バナージはISのパーツが組み立てられていくのをただ無表情で見ていた。
(どうでもいい...)
バナージは内心そう思い、溜め息をついた。男が使えない兵器IS...世界のバランスを狂わせた兵器を見てもバナージは特に何も思わない。
それよりも最近になり突然現れた父を名乗る男について考え始めた。
バナージの家庭は母子家庭だ。いや、だった。ハイスクールの進学の時期に亡くなった母が唯一の家族だったのだが、母の葬儀の日、自分の父を名乗る男の遣いがアナハイム工専の費用や生活費など資金面での一切の面倒をみると、告げたのだ。父親がなぜ今頃自分の面倒をみるのか、何故父親は顔を表さないのか、そして一番の疑問は自分の父親はビスト財団の関係者なのだろうかだ。
ビスト財団...世界でも有数の財団であり、裏では色々と政治工作をおこなっている。と噂されるところであるが、あの日ビスト財団のエンブレムがついた車が来るまでは、まさか自分があのビスト財団の関係者だとは思ってもいなかった。たぶんその時からだろう、父親について悩みはじめたのは。
「......ナージ...バナージ!!」
考え事をしていたせいか、タクヤが呼んでいるのに気が付いた時には教師も生徒も周りにはタクヤ以外誰もいなかった。
「おいバナージヤバいぞ、みんな先に行っちまいやがった。」
「...ああ、ごめん。」
「早く行こうぜ、まだ近くにいるだろ。」
そう言って二人は走り出した。......数分後には道に迷い行き止まりで立ち往生するはめになり二人は途方に暮れていた。
「どうする?」
そう聞かれてもバナージは答えようもなくとりあえず職員を見つけ道を聞くという一番確実な方法で二人の意見はまとまり、もときた道を退き帰ろうとした時、施設全体を揺るがす衝撃にあった。
--SIDEカーディアス--
「ゴホッ、く...亡国企業めやってくれる......」
例のモノの視察に来てみたらこの上のないタイミングで奴らは仕掛けてきたと思いながらも負傷した左足をひきずり歩く。(あれを奪取するついでに私も始末する心算だったのだろう)体のいたるところから血を流しながらも足と思考を止めず例のモノがある部屋に入る。例のモノ...純白のISは展開された状態で部屋の中心に直立していた。よかった、無事だ、そう思ったのもつかの間、もはや満足に歩くこともできず這いよるようにISに近づく。
「奴らの手に渡る前にせめて封印を...」
敵の手に渡る前にISにパスワードを施そうとした時、
「大丈夫ですか!?」と、
ずっと見守ってきた我が息子の声が聞こえた。
--SIDEバナージ--
「参ったな...」
幸いなことに施設全体を揺るがした衝撃であったが、バナージとタクヤの二人は無事であった。
「なんだったんだ?今のは?」
「さあ?とにかく嫌な予感がする。早くみんなと合流しよう。」
そう言って走り出したバナージだが他の生徒の居場所などわからない、しかしなぜかわからないが何かが自分を呼んでいる気がした。さっきまでこんな感覚はなかったが誰かが呼んでいるとバナージは直感に従い走った。何かに近ずくにつれてその感覚は大きくなっていった。そしてバナージとタクヤが壊れた扉をくぐり抜けるとそこには、展開したISとISに縋るようにして立とうとしていた血まみれのおとこがいた。
「大丈夫ですか!?」とおもわず声をかけるとその男は顔をこちらに向けたが驚愕の表情で固まってしまった。
「バナージ!!早くその人連れて逃げるぞ。火事まで起こりやがった。」
タクヤは素早く男のそばに駆け寄り肩を貸そうとしたが男の顔を見て驚愕した。
「なっ...あんたカーディアス・ビストか!?。」
まさか超有名人であるビスト財団当主がこんなところにいるなどとは思わなかったタクヤは一瞬止まってしまったが早くこの場所から脱出しようと思いバナージに手伝えと言おうとしたが、バナージの視線はISに向けられていた。
(こいつだ!間違いない、こいつが俺を呼んでいたんだ!!)
ISは女性にしか動かせない、これは世界の常識だ、バナージだって知っている、しかしバナージはISに歩みよるとISに向けて手をのばし触れた。その瞬間触れた部分が光を発しバナージの頭の中におびただしい量の情報が流れ込んでくる。
ISの操縦方法から性能の限界、特長などetc...しかもなぜかそれらの情報が完全に理解できる。工専の授業ではやらない専門的なことまで理解できる。全ての情報を理解しISから手を放すと光は輝きを止めた。呆然とした表情でバナージはいたが、ふと二人の存在を思い出し視線を向けてみると、タクヤは同じく呆然としていたが、カーティアスは納得したような表情でこちらを見ていた。
「...バナージお前実は女なのか?」
「そんな訳ないだろう。」
間を置かず答えるが、
「いや可笑しいだろ、なんで男がIS動かせるんだよ、可笑しいだろ、JAPANだけじゃなかったのかよ男でIS動かせるのは、あと一番おかしいのはなんでお前そんなに冷静なんだよ!?IS動かせるんだぞ羨ましいぞこのやろう。!?」
「...本音が出てるぞ。」
「...いいんだよそんなことは、それよりもマジでIS使えるのか?」
「ああ。」バナージはもう一度ISに触れてみようとしたがその前にカーティアスの表情が気になった。そして声をかけようとしたその瞬間
ドカン!!!
