政府は十九日、本年度から五年間の政策の方向性を定めた「第四期科学技術基本計画」を閣議決定した。福島第一原発事故を受け、高速増殖炉を利用した核燃料サイクルや次世代型原発の研究開発に向けた記述を、当初の案から削除するなど、原子力推進の内容が大幅に後退した。
菅直人首相が脱原発方針を打ち出すなど、国のエネルギー政策の先行きが見通せない状況が基本計画にも反映した形だ。
基本計画はまず、福島第一原発事故により国のエネルギー政策の見直しが「喫緊の課題」になったと指摘。震災前の案で、研究開発を推進すべきだと挙げていた分野から、高速増殖炉原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)を含む「高速増殖炉サイクル」を落としたほか、「次世代軽水炉の実用化に向けた研究開発を推進」などの文言も削った。
原子力に関する研究開発については「国のエネルギー政策や原子力政策の方向性を見据えつつ実施する」とし、推進の表現を弱めた。その上で放射線モニタリングや除染などの研究開発を強化するとした。
また、福島第一原発事故で「わが国のリスクマネジメントと危機管理の不備が明らかになった」と認め、原子力などの高度な技術システムで事故が発生した場合に国民の安全を守るための研究を推進するとした。
一方、再生可能エネルギーの開発などが不可欠と強調した。
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