雇用問題についての取材は、まだまだ続く。きのうは地上波テレビ局から出演の要請があったが、「私の名前はブラックリストに入ってますよ」と答えたら、さすがにNGになった。しかし地上波局まで正社員の既得権というアジェンダを意識し始めたことは、大きな前進だ。次の本でもテーマの一つにする予定なので、ジャーナリストのために経済学の基本的な考え方を紹介しておこう。
- 短期の問題だけを考えてはいけない:「解雇規制を緩和したらクビを切られる社員がかわいそうだ」という同情論は、桜チャンネルの司会者からリフレ派まで広く分布しているが、これは短期の問題だけを見ている。長期的な自然失業率への影響を考えると、サマーズも指摘するように、「労働者保護」の強化は必ずしも労働者の利益にならない。
- 解雇規制を強めることは失業率を高める:ゲーム理論で考えると、解雇規制を強めることは正社員の雇用コストを高め、自然失業率を高めるのは自明である。国際的にも、解雇規制と失業率に有意な相関があることは定型的事実である。
- 労働者の過剰保護は生産性を低下させる:解雇規制は失業率を高めるが、労働者はfirm-specificな人的資本に投資するので、事後的に解雇(ホールドアップ)されるリスクが大きいと、過少投資が生じて生産性が低下する可能性もある。どちらの効果が大きいかは実証の問題だが、多くの研究では労働者保護規制(EPL)の影響はマイナスである。たとえばOECDのEmployment Outlookでは、次のようにEPLが労働移動をさまたげて生産性に負の影響をもたらすとしている:
- 過剰な失業給付は失業率を高める:欧州のように失業給付が何年もの長期にわたり、就労時の賃金の90%を保障するような制度のもとでは、職探しのインセンティブが低下するので失業率が高くなる。しかし適切な職をさがすセーフティ・ネットとして生産性を高める効果もあるので、失業給付を全面的に廃止することは好ましくない。
- 問題は「階級闘争」ではなく「世代間格差」だ:労組はいまだに問題を「資本家vs労働者」の図式でとらえて「内部留保の分配」を要求しているが、分配がもっとも不公平なのは、これから生まれる子の税・年金負担が現在世代の18倍にものぼる世代間格差だ。本質的な問題は、中高年のノンワーキング・リッチが若い世代の雇用を奪っていることであり、階級闘争などという古い図式は、この巨大な格差を隠蔽するための目くらましだ。
- 派遣労働や請負契約の規制強化は失業率を高める:日本で派遣や請負のような変則的な雇用形態が多いのは、OECDも指摘するように正社員の雇用保護が強すぎるためである。規制をこれ以上強化して派遣や請負を禁止することは、非正規労働者を失業者にするだけだ。
- 労働保蔵を促進する政策は、生産性を引き下げる:解雇する労働者を雇用し続ける企業に政府が補助金を出す「雇用調整助成金」は、小泉政権で廃止の方向が決まったが、最近また増額されている。このような労働保蔵(labor hoarding)を促進する政策は、短期的には好ましいようにみえるが、長期的には労働移動を阻害して生産性を低下させ、労働需要を低下させる。
- 終身雇用は日本の「伝統」ではない:雇用の流動化は「日本の伝統を破壊するものだ」といった議論があるが、これは歴史的にも誤りである。労働人口の80%以上を占める中小企業には終身雇用という慣行はなく、大企業で長期雇用が一般的になったのは1960年代以降である。
- 長期雇用には合理性がある:「解雇規制を撤廃したら、みんないつクビを切られるかわからない」という議論があるが、中核的な労働者については効率賃金としての長期雇用は残る。問題は、合理的な範囲を超えて解雇を規制する規制と司法である。
- 解雇規制より積極的労働政策を:労働市場のミスマッチを解消するために職業紹介業の規制を緩和したり、労働者の職業訓練を強化したりする積極的労働政策は、解雇規制のようなマイナスの効果がなく、コストも小さいので望ましい。
- 労働生産性を高めることが重要だ:新古典派的に考えると、賃金が低いのは労働生産性が低いためなので、長期的な解決策は労働生産性を高めることだ。日本の労働生産性はG7諸国で最低になり、特にサービス業の生産性が顕著に低下しているので、労働移動を促進して生産性を高める必要がある。
コメント一覧
水の様に
川の水は随時流れている
流れない川は水が汚れて淀んでしまう
お金も人も、水と同じで動かないと価値も生まないし、腐敗してしまう
やはり、正社員の過保護は良くないと思うのです。
組織も技術もシステムも人とお金が動くことで再構築を繰り返すのだと思うのです。
当たり前の話
先生のご指摘は我々ロスジェネからすれば、当たり前も当たり前の話なんですが、敢えて先生が繰り返ししつこいくらいに説明しなければならないほど、まだまだ社会的な共通認識になっていないのが残念です。
