ハルキョンLASヨシュエス3点セット短編2 冷たくしなさい! ~ホットなラブレター~
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涼宮ハルヒの憂鬱SS
ハルキョンVer.サブタイトル『新妻ハルヒの陰謀』
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※夫婦ハルキョン設定です。特にネタばれはありません。
俺が仕事を終えて家に帰ると、リビングにハルヒの姿が無い。
すると、テーブルには俺とハルヒの食事の用意の他にメモ帳が置かれていた。
『冷たくしなさい!』
上の方に一行だけハルヒの字で書かれているだけで後は白紙。
なるほど。
俺は寝室に隠れて様子をうかがっているであろうハルヒを気にせずに飯を食べ始める。
すると、いらだった顔でハルヒが寝室から出て来て怒鳴る。
「ちょっと、何を平然とした顔でご飯を食べ始めているのよ!」
「冷たくしろって書いたのはお前だろう?」
「ちょっと、そう言う意味じゃ無くて……」
俺はハルヒのおでこをデコピンではじいた。
「勝手に俺のボールペンをすり替えた罰だ」
「あ、ばれてた?」
「気が付かなかったらこすって手帳が真っ黒になる所だったぞ」
俺は昨日、会社の同僚から摩擦熱で文字が消せるボールペンを貰いハルヒに見せていたのだ。
そして俺はハルヒが猫のように目を光らせていた事を見逃さなかった。
あれは何か企んでいる表情だった。
俺は高校の時からずっとハルヒの顔を見ているからな、間違いない。
俺はハルヒの書いたメモを冷凍庫に入れて、ハルヒと食事をしながら待つ事にした。
取り出されたメモには、ハルヒの俺に対する愛のメッセージが浮かび上がっていた。
「お前の考えている事なんてすっかりお見通しさ」
「何よ、言うようになったじゃない」
じゃあ俺からのサプライズはこれだな。
俺はハルヒがとがらせた口に自分の唇をいっきに近づけた。
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英雄伝説 空の軌跡SS
ヨシュエスVer.サブタイトル『ハートも冷やしたい』
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「ヨシュア、見て見て!」
エステルは嬉しそうにそう言って、ヨシュアの前にペンを突き付けた。
「どうしたのエステル、そんなに興奮して?」
「オリビエさんに貰ったの、こするだけで文字が消える魔法のペンだって!」
「へえ」
多分オリビエの仕事道具だろうな、とヨシュアは思った。
「これで、書き間違いをしても紙を無駄にしなくて済むよね!」
「その前に、書き間違いを減らす努力をしようよ」
「そうだね」
ヨシュアの言葉に、エステルは舌を出して謝った。
それからしばらく経ったある日の事、ブレイサー手帳を開いたエステルは真っ白になったページを見て悲鳴を上げる。
「きゃああ! 書いた文字が全部消えちゃってる!」
「暑い所に居たからね。なるほど、摩擦熱で文字が消える仕組みだったのか」
「ヨシュア、感心していないで何とかしてよー」
「大丈夫、冷やせば元の文字が出て来ると思うよ」
多分その特徴がオリビエの仕事に役立っているのだろうとヨシュアは考えた。
「冷やすって、”ダイヤモンドダスト”のアーツを詠唱するとか?」
「それは過激すぎるよ。涼しいヒンヤリとした場所に行けばいいと思うよ。そうだ、鍾乳洞へ行ってみない?」
「なるほど、それはグッドアイディアね!」
それからエステルとヨシュアの2人はツァイスの街の近くにある鍾乳洞へ行き、付近を散歩する事にした。
冷えた空気が心地良い。
「仕事以外で来ると不思議な感覚だね」
「……これって、なんかデートみたいよね?」
エステルがつぶやくと、2人の間に微妙な空気が流れた。
魔獣達のすみかである鍾乳洞だったが、不思議と姿は見えなかった。
静かな鍾乳洞に響くのは2人の足音だけ。
「もうそろそろ大丈夫だと思うけど、手帳を開いて確かめてみない?」
「まだ手帳は冷えていないわよ」
エステルはヨシュアの言葉に首を横に振って手帳を取り出すのを拒否した。
(……手帳を取り出すのはあたしの熱くなったハートが冷えてからよ!)
