対ドルの円相場が戦後最高値を更新した直接の引き金は、財務省の中尾武彦財務官による米メディアへの発言だったのではないか――。市場関係者の間に、こんな見方が出ている。
ニューヨーク時間の19日午前、米経済紙ウォールストリート・ジャーナルが、中尾氏へのインタビューを基に構成した「円相場は経済の基礎的条件を反映していない」との記事をウェブサイトで配信。このなかで中尾氏は「頻繁に為替介入をする計画はない。介入を日常の道具とはしない」とし、その上で、必要な際には「適切な措置」をとるとの考えを示している。
この内容を通信社も転電。「当面は円売り介入はない」と一部の投資家が受け止め、投機資金が円買いに向かったというわけだ。円相場はこのところ1ドル=76円台で神経質な値動きをしてきた。米経済の先行き懸念が深まる一方、日本の再度の為替介入への警戒感からだ。(山川一基)