まあ朝日新聞みたいなのが未だ〝進歩的〟であるこの国の知的レベルの劣悪さから考えたら仕方ないか。
田中秀臣氏へ
私は田中氏のブログを読んだことはほとんどないんだけど、彼のほうはマメにチェックしているみたいで、さっそく弱々しい「反論」が出てますね。
<簡単にいうとリフレ派は総需要不足の不況が日本で起こっていると考えてます。その対策には強力な総需要喚起政策が必要。ところが雇用流動化論は総需要を喚起しません。総供給側の効率化をすすめるだけです。そのため総需要喚起政策を伴わない総供給の効率化=雇用流動化は、自体を悪化させるだけです>(原文ママ)
こういう「構造改革は供給を増やすだけだ」というのはリフレ派の呪文だけど、いったいマクロ経済学のどこにそんなことが書いてあるのかね。林文夫氏もいっているように、動学マクロ理論は、需要と供給が均衡する水準(潜在成長率)の話をしているのであって、需要を増やすか供給を増やすかという問題設定がナンセンス。まぁどうせ田中氏はDSGEなんて理解できないんだろうけど・・・
「強力な需要喚起策」さえ打てばいいというなら、竹森俊平氏のいうような100兆円のバラマキ公共事業が一番だけど、それで自然失業率は下がるのかね。その喚起された需要は、長期的に維持可能なのか。そもそもゼロ金利で通貨をこれ以上、供給しても需要は喚起されないことは、クルーグマンも大統領あての書簡で認めただろ? 権威主義の君たちは、クルーグマン先生と違うことはいえないんじゃないの。
実名をあげると私にたたかれるのを恐れて、「へんなことをいつも書いているブログ」などと姑息な表現で逃げているのもお笑いだけど、君たちには何の影響力もないから相手にしないよ。ダイヤモンドの編集者も「リフレ派の話は10年1日で飽きた」といってたよ(笑)
大手マスコミの既得権
正社員の既得権についてここまではっきり踏み込んだのは今のところダイヤモンドだけです。
問題は正社員の平均年収が1500万という朝日など大手マスコミです。この自分たちの既得権については触れてほしくない、国民にも気づいてほしくない、そのためには市場絶対主義の政策をとり続けてきた小泉・竹中が悪い、経団連や資本家が悪い、格差を拡大してきたのはこいつらだ、と今後も論点をすりかえ攻撃を続けると思います。この点で大手マスコミは官僚や連合と利害が一致します。
逆にこんな低レベルのマスコミに洗脳され日本がじわじわと世界から孤立・鎖国化し、ハゲタカに買収されるくらいなら日立もトヨタも、組合や天下り役人が経営権を握り、最後は国営化してしまう、そんな(少し)ありそうな未来を心配してしまいます。
タブーが破られてきたんですね
地上波で正社員の既得権に切り込む、というのは本当に驚きです。
池田先生が地上波でNGというのは、こういうときとても残念です。
既得権側をねじ伏せ、湯浅氏辺りに世代間という本当の問題点を説いてもらいたいものですが。
あの方は、世代間や労働者間の対立なんて不毛、と述べる割には階級闘争史観にはノリノリなんですよね・・少なくとも私にはそう見えます。
雨宮女史辺りはもう完全にあっち側の信者(新自由主義が悪い!)になってしまった感があるので説いたところで気付いてもらえないでしょうけど、湯浅氏はまだ可能性があると思います。
池田先生がテレビに出れないなら、そういう場においての湯浅氏の説得役は城繁幸氏か赤木氏辺りに任せるしかないでしょうかね。
雨宮処凛
週刊ダイヤモンドには、雨宮女史も登場して「正社員の既得権を切り崩せという識者もいるが、そういう議論は労働者に対立を持ち込むものだ」と言っています。万国の労働者、団結せよ!ってか。三文芸能人にはわからないだろうけど、今や労働者階級なんて存在しない。労働組合は、若い組合員にとっては「中高年社員の互助会」としか見えてないんだよ。
『蟹工船』のころは冗談だったのかもしれないけど、今やすっかり「あっち側」に行ってしまいましたね。連合や共産党のアイドルになった彼女としては、営業上も社会主義を唱えざるをえないんでしょう。
経済学の素人なりに、保留点(ぼやきに近いと思う)がありました。
1 現状ではこのまとめの論旨を肯定する政党がない(個人の議員では多数いると思うが)ので、論旨への賛成を投票行動に移しづらい
2 日本の社会制度や文化がこの論旨の方向に適応しきれない(“正社員”的なものを当然とする心理や習慣は根深い)
3 労働の流動化は、ここ10年で最も傷を負っている地方・農村部の労働者層にとっては更なるダメージをもたらす可能性がある
4 非効率的なセクターは、過剰な労働人口の受け皿という側面がある(ドラッカーの「ネクスト・ソサエティ」では日本的な“福祉”の一種として表現されていた)
5 流動化した労働者層を受け入れる成長産業の勃興が現状でははっきり見えない。
ブラックリストなんてあるんですか、それは初めて知りましたね。
マスコミにとって都合の悪いことを言う人は取材しないと言うことないでしょうかね?
