相手が気づかないうちに鍵をコピーするというと、粘土などにに押しつけて型を取るというのがスパイ映画などでよく知られた方法ですが、よくあるギザギザの鍵なら、遠くから望遠レンズで撮影した画像からでも複製することができるそうです。
ソフトウェア「Sneakey」を開発したのはカリフォルニア大学サンディエゴ校のサヴェージ教授のチーム。「ウェブ上に自分の鍵の画像をさらしている人がいるが、それがいかに無防備であるか実証するために開発した。」とのこと。ソフトは研究用のため一般には公開されていませんが、彼らに作れるということは、ある程度の技術を持つ犯人なら作れてしまう可能性がある、ということです。
使い方はまず、ターゲットの鍵と同じメーカーのブランク(溝を掘る前の合い鍵)を用意し、事前に形状をスキャンしておきます。次にターゲットの鍵をなんらかの方法で撮影し、その画像内の鍵とブランクの特徴点(先端やホルダー用の穴など)をクリックして選択します。
たったこれだけの動作で、画像内に写っているターゲットの傾きや遠近による歪み、サイズを自動的に認識し、凹凸の寸法を正確に計ることができます。あとは、鍵用のならい旋盤を制御すれば、合い鍵の完成です。
画像はこの程度な粗さでも、認識できるそうです。これなら市販のカメラにズームレンズでもつければ、相当遠い距離からでもコピーが可能になるでしょう。なんとも恐ろしい話です。
Webに写真を出すときは個人情報にボカシを入れて見えなくするようにするのが慣例ですが、これまで鍵の先端にまで気を使ってきた人はそういないでしょう。また、「公衆の面前で鍵を見えるところに出しておかないように注意している。」という人もそうないないと思います。
こうした攻撃に対しては、シルエットからは複製できない形状の鍵や、自動車などで使われている、解錠用電子チップと組み合わせてロックを複雑にすることで、防御が可能です。例えば上の画像ような鍵は、溝や穴の形だけでなく深さの情報も必要になるので画像による2次元スキャンではコピーがむずかしくなると思われます。しかし、3D技術が一般化し始めている今、それも完全の防御とは言えなくなってきているのかもしれません。最後はやはり人間の注意力。普段から割のセキュリティホールに気を使うことが大切です。
2011/08/07,22:29:00
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