君が代判決:「起立命令は合憲」最高裁4例目 広島訴訟

2011年6月21日 20時12分

 入学式などで君が代斉唱時に起立しなかったとして戒告処分を受けた広島県立高校の教職員と遺族ら45人が、県教委に処分取り消しを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(大谷剛彦裁判長)は21日、「起立命令は合憲」と判断した。教職員側敗訴の1、2審判決が確定した。同種訴訟で最高裁の合憲判断は4度目。

 過去3度の判決は都立学校での「起立・斉唱命令」が争点になったが、今回のケースは多くの原告が起立命令しか受けておらず、主な争点は起立命令の違憲性になった。

 判決は「(思想・良心の自由の)間接的制約となる面があることは否定しがたい」としながら、職務の公共性などから制約が許される必要性や合理性がある、と判断した。ただ、斉唱まで命じられた一部原告については、田原睦夫裁判官(弁護士出身)が「内心の核心部分を侵害する可能性がある」との反対意見を述べた。

 広島県では00年に県教育部長が起立を命じる通知を出し、01~04年の入学式などで校長の起立命令に従わなかった原告らが処分を受けた。1審の広島地裁判決(09年2月)は起立命令を合憲として「教委側に裁量の乱用はない」と判断し、広島高裁判決(10年5月)も支持した。

 判決後、原告側弁護士は「被爆地である広島では君が代への抵抗感がかなりある。最高裁は君が代の強制が学校現場を荒廃させていることを理解すべきだった」と話した。

【伊藤一郎】

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