冷え込んでいる日中間の国民感情を改善させようと、外務省が両国の市民らに直接交流を働きかける試みを強化している。日中間の「戦略的互恵関係」推進には、世論の理解と支持が不可欠とみているためだ。
「日中間の人的交流がさらに拡大することを期待しています」。外務省の山花郁夫政務官は10日、中国人観光客の査証(ビザ)発給緩和を発表した。ビザ緩和を観光業振興だけでなく、中国人の対日理解の促進にもつなげたい考えだ。
外務省は1月、対中政策の新たな3本柱を決め、その一つに「国民感情の改善に向けた交流促進」を据えた。「対立より協力した方がお互いの国益は増大するというのが戦略的互恵関係。国民の理解や支持なしに進めることは難しい」(外務省幹部)ためだ。
民間出身者として初の中国大使に起用された丹羽宇一郎氏。在任中に中国のすべての省と自治区に足を運びたい、と意欲は満々だ。丹羽氏は中国を駆け回って何をしているのか。