ぴーぷる |
「語り」を ライフワークとする声優
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すずいけ・しずか
東京都出身。私立藤村女子高校、東京女子体育短期大学、本学第二文学部卒業。公共経営研究科1年。婚礼司会等の人材派遣会社(有)タミーノ・アンド・カンパニーを経営する傍ら声優、語り部として活躍。芸名は遊魚静。劇団「遊魚たいむ」主宰。 |
あの「リカちゃん電話」でおなじみの香山リカ役を演じる割に、地声は意外にハスキー。優しく包み込むような語り口に心が和み、思わず話に引き込まれる。
もともと声優に憧れていたわけではない。「ストレスで激痩せした」銀行勤めを辞め、ワーキングホリデーでオーストラリアへ。ホテルで働きながらレセプションの司会を担当。帰国後、婚礼司会を皮切りに、展示会等でのナレーターコンパニオンも経験。次第に「声だけで勝負できる仕事をしたい!」と一念発起。「奥様は魔女」の冒頭ナレーションで有名な中村正氏主宰のセミナーで、並み居るプロに揉まれながらみるみる実力をつけた。「業界では『単語の立て方』と言うのですが、『その言葉は声を押して、引っ張って、膨らます』といった実践指導から言葉を自在に操る基本を学びました」
「声優仲間との演劇論についていきたい」と二文に入学したが、次第に関心は心理学へシフトし、認定心理士資格も取得。「仕事以外の場でライフワークとしている『語り』や『読み聞かせ』に直結する場が心理学の領域にあり、世の中のために私が影響を及ぼすことのできる場を見い出せたのです」。読み聞かせボランティアを行う小学校では、不登校児が朗読の時間だけは登校するという。「まさに『語り』の力は絶大です。他者とコミュニケーションを図ろうとせず、閉じこもりながらも、実は助けを求めている人たちにとって、『語り部』としての私の存在が何らかの救いになり得るのではないかと…」
大学院では声優の視点から公共社会におけるストレス問題に挑む。「医療機関や老人福祉施設などで読み聞かせを実践し、前後の心理状態の変容を検証し、ストレス軽減の方策を探りたい」と意欲満々だ。学生、声優、経営者として八面六臂の活躍。「一度にたくさんの草鞋を履いても平気?」との問いには「私は『迷ったときはとにかくGO!』。あれを取るかこれを取るか迷ったら、とにかく両方やってみる。できなくなったらその時点で何が大切か考え直すことにしています」。その表情には確固たる自信が漲っていた。
(2005年6月23日掲載)
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