われわれ一般人としては、幅広い意見を聞きたいところです。そのほうが比較できますからね。
解雇規制に恐れをなしている人と言うのは「多数派」なのかは気になるところです。少なくとも若い人ほど恐れはないと思います。
私の友人も希望退職に応募しようかどうか迷っていると言っているわけですし、すでに一社にしがみつく気は若い人にはないはずなんですが…
「不沈船」の末路
官僚やマスコミ社員、大企業の管理職・・・あらゆるノンワーキングリッチは実際、沈み行く船の特等・1等客室の住人ですね。彼らも船が傾いているのはわかっているが、当面の間は自分たちの客室に影響はない。だから下のクラス(世代)の人には水をかき出す仕事を与えてやるから、精々がんばって我々の生きてるうちは船を支えろよ、って事でしょうか。
であればいっそのこと、このタイタニックを一気に沈めてしまう方が良いですね。一旦全員が海に投げ出して、ベーシックインカムという2等客室だけのフェリーを作りそちらに収容する。そうすると、タイタニックで下働きをさせられていた有能な人は解き放たれ、新たな船を作って活躍するでしょう。そしてフェリーの住人の一部も雇うことになる。
フェリーに住み続ける人もいるでしょうが、ノンワーキングリッチを沢山養うことを思えば安いもの。ヘタに全員に仕事を与えようとして非効率な船を作るとその維持の方が大変です。そういう船はコンセプトは美しいが、どういうわけか必ずファーストクラスがあってノンワーキングな固定客が住んでいるのです。
世代間格差のはらわた
ノンワーキングリッチとして逃げ切り悠々と年金生活に入っている高齢者や、数年後に定年を控え就職氷河期以後の若手労働者の数倍の報酬を受け取っている中高年サラリーマンから超過分の資産を奪取するにはどうすれば良いのでしょうか。
若手は労働市場の流動化によって、ある意味厳しい未来に臨まざるを得ません。それに対し、もう双六を上がった者や上がりかけている者は悠々と余生に入る事が出来ます。
この不公平感を何とかすべきではないかと思うのですが。
サンデープロジェクト
雇用問題の討論に城繁幸氏が出るというので見ましたが、予想どおり彼が浮いてましたね。特にひどいのは森永卓郎氏で、「同一労働・同一賃金」にしろというので、どうするのかと思えば「非正規社員の賃金を正社員と同じにしろ」。城氏に「あなたは構造改革がはやっていたときは、正社員の給料を下げろと言ってたじゃないか。不況になったら貧困ビジネスでもうけようというのか」と突っ込まれて返事に窮していました。
さらにひどかったのは、討論が終わったあとの「登録型派遣を決めたのは誰か」というドキュメント。最初から派遣会社を昔の「口入れ屋」と同じ暴力団の商売と決めつけ、それを企業の圧力で認めた「犯人」をさがすストーリーになっている。私の知っているかぎり、民放は非正規社員が一番多く、下請けいじめの一番ひどい業界です。派遣が悪だというなら、まず自分の会社からやめろ。
>今や労働者階級なんて存在しない。労働組合は、若い組合員にとっては「中高年社員の互助会」としか見えてないんだよ。
まったく仰るとおりです。労働組合の歴史、組織率をみれば明らかです。あえて階級があるとすれば、連合のようなトップ層でしょう。彼らは労働者ではなく労働貴族階級でしょう。組合費の上納金を吸い上げて、万国の労働者、団結せよ!ですか。笑わせてくれますよね。
re:世代間格差のはらわた
>中高年サラリーマンから超過分の資産を奪取するにはどうすれば良いのでしょうか。
ノンワーキングリッチの7~8割は持ち家、投資用マンションなど、なんらかの不動産を所有していると思われますので、固定資産税を引き上げればよいでしょう。
日本の固定資産税の実効税率(税金/不動産の市場価格)は欧米先進国の半分以下ですので、これを欧米先進国並みに引き上げれば良いのです。金融資産に課税すると、国外へ持ち逃げされてしまうかもしれませんが、不動産はその心配はありません。
さらに、小規模宅地の減免(200平米以下の敷地の場合は、土地の固定資産税が1/6になる)という悪法がありますので、これも廃止させます。これで、世田谷区などを典型とする、大都市部の居座り地主(大半はノンワーキングリッチ)も淘汰され、都市整備が進まずいつまで経っても道路が2m幅くらいで大地震時には大災害必至と言う非人道的な状況も改善されます。
これだけで、消費税1~2%上げたのと同じくらいの税収増が見込まれ、就職氷河期以後の若手労働者に負担をかけることなく、既得権にしがみつくノンワーキングリッチに選択的に負荷をかけて、世代間の富の生前移転を実行できます。
ちなみに、賃貸住宅の賃貸料に固定資産増税が与える影響は少ないです。賃貸料は需給で決まるものでコスト積み上げ式では決まらない(投資用マンションでオーナーが投資時に借りたローンの金利が上がっても、マンションの賃貸料は変えられない)し、現行で賃貸住宅の土地の固定資産税は賃貸料の2%くらいなので、それが倍になってそっくり賃貸料に転嫁されても2%しか変わりません。
雇用問題についてのまとめ
リンクに従って初めて訪問させて頂きました.57歳の技術系管理職です.
お説ご尤もかと想います.経済理論以前の次元での明快な解説でとてもよく理解できましたしお考えに賛同いたします.
