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「EverQuest II」日本語版プロデューサーSage Sundi氏特別インタビュー
「単なるローカライズではなく、日本のユーザーに合わせたカルチャライズを目指す」

6月収録

会場:スクウェア・エニックス本社ビル

 E3前日に開催されたスクウェア・エニックスのプレス発表会において、和田社長により電撃的に明かされた「『EverQuest II』の日本国内における総てのサービスを提供する」という発言は、多くのMMORPGファンにとって正に寝耳に水の話だった。何しろ次期MMORPGの大本命と目される「Ever Quest II」(以下、EQ II)を、北米展開の成功により世界最大規模のMMORPGに成長した「ファイナルファンタジー XI」を運営するスクウェア・エニックスが日本で展開するのである。

 EQ IIは英語版の一般向けβテストすら始まっていない段階だが、いちメディア、いや、いちEQファンとして冷静でいられるはずがない。そして、それはきっとEQ IIを待ち望む読者達も同じ気持ちのはずだ。それでは早速、今の総ての想いをぶつけてきたインタビュー記事をお届けしよう。


■ メーカーとユーザーの橋渡し的な役割が好きでこの業界へ

GM業務の経験が豊富なためか、いわゆる本音意見に対する対応がとても柔軟だっ たのが印象的であった。ユーザーズグループ出身という、これまで前例のないプ ロデューサーであるSundi氏の今後の活躍に期待したい
編集部 現在Sundi氏は、プロデューサーとしてどのような業務を主に行なっているのでしょうか

Sage Sundi氏 EQ IIの開発元であるSony Online Entertainment(SOE)との調整ですね。また、事業全体やローカライズを初めとしたクオリティ等、国内展開における総ての管理です。来週21日もサンディエゴへ飛んで、英語版EQ IIの開発チームと打ち合わせてきます。たとえば英語版EQ IIはまだ開発中であるため、ローカライズ作業後に仕様変更が加えられる可能性もあるわけで。開発とローカライズを平行しており、特にこの辺りの調整部分に苦心しています。

 それと「ファイナルファンタジー XI」が欧州にてサービスを開始するので、現地のスタッフへの指導等のやりとりも同時に行なっています。大体、日本には一年の内半分程度しか居ないですね。

 これまでSundi氏はGMを総括する役職ということもあり、いわば縁の下の力持ち的な印象がありました。それが今回ではプロデューサーとして表へと出てきてますよね。Sundi氏のこれまでの経歴について教えてください。

Sage Sundi この業界へ入ったのは、「ウルティマオンライン」のカウンセラーに応募したのがきっかけです。UOでは最終的に日本人スタッフを総括、そしてプロデューサーを経て、それから弊社へと移籍しました。そして「ファイナルファンタジー XI」ではオンラインサービスマネージャーを経て、現在に至るという流れです。

 業界へ入る前は消費者団体の仕事や、趣味でもユーザーズグループ関連を熱心にやっていました。消費者の声を吸い上げてメーカーへぶつけたり、草の根BBSを立ち上げたりといったことが元々好きだったんです。日本では国民性などもありユーザーズグループが出来にくい土壌ですが、特にオンラインゲームはそれではいけない。また、日本のゲームメーカーは開発から入る場合が多いですが、しかしそれ以外の道、ユーザーズグループから入る道も実はあるんです。海外では割と一般的なものの、日本ではまだ前例のないこの道を切り開いてゆきたいというのが信条ですね。

 ユーザーとメーカーとの橋渡し的な気持ちが根底にあるわけですね。役職が高くなるにつれ、その辺りのコミュニケーションを取る機