Copyright NHK(Japan Broadcasting Corporation) All rights reserved. 許可なく転載することを禁じます。
東京電力福島第一原子力発電所の事故による風評被害で、農作物や水産物などの売り上げが落ち込んでいることから、17日、福島県の佐藤雄平知事が東京を訪れて、福島県産の食べ物の安全・安心をPRする取り組みを始めると発表しました。
この取り組みのねらいと、今も厳しい状況が続く福島県内の農家や観光業界の実情についてお伝えします。
安全・安心PRの取り組み強化
新しい取り組みは「ふくしま 新発売。」プロジェクトと名付けられ、安全が確認された福島県産の農林水産物の魅力を広く知ってもらい、消費拡大につなげようというものです。
東京・千代田区で開かれた発表会で、佐藤知事は「消費者に信頼される検査体制を整備するとともに、福島県産の農林水産物の情報を全国に迅速に届けて、風評を払拭(ふっしょく)していきたい」と述べました。
また、専用のホームページが17日から開設され、食べ物の産地や収穫時期などを入力して検査の結果を調べることができるほか、農家の取り組みも動画で閲覧できます。
今後は、旅行業界と協力して福島県に収穫ツアーとして客を呼び込んだり、収穫した農作物などの販売イベントも開く予定で、福島県では、消費者との新たな信頼関係を築いていきたいとしています。
(ホームページのURL http://www.new-fukushima.jp/)
“福島の農産物に理解を”
原発事故で、福島県内の農作物には依然として大きな影響が出ています。
全国有数の果物の産地、福島県では、全国2位の出荷量を誇る桃の出荷が最盛期を迎えていますが、ことしは原発事故による影響で売り上げが落ち込んでいます。
このうち、福島市飯坂町の果物農家、佐藤清一さんが営む観光農園と直売所では、桃が最盛期を迎えていますが、この時期の客の入りは去年の7割ほど減り、売り上げも、さくらんぼが9割、桃も7割程度、落ち込んでいるということです。
佐藤さんは、今回、県が始めるキャンペーンにも参加する予定で、県外の人たちに果物の収穫ツアーに参加してもらい、福島産の農産物への理解を深めてほしいと話しています。
佐藤さんは「ことしは風評被害に悩まされているが、桃の品質には絶対の自信を持っている。一度、福島に来てもらい、旬の果物を食べてもらえれば不安も払拭(ふっしょく)してもらえると思う」と話しています。
福島県では、桃をはじめ、県内の農産物の放射性物質の検査を行っていて、今後も、安全性をアピールしたいとしています。
観光業界もキャンペーン
一方、原発事故の影響で、全国でも有数の観光地、福島県会津若松市でも観光客の減少が続いています。
会津若松市内の開業から50年以上の芦ノ牧温泉の老舗旅館では、震災と原発事故からことし10月までの間に、宿泊客1万7000人分のキャンセルが相次ぎ、売り上げも例年のおよそ半分に落ち込んでいます。
この旅館の玉川福男営業部長は「8月は、例年、家族連れが多く、期待していましたが、思っていたよりも伸び悩んでいます。放射線などの問題から、なかなか子ども連れは難しいのかなと思います」と話していました。
会津若松市によりますと、市内の観光客は、震災後、去年の半分に減っていて、特に、修学旅行で訪れる団体客は8割以上減り、落ち込みが目立っています。
こういった状況を打開しようと、会津若松市は、来月1日から「会津復興キャンペーン」を展開することになりました。
市では、市内の旅館などと協力して、宿泊客に会津の特産品などを抽せんでプレゼントするなど、観光客を呼び戻そうと準備を進めています。
会津若松市観光課の鈴木康弘主査は「観光客を取り戻すには、地域の状況を伝え、地域の魅力を改めて皆さんに届けることを着実にやっていかなければいけない。一丸となって、会津の復興という一つの理念に向けて、今が正念場だと思います」と話していました。
この旅館でもこのキャンペーンに参加するということで、玉川営業部長は「行政だけでなく、官民挙げて、私たちも行政に頼るだけでなく自分たちで努力していきたい」と話していました。
(8月17日 20:00更新)