因みに下名は,大学時代から専門以外に哲学,心理学,経済学に関心を持ち独学的に学んできましたが,80年代に至って経済学と心理学は学術的な追求に値しないと痛感いたしました.心を解明することは今のところ絶望的ですし,心理学そのものが殆ど役に立たない.そして,もう一つの関心事,つまり経済学の理論的枠組みたるや何とも幼稚極まりないものでした.即ち経済学を彼是弄っても何も生まれないというのが下名の結論でした.何故なら理論化の前提としての「検証可能性,反証可能性」が実に曖昧でいい加減なのです.だから論争は平行線ばかりです.もちろん物理学にも論争はありますし,意地の張り合いもあります.ただ,その論争はもっと遥かにマシです.仮説と実験結果に基づく論争ですから,対立から新たな何かが生まれてくる可能性と実際の成果が物理学の歴史には無数に存在してきました.しかし経済学にも心理学にもそれは殆ど見られません.先端物理学も数十年間迷走を続けていますが,それでも少しずつ前進しています.しかし,心理学も経済学も目先を変えているだけで基本的にはまったく停滞したままです.「経済論」はあって然るべきと想いますが,「経済学」などは未だ嘗て存在したことがなく,今後も存立し得ないだろうと想う次第です.
>ブラックリストなんてあるんですか
ブラックリストは先生の比喩で実際にデータベースのような整理されたものが存在するかは不明ですが(NHKならありそうだけど)池田先生は色んな意味で有名人なのでテレビ局には(残念ながら)都合の悪い存在なのかも知れません。
現場ではそんなことは無いのですが...
先生に出演依頼できるならまだ良い方で、こんなエピソードがあります。
以前、大麻問題の特集に「反対意見ばかりじゃバランスがとれない、賛成意見も取り入れてはどうか?」と先生の出演依頼を進言した所、内容そのものが変更されて依頼以前に先生の出番が無くなった。
他意があったか分かりませんが「やっぱ無理か...」という印象でした。
>民放は非正規社員が一番多く、下請けいじめの一番ひどい業界です。派遣が悪だというなら、まず自分の会社からやめろ。
おっしゃる通り。
結構ヒドい状況ですよね。
NHKは金払いは良いのでまだましですが...
パラサイト
日本で失業問題があまり深刻にならない一つの原因は、団塊ノンワーキング・リッチの余剰所得で、その子供のロスジェネ世代の「パラサイト・シングル」が養われている構造があります。世代間格差も、相続を考えるとそれほどではないという見方もある。しかしこれから団塊世代が引退して所得が減ると、パラサイトが維持できなくなります。
先月の失業率が急増しましたが、おそらく年度末に「派遣切り」が増えれば、10%に近づくのではないか。まぁとにかく、いったん壊滅状態になったほうがいい。中途半端な茹でガエル状態が一番よくない。
ブラックリスト
NHKにはありますよ。政治番組チームには、ちゃんとランクづけした「出演者リスト」があり、要注意人物もリストアップされてます(マル秘だけど私は昔のバージョンはもっている)。私は、たぶん「絶対禁止」ランクだと思います。
実は8年ぐらい前に「クローズアップ現代」にスタジオ出演する話があったのですが、途中で担当者が代わって「上司の命令で・・・」といって断られた。そのあとは、私の所属する研究会にNHKの人をまねいたら「池田が欠席するなら出る」といわれたり、ICPFでNHKの顧問弁護士を講師に決めたらドタキャンされたり・・・
民放では、VTR取材には何度か出たことがありますが、スタジオは「朝まで討論」だけ。CSにはよく呼ばれて、むしろキャスターが「地上波局はけしからん」などといっています。
国や企業に「騙されて」、名ばかり正社員になってる若い社員は本当にカワイソウ
多くの人は、労働は義務、納税は義務、年金も義務と思ってるだろうが、そういう責任感というか義務感を利用されてこき使われてるだけだ
「働かないと飯が食えないじゃないか」と言うかもしれないが、「そういう企業や国家」で働けば働くほど、状況はさらに悪くなっていくということも忘れちゃいけない
そういう状況でガリガリ働くのは心身に毒です
パラサイトできる人は今すぐ寄生しよう
そのほうが危機感がどんどん広がっていい
re:世代間格差のはらわた
>中高年サラリーマンから超過分の資産を奪取するにはどうすれば良いのでしょうか。
固定資産税を上げるとか、政府に金を巻き上げさせたらだめですよ。彼らに金を使ってもらって、直接市場に回してもらう方法は、まず減税ですよ。所得税の廃止・減税またはフラット化でしょう。そして、壮年・老年向けビジネスでしょうか。
とにかく政府の税収を増やすアイデアはだめです。政府や役人を肥大化させるだけです。悪循環ですよ。
法律によって政府は合法的な徴税権を得ていますが、市場で行われる普通のサービスと代金の支払いとは異なり、徴税される国民にとっては自発的な支払いではありません。個人が受け取る公共サービスと支払った税金のバランスもいいかげんです。そして徴税は強制的に行われます。ここに、政府の非効率の源泉があります。(バランスシートがもし個人が支払ったより多くを受け取っていたとしても、それは結局未来の税金で支払うだけのことです、しかも強制的に)。だから、政府が必要だというなら、それは最小の規模に押さえて、税金を最小に押さえることができる社会にしたほうが、不公正に個人の史的財産権と自由が侵害されることがないので好ましいわけです。
政府に税金を徴収させて、それを今よりうまく再分配させよう、などという甘い幻想は捨てた方が良いのです。個人の政府への依存を深めるだけです。
政府がやってきたことの中で本当に必要な仕事だけについて、その大部分を民間で行えるようにすることが必要でしょう。恣意的に設定されている税金は廃止し、所得税もできれば廃止あるいは大幅に減税すべきです。
re;Taro氏