またも施設全体を揺らす大きな衝撃が来た。
「危ない!!」
とっさにカーティアスを庇うように覆いかぶさったが幸いにもバナージたちには何も被害が無かった、
(だがぐずぐずしていては此処も崩壊してしまうだろう)
そう思ったバナージは立ち上がろうとしたが、突如カーティアスに強い力で腕を掴まれた。
「私をISのそばに近づけてくれ。」
「はぁ!?」
いきなりそんなことを言い出すカーティアスにタクヤは呆れるが
「わかった。」
「ええ!?」
バナージは危険な状況にもかかわらずカーティアスをISのそばに運んだ。なぜかわからないがそうするのが正しいように思えた。
「...すまない。君を過酷な運命に巻き込んだことを許しておくれ。」
そう言いながらISを直立に立たせている、いや拘束しているといったほうが正しい台座についているタッチパネルを操作する。
「これでいい。バナージ。きみはこれに乗るんだ。」
「えっ!?」
「大丈夫だ。さあ、はやく!!」
戸惑いながらもバナージはISに乗ろうとする。今時珍しい全身装甲のISであるが装甲の開いてある部分から体を滑り込ませるようにして乗った。そうすると自動的に装甲が閉じた。
「すぐに初期化と最適化処理が始まる。ハア...それらが終わればそのISは君 だけが動かすことができる専用機になる。グッ...」
「おい!!それよりも大丈夫なのかよアンタ。顔色がヤバいぞ。」
タクヤに言われて気が付いたがカーティアスはもはや助かることは万が一もないくらいに血を流していることに気ずいた。
「ハアハア...私は此処で死ぬ。だから最後に言っておきたいことがある。」
「...バナージ、そのISにはある秘密を解くてがかりが隠されている。それは 長い間ビスト家を縛る呪いだ。だが使い方によっては世界を変えることもでき る。それを奴等...亡国企業に渡してはならん。必ず守りきるのだ。........ラプラスの箱を...ゴホッ。」
言い終えると同時にカーティアスは吐血し床に倒れ伏す。タクヤがカーティアスを抱き起すと最後の力を振り絞り言った。
「そのISの名は...ユニコーン、ゴホッ...可能性の獣だ、お前が可能性を 失わなければユニコーンは...いつでも力を貸すだろう...すまなかった。 私は..ダメな...父親だっ......た。」
「父さん...」
「私を...父と呼んで..くれるのか。..あり...がと......ぅ」
カーティアスの顔はとても嬉しそうな顔だった。最後に父と呼んだのがよほど嬉しかったのだろうか。バナージの顔を覆うバイザー状のハイパーセンサーでタクヤからは見えないがバナージは泣いていた。
(父さん...)
いつの間にか初期化と最適化処理は終わっていた。
「...大丈夫か?バナージ。」
「ああ、大丈夫さ...ありがとなタクヤ。」
「いいって。それよりも早く脱出しよう。そのISのロックは外れるか?」
「少し待ってくれ、ええっと...」
バナージがユニコーンの拘束を外そうとしたその時壁を突きぬけて1機の緑色に塗装されたISが部屋の中に侵入してきた。
「なんだ!?」
大きな四枚羽が特徴的なそのISはユニコーンとタクヤとカーティアスの遺体を見ると手に持った大型のビームライフルを向けた。
「なっ!?」
「目標を発見、なお目標のそばに民間人1名を確認。さらに抹殺対象も確認、こ ちらはすでに死んでいる。よって抹殺成功とみなす。これより目標の確保に移 る。」
四枚羽のISがこちらに向かってくる。
「ひぃ!!!」
タクヤは未知のISに恐怖を感じ後ずさりしてしまった。しかしバナージは相手の操縦者の通信をを聞いてしまった。
(父さんが抹殺対象?)それはつまり...
「お前が...父さんを殺した...?」
バキン!! ユニコーンを拘束していたアームが外れた、いや外された。
ユニコーンが自力で自らを拘束しているアームを引き千切ったのだ
「お前が!!お前が父さんを殺したんだな!!」
全ての拘束を解くとバナージはユニコーンのスラスターを全開にし四枚羽のISに突っ込んだ。
「くっ!!」
ユニコーンの奇襲にあったISはもろに体当たりをくらい両肩を押さえつけられたまま壁に激突した。そのまま壁を突き抜けていくユニコーンと四枚羽。
「うああああああああああああ!!!」
(こいつが、こいつが父さんを)
(父さん、ビスト家の呪いもラプラスの箱もなんなのか俺にはよくわからない。
でも父さん、母さん俺は行くよ。父さんの言った通りにユニコーンを守る)
「だから!! 力を貸せユニコーン!!」
施設全ての壁を突き抜け屋外に出た2機のISは四枚羽がユニコーンを突き飛ばし互いに距離をとり相対する。四枚羽はライフルを構えユニコーン--バナージは突撃の体制にはいる。そして、、、
「ここから出て行けええええええ!!!!」
バナージは絶叫とともに四枚羽に突っ込んでいった。
........................... TO BE CONTINUED
<あとがき>
初めましてにこというものです。
初めてssを投稿しました。未熟者ですが暖かい目で見守ってもらえると幸いです。
さてこのss書いたのはいいのですがはっきり言って自分の文章力のなさを痛感いたしました。文章力を鍛えるために意見やアドバイスをどんどん書いていただけたらうれしいです。