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きょうのコラム「時鐘」 2011年8月22日
京都から乗った湖西線経由のJR特急が台風に巻き込まれて各地で立ち往生、金沢まで7時間かかったことがある
いつもなら2時間余りで着くのだから3倍以上。うんざりしたが、半世紀前の中学の修学旅行は夜行列車で京都へ行ったことを思い出した。今はトラブル続きでも7時間で着くが、当時は半日かかって京都についたのだった。考えてみればこれは大変な進歩である 関西を遠ざける難所が今庄と敦賀間の峠だった。峠の線路を斜線状に上がる「スイッチバック」も今思えば貴重な体験だった。その峠をくぐる北陸トンネルが完成してことしで50年。難工事だったという。先日の徐行運転で偶然、沿線の慰霊碑をみた 金沢で開かれている「大鉄道展」の記念講演で「鉄道は近代化の象徴であり、文化遺産だ」との話があったが、まったく同感だ。鉄道は人生の「記憶遺産」でもある。蒸気機関車も特急電車も多彩な物語を持っている。やがて登場する北陸新幹線はどんな物語を生むのだろう 開通へ胸膨らませるのは子どもたちばかりではない。「乗るまで死ねない」老鉄道ファンも多いのだ。 |