>固定資産税を上げるとか、政府に金を巻き上げさせたらだめですよ。彼らに金を使ってもらって、直接市場に回してもらう方法は、まず減税ですよ。所得税の廃止・減税またはフラット化でしょう。
>とにかく政府の税収を増やすアイデアはだめです。政府や役人を肥大化させるだけです。悪循環ですよ。
固定資産税の増税と、所得税の減税で税収が+-トントンにするようにすれば良いんですよ。
国が膨大な借金を抱える中で、トータルの減税などまさに世代間格差を激増させる愚策以外の何物でもありません。
これまでに作った借金は、しっかり中高年~老年世代の負担で生きているうちに清算して、次世代に付けを回さないのが、人としての最低限の勤めであり道徳でありモラルです。
ブラックリスト
私が知っているだけでも新聞の宅配は独禁法に違反すると主張している国立大学教授や、ロシア女性の3分の1は売春婦だといったとかで、ブラックリストにのせられたとされる東京の私立大学のかつての有名教授がいます。
超過勤務の常態化は雇用問題には含まれないでしょうか。これが男女とも育児機会を奪い出生率の低下・世代間格差の要因になっているような。それこそワークシェアリングすればよいのに。
今日のサンプロを見て
ダイヤモンドの辻広雅文氏のコラムには、反発を覚えていた人間の一人なのですが、先生のブログや、著書を読むにつれ考えを修正せざるを得ないと考えている者です(役人という安定した身分では、あまりはっきりともの申すことはできませんが)。
2/1のサンプロの派遣法の特集を見て感じたことは、派遣法が当時の現状を追認する形でできたのかああ、ということでした。そのため、社会保障は終身雇用を前提としたまま何ら手をつけられないず、派遣法だけが一人歩きし現在の状況に至ったのではと考えているところです(それにしても、情報処理技術者の過酷さがこうも古くからのものとは思いもしませんでしたが)。
私の弟は自動車関連の仕事をしており、一昨年の年末から昨年の年始はろくに休みもない状態だったのに、昨年末から今年については、私よりも休みが多かったです。おまけにどうやら転職を余儀なくされそうで・・・。そんな状況に心痛めているところです。
イノベーションで世界は救えるか
普段から池田先生のお考えにはおおむね賛成ですが、根本的な疑問を持ち続けています。それは、日本は、世界はどのように変化するのか、金融バブル崩壊後、いったいどうやって経済を立て直すことができるのかということです。
新しい産業の創出で雇用問題は解決するのでしょうか?新しい雇用は当然生まれますが、新しい産業は知識集約型なので、雇用の総数は結局減っていくのではないでしょうか。
数年前まで高給を取っていたシリコンバレーのIT技術者の職も、次々にインド人に取って代えられています。
工業の時代は終わったということで、欧米各国は金融を産業の柱に据えましたが、こうした国々が軒並み破綻の危機に瀕しています。金融の再建が計られるとしても、米の投資銀行は既に看板を下ろしています。このような状況で金融が以前のような経済の原動力となり得るのでしょうか。
結論として、労働の生産性は技術革新によって高まり続けるが、需要の伸びには限度があるので、競争原理によってこれ以上生産性を高める必要がなくなる状態まで到達するのではないでしょうか。その時には、少数の雇用を多人数で共有する共産社会のようなものが現実的になると思います。近い将来の話ではないですが、次の世紀とかでしょうか。時間軸が違うのでここでは馴染まないテーマかと思いますが。
最低限のモラルですか
モラルの問題を論じるのであれば、政府による徴税という行為そのものが、私有財産という資本主義の原則に反する不道徳であって、それを合法とする法律自体が不道徳になります。税金とモラルとを同居させて何かを議論するのは無理でしょう。
「これまでに作った借金は、しっかり中高年~老年世代の負担で生きているうちに清算して、次世代に付けを回さないのが、人としての最低限の勤め」
この借金が国債等のことであれば、それは政府の借金であって、中高年~老年世代の個人の借金ではありません。中高年~老年世代もまた個人としては同様に税金を払ってきたわけです。世代間に政府から受け取るものに格差があるのであれば、それは政府の責任です。中高年~老年世代の人々が政府なのではありません。官僚と政治家が政府なのです。
減税ができないのは、政府が不当に大きいからです。小さい政府を実現することで減税を実現する方向で進めることが賢明でしょう。
政府の失敗を、世代間の対立の問題に転嫁することは、単に政府・官僚を利するだけでしょう。
脇道にそれますが
> 世代間に政府から受け取るものに格差があるのであれば、それは政府の責任です。
> 中高年~老年世代の人々が政府なのではありません。官僚と政治家が政府なのです。
通常の問題を語る場合は、官僚と政治家の責任を追及するのはありだと思いますが
世代間格差を語る文脈で、
中高年~老年世代が他人のせいにするのはおかしいでしょう。
これまでの大人たちが代表者を選び、政治を行わせたのですから、
若者世代から見れば、あなたたちも当事者です。
間接的な責任はあります。
仮に倫理的な過去の責任をすべて政府に負わせたとしても、
金銭的にそれを清算するのは、今後の納税者でしかのないのですから、
そのような物言いは何の解決ももたらしません。
きついコメントしますが 無責任過ぎです。
かの人が、またなんか変なこと言い出しました(笑
http://benli.cocolog-nifty.com/la_causette/2009/02/post-1c6b.html
また新自由主義新自由主義と喚いてますが、
こういう人から「新自由主義」なるものの定義を聞いたことがありません。
「新自由主義」ってのはこういう人たちの汎用の呪文でしょうか?つまりは「不信心者」って意味ですかね?