エステルは心の中でそうつぶやくのだった。
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新世紀エヴァンゲリオンSS
LASVer. サブタイトル『不器用な告白』
(ラブラブアスカシンジ)
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「ミサトどうしたのよ、そんなに頭を抱えて?」
ミサトの執務室を訪れたアスカは、困った顔をして頭を抱えてしまっているミサトを見て声を掛けた。
「手帳に書いたスケジュールや報告用のレポートがね、消えてしまったのよ」
そう言ってミサトはアスカに真っ白になった手帳のページを見せた。
「どうしてこんな事になったの?」
「それがね、リツコに擦ると消えるボールペンって言うのを貰ったんだけどさ」
ミサトはアスカの目の前でメモ帳の切れ端にボールペンで文字を書くと、文字を擦った。
すると、文字は綺麗に消えて無くなった。
「ふーん、面白い仕組みじゃない」
「摩擦の熱で消えるらしいわ。でも耐熱装備の実験棟から戻って手帳を開けたらこの有り様よ」
ミサトの答えを聞いたアスカはポンと手を叩く。
「それなら、冷やせば文字が出て来るんじゃない?」
「ナイスアイディア、アスカ!」
ミサトは指を鳴らして、手帳をビニールに包んでビール用の冷蔵庫の冷凍庫の中に入れた。
そしてしばらく待って取り出すと、見事に手帳に書かれた文字は復活したのだった。
「やったわアスカ、ありがとう!」
ミサトはアスカを抱き締めて大喜びした。
「苦しいってば」
「あ、ごめんごめん」
ミサトは軽く謝ってアスカの体を解放した。
ボールペンに興味を持ったアスカは、ボールペンを手にとってミサトに尋ねる。
「ねえ、このボールペン、貸してくれない?」
「いいわ、どうせならそのボールペンはあげるわよ。仕事の邪魔になりそうだし」
「へへっ、何に使おうかしら」
ボールペンを入手したアスカは嬉しそうにつぶやいた。
家に戻ったアスカはボールペンの使い道を考えていた。
「驚かせる相手と言えば……シンジよね」
そうつぶやいてアスカはどうしてシンジが相手なのだろうと考えた。
ミサトの家でシンジと同居するようになってから、何かと言えばシンジの事が思い浮かぶ。
どうして最近はシンジがこんなにも気になるんだろう、とアスカは思った。
あんなに好きだった加持さんよりも、と。
アスカは、シンジの居ない生活を考えてみる。
そうすると、アスカは世界が色を失ったような感覚になった。
「アタシ、シンジの事が好きになってしまったのかもしれないわ……」
胸に手を当てたアスカはそうつぶやいた。
そして、勇気を出してシンジに手紙を書き始めた。
顔を合わせると照れ臭くて言えないシンジへのたくさんの「ありがとう」の感謝の言葉。
しかし、最後に「シンジが好き」と書いてしまったアスカはやはり照れ臭くなってしまった。
部屋を出て台所に行くと、レンジの中に手紙を入れて加熱する。
「アスカ、何をしているの?」
背後からシンジに声を掛けられたアスカは驚いて跳び上がった。
何と間の悪い事にミサトも一緒に家に帰って来たのだ。
「ダメじゃない、レンジにこんな物入れてイタズラしちゃあ」
そしてアスカの手紙はニヤケ顔のミサトに取り上げられてしまった。
「あらあら、こんなに熱くなっちゃって。これは冷やさないとね!」
「やめてっ、ミサト!」
シンジはアスカとミサトのやり取りの意味が分からずボーっとしている。
「あ、アタシ、ちょっと外の空気を吸ってくる!」
「アスカ?」
顔を真っ赤にしたアスカは慌てて葛城家を飛び出した。
そして、しばらくした後。
家に帰り辛くて公園のベンチに座っていたアスカの前に、迎えに来たシンジが訪れたのだった。
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