気象・地震

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東日本大震災:石巻市教委が大川小の被災聴取メモ廃棄

 東日本大震災の津波で全校児童の約7割が死亡・行方不明となった宮城県石巻市立大川小学校について報告書をまとめた同市教委が、教諭や児童ら計27人に当時の状況を聞き取った約30枚のメモをすべて廃棄していたことが21日、わかった。市教委の担当者は「重要な部分は報告書に反映させた。しかし大きな悲劇だったことを考えると、聴取内容を録音するなどして残すべきだったかもしれない」と話している。

 大川小は北上川沿いにあり、約4キロ先の河口からさかのぼってきた津波で被災。計108人の児童のうち74人が死亡・行方不明になった。当時学校にいた教職員11人のうち10人が死亡・行方不明になり、学校に避難していた地域の住民も犠牲になった。

 市教委は震災後間もなく、生き残った男性教員や児童らから聞き取り調査を順次実施。5月下旬、約30ページの被災の報告書「大川小事故報告並びに聞き取り調査記録」としてまとめ、これをもとに6月4日、保護者への説明会を開いた。

 市教委は報告書作成にあたり、3月25日に職員2人が約30分間、男性教員から当時の様子を聞き取ってA4判の紙1~2枚に書き込んだが、そのメモを4月中旬に廃棄した。児童らからは4月下旬から順次聞き始め、その際のメモを5月中旬に処分したという。

 当時、大川小6年生だった女児を亡くした女性(45)は、市教委の対応について「どうしてメモを処分してしまったのか。遺族は真実を知りたいと願っているのに、市教委はしっかり検証する気がなかったのではないかと思ってしまう」と話した。

【高橋宗男、百武信幸】

毎日新聞 2011年8月21日 21時30分

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