いつから経済は信仰になったのでしょうか?(笑
Re: かの人が、またなんか変なこと言い出しました(笑
学問的ロジックもデータもなしに、漠然と「私はこう思う」といわれても、議論にならない。私は神学論争をする気はないので、小倉さんも自分の主張を裏づける具体的なデータを出してほしいものです。
Re:かの人が、またなんか変なこと言い出しました(笑
う~む。観念論にもならないひどさ。(笑)
とても論評に値しないですね。
Re:かの人が、またなんか変なこと言い出しました(笑
>Bという従業員集団の労働条件がβからβ-に引き下げられたことによる余剰は、経営者と株主とで山分けされることになる。
これはヤバイ・・何処のギャングの話してるんだか。
同じ「労働者」だから、という理由で派遣社員と正社員の利害関係が一致することは殆どない。
むしろ、本当は団塊の爺をクビにしたくてしょうがないんだけど、規制が厳しいんで解雇どころか減給も出来ない。
明らかに会社のアキレス腱になってる、と思っている経営者と派遣の利害関係が一致することは十分有り得ます。
Re:ブラックリスト
>NHKにはありますよ
へぇ~やっぱHKにはあるんですね。
さすが公共放送、恐れ入りました。
先生は「絶対禁止ランク」入りですか(!!)
ひょっとしたら政治部あたりは民放もリストあるかもしれないですね。
局制作でない番組がいちいち例えば政治部とかにゲストのお伺いまで立てるのは考えにくいので、先生が黙ってたら局Pも意外にスルーするかもしれません。
出た後の番組スタッフは大変かもしれませんが(笑)
雇用問題に関しては、風向きが変わっているので民放からの出演依頼もその流れなのでしょうね。
「名はあるうちに使うもの」とはシャローンストーンがマラリアで命を落としている毎月15万人の子供に100万ドルの寄付金を集めた時に語った言葉だと記憶してますが「テレビがあるうちに」先生のオピニオンが発信できれば面白いと思うのは私だけではないと思います。
賛否はあっても大きなきっかけになる気がします。
やっぱ出演は生に限るでしょうね。
Vでは恣意的に編集されるor出演部分が丸々落とされそうですな...
あなたたちも当事者?
「これまでの大人たちが代表者を選び、政治を行わせたのですから、若者世代から見れば、あなたたちも当事者です。間接的な責任はあります」とCrispyさんが書かれています。
「これまでの大人たち」が全部怠け者で不当に利益を社会から得ているノン・ワーキング・リッチというわけではないでしょう。年齢や世代間に格差が現れるのは、単に全体的な傾向を統計的に見ているからにすぎません。個々人の差違を無視して「あなたたちも当事者です」などと決めつけることはできません。また、オーストリア学派の経済学者のMurray N. Rothbardが、We must, therefore, emphasize that we are not the government; the government is not us. The government does not in accurate sense "represent" the majority of the people. ("The Anatomy of the State", Egalitarianism as a Revolt Against Nature and Other Essays, p. 56)
と言うように、議会制「民主主義」における「選挙が国民の代表を決める」というのは一種のペテン・ごまかしに過ぎません。なぜなら、国民(私達)の「代表」だというなら、各個人の意思や指示に常に従って活動する必要がありますが、議員はそうではありません。国民各個人の代理人では決してありません。
例えば国家が明白な侵略・戦争犯罪を起こしたとします。あなたはその侵略や戦争犯罪に反対でその政権与党の政策を支持していなかったとしましょう。その場合、あなた自身に責任はありますか?(間接的責任があったと仮に認めたとして、それはあなたから過酷な税金を徴発したり苦役を課したりすることを正当化できるだけのものですか?)
政府の仕事の大半は、勝手に負債や問題を作り出しては、国民各個人にその責任を転嫁することなのです。
このように考えても、この問題の源泉が政府にあるということがご理解いただけないでしょうか。だから、いわゆるノン・ワーキング・リッチのお金を社会的に有効に使うためには、政府を介在させずに、減税と中高年向けのビジネスによって消費させるのが良いと考えるのです。もちろん、雇用の流動化、正社員の解雇制限の緩和には大賛成です(何ヶ月分かの手切れ金の支払いで解雇を可能にすべきでしょう)。
Taroさんへ
はじめに、誤解の無いように言っておきますと、
私はTaroさんの政策的な意見にけちをつけているわけではありません。
(その辺は簡単な問題ではないので、結論が出ていません。)
単に、Taroさんの当事者意識の無さを批判しているだけです。
戦争や政府を例に出すと冷静に考えられなくなる場合があるので避けましょう。
食品を販売する会社Aがあり、過失による毒物混入事故で死者を出したとします。
このとき、製品に無関係の部門に属する会社員のBさんに直接的責任はありませんが、
Bさんは遺族との対話で「A社の製造部門が悪いだけで私は関係ない」と言えますか?
