米政府高官は18日、不法滞在で逮捕され国外退去処分の対象となっている約30万人の不法移民について、国外退去とするかどうか個別に判断する方針を決 めたと明らかにした。犯罪を犯しておらず、公共の安全に脅威とはならないとみられる人については、在留が許可され労働許可証を申請する機会が与えられること になる。
同高官は、個別判断にしたのは法執行部門の資源を最大限有効活用するのが狙いで、「国外退去の必要性が低いものについては行政上の決着をつけ、処分手続き中の者の滞留を防ぐことにする」と述べた。ただ、いつでも元の方式に戻れるという。
新方針は、米国に不法滞在している約1100万人の不法移民にとって朗報だ。同高官は「犯罪を犯していなければ、国外退去処分の手続きに入る可能性は小さくなろう。これにより、出入国管理官は退去が必要なケースに集中できる」と語った。
しかしこれは、移民政策の強化を求める強硬派の怒りを買っている。米移民改革連盟(FAIR)のダン・スタイン理事長は「要するに、米政府は入国後に暴力的な重罪を犯さない限り、入国したい人は事実上無制限に受け入れると宣言したことになる。これは、米国の移民法ではない」と批判した。
一方、移民政策の緩和を唱える全米移民法フォーラムのアリ・ヌーラニ事務局長は「貴重な法執行部門の資源を犯罪者の国外退去に利用するが、移民社会の善良なメンバーはそのまま在留させるというのは健全な政策であり、前進だ」と評価した。