次に、A社が遺族への補償による業績悪化で、給与が大幅に減額したとします。
そのとき「過失が無い私の給与を補償に充当するのは不当だ」とBさんは言えますか?
つまりBさんに、過失があろうがなかろうが、所属する会社Aの責任を間接的に負い、
遺族への補償に給与原資の一部を分ける責務が発生します。この範囲は限定的で、
無賃で働けとか、過去の給料を返済しろとは言えませんが
(くれぐれも曲解しないでください)、可能な範囲で補償に協力する責任があります。
私は、この程度の常識的観点で責任を語り、Taroさんも当事者だと言っています。
政府を悪玉とみなすのも結構ですが、若年世代に対して、過去の社会を担ってきた
世代の一員として責任を語ることもできないのでしょうか?
水掛論になりそうなので、これ以上は止めます。長文失礼しました。
主旨に戻って
池田先生へ
「解雇規制を強められたら、経営者は海外に工場を移転することを考える」は入れなくてよろしいでしょうか。
すでにいくつかの会社が「円高を理由に」海外に移動しつつありますが、実は規制強化リスクを分散する意図もあるのではないかと思います。
道義的責任はありえますが
(水掛け論にはならないようになんとかしたいと思いますが、crispyさんのコメントにもう一言)。
道義的責任あるいは一種の連帯的な責任があるはず、というご指摘は、可能性としては、そのとおりだと私も思います。国民の一人として責任を感じて欲しいと思うような中高年世代の人間がおそらく少なからずいることでしょう。
しかし、中高年世代の内の誰がそのような責任を負うべきで、誰がその責任を負わなくてもいいのか。また責任を負うべき人が多くいるとして、それらのどれだけが主体的にその責任を自覚しているのか。連帯責任だからそのような世代の人間に一律課税して良い、と言えますか? 本当に連帯責任なのでしょうか?
前回述べたように、政府と国民との関係が必ずしも現実には自発的な代理人的な関係でない以上、政府の責任を国民のすべて、あるいはある世代の人間すべてに一律に負わせて、より多くの税金を課税することに合理性あるのでしょうか? むしろそれは不公正・不正義でないでしょうか? 実際に法律を作ったり、運用したりした政治家と役人の責任を問う前に、なぜ国民のある世代全部を一律に「責任あり!」と決めつけて糾弾してしまうのでしょう? 直接的に責任のある人間に対してまず「責任をとれ」というのが筋なのでは?
世代間対立には、政府と政治家のイデオロギー的な策略があるように勘ぐってしまいます。世代間で対立させるこおで、政府官僚と政治家を免罪するための宣伝工作なのでは? 正社員・非正規社員の構図も似ていますね。天下り役人の方がはるかに巨額の報酬を得ていると思いますが。
私も懲罰的一律課税をしろなど、そんな無理が通るとは言っていません。
直接の責任者ではないのですから常識的範囲に限定されます。
それでは何故、私が間接責任を持ち出して批判しているかというと、
直接の責任者に補償能力が無いからです。
民主主義国家ではありえない暴挙と思いますが、
仮に過去の政治家や官僚の悪事を糾弾して資産を取り上げたとしても
国家レベルの問題対策に使える財源にはなりません。
何らかの失策により問題が生じたときに
直接の当事者の責任を追及するのは大事でしょうが、
それと同時に、何らかの経済的補償や対策を行わないと意味がありません。
間接責任は、そういったときに有効な政策を考える際の根拠の一つです。
直接の責任者に補償能力がないときに、その保証人に
○○が悪くて、その追及の方が先だと殊更に言われても、
被害者側としては困りますよね。
# 補償能力など経済学的に適切でなさそうな言葉遣いはご容赦ください。
Taroさんへ
中高齢層向けビジネスがことごとく上手く行っていない理由について話をしたいんですが。
退職者の退職金を当て込んで、アイビー世代よもう一度とばかりにファッションや高級車や豪華旅行が企画されましたけど、結局余り動いていないみたいですし。
所得税を減税したら消費が喚起される理由が良く分からないのですが。
crispyさんへ
まあまあ。
このように中高年世代がエゴ剥き出しで反論してくるくらい、資産課税、特に固定資産税増税は既得権ノンワーキングリッチ層に「効く」のです。
若年世代はもちろん、中高年でも土地利権はおろか持ち家もない人は大勢いるので、固定資産税増税が既得権ノンワーキングリッチ層から不義不正の富を奪うのに一番ということが知れ渡れば、実現することも夢ではないでしょう。
今日から明日へ
中高年世代の方には、日本中にあっちこっちに行って貰ってお金を落としてもらえば良いのでは。JAICAで外国へ行って技術を教えるのではなくて、ヴォランティアで日本中をあっちこっち行って貰って、どんな技術でも良いから若い世代に伝授、伝達をして頂くシステムが出来ないでしょうか?そのお礼に賞をどんどん出してその貢献度を称えたら如何ですか?
例えば、日本の金型の技術は大変な物と聞いています。長年各会社から培った技術を日本人皆の資産として、共有し、それで若い世代の技術向上に貢献するような。電気系、機械系、コンピュータ系とどんなに経済状況が変わったとしても、人間生活に必要な技術が存在すると思います。文化系であれば、簿記ヴォランティアみたいな。セミナーでも何でも良いじゃあないですか。(コミュニケイトが大切)
その為に特別交通費やホテル代などがそういうボランティアには適用できるようになれば、お金を持っている世代が日本中を回ってくれるのではないでしょうか。
極楽蜻蛉さんへ
例えばこんなのもあります。↓
http://www.icon.pref.nagano.jp/
x-accountantさんへ
「中高年世代がエゴ剥き出しで反論してくる」といわれても、固定資産税を払うようなものを何も持っていない私としては、何がエゴだか見当がつきません。「中高年世代」へのルサンチマンもまた、エゴ剥き出しなのでは?(「ルサンチマン」は中高年世代的な用語だと言われかねないので、英語にしましょうresentment)。
私の論点はまったく違います。x-accountantさんもcrispyさんも、何も理解されていない。
もし、仮に中高年からお金を社会に(あるいは他の世代に)移転させるのが良いことだとしましょう。その場合に、なぜあなた方は政府に頼って、税金という手段で、一旦国庫にお金を(中高年のものであれ本来国民のお金を)入れさせて、そこから再配分を政府にさせようとするのですか? 私は反対なのはその点です。正社員の解雇緩和も結構、必要なら中高年者の持っている金を吐き出させることも必要でしょう。しかし、なぜ、税金という愚かな手段を用いて、政府の醜い懐に金を一旦入れさせて、それからそのおこぼれを頂戴しようと考えられるのか?
それは、まったくナンセンスであって、政府のイデオロギー的な洗脳に染まってしまっているとしか言えません。政府が税金をまともに使ったことがありますか? 税収が増えた場合に無駄な歳出に結びつかなかったことがありますか? 政府の活動が新たな負債に結びつかなかったことがありますか?
中高年者のお金を有効に社会に流通させることに反対しているのではなく、税金という政府の略奪行為、それが生み出す財源がさらに助長する政府の債務の永久的な肥大化、それに反対しているのです。
政府の税金を使って世代間あるいは階級間の富の分配を正常化しようとするのは、身銭を切って政府に寄進し続けながら、ルサンチマンの鬱憤を晴らそうとすることに等しく、結局は政府が得をして、あなたに残るのは負債だけになるでしょう。
税金を使う代わりに、NPOや慈善団体に対する寄付を強制させた方が良いでしょう。もし、高齢者向けのビジネスが儲からないというのなら。彼らの金を政府を介さず、直接市場に移転すべきなのです。私が言いたいポイントはそこです。
Taroさんへ
Taroさん落ち着いてください。
ずいぶん政府への信頼が無いようですが、大変な国でお過ごしになられていたようですね。北朝鮮?
市場に出させることが可能でも、それが公平に行き渡らないのです。
そこに政府が介在するのです。
その分、効率性が落ちるのはしょうがありません。
政府の無駄、といいますが、どの程度無駄があったのか実証研究をお知りですか?
私は、Taroさんこそが、政府嫌いのイデオロギーに染まりすぎて思考停止状態になっていると今までも感じておりました。
リバタリアンということ
池田先生は「サイバーリバタリアン」という連載記事を書かれていますが、この「リバタリアン」ということの意味を、よく考えられていない方が多いようです。
合衆国建国時の政治家や思想家の多くは、多かれ少なかれ、リバタリアン的傾向を持っていました。例えば、Thomas Jeffersonは憲法を国家権力の個人の自由に対する制約を排除するための装置として考えていました。政府を「合法的な犯罪者」だととらえていました。19世紀になるとリバタリアニズムは古典的なリベラリズム(自由主義)から無政府主義にいたる多様な流派に分かれますが、共通するのは、政府の役割の最小化、「小さな政府」を指向していることです。
「それが公平に行き渡らないのです」
「そこに政府が介在するのです」
例えば、税制にしても年金にしても解雇規制にしても天下りにしても、政府と役人がやっていることでしょ? 公平に行き渡らない原因を作っている政府に富の再配分やらせて、うまくいきますかね?
政府がはじめから余計なことをしなければ、問題はより単純だったのでは?
「政府の無駄、といいますが、どの程度無駄があったのか実証研究をお知りですか?」
歳入に占める特例公債の割合が、平成19年度予算で約4分の1に達しています。実証研究などしている余裕がないくらい、日本政府の財政はおかしい。現在の政府を肥大化させる限り、将来の増税は不可避的に、巨大になっていきます。そんな赤字を増幅し続ける政府から日本国民は早く手をひくべきでしょう。
小さな政府、これがリバタリアンの答えなのです。一方でリバタリアン的経済政策を支持し、他方で政府の介入強化による社会主義的・福祉国家的な富の再配分を主張するのは、自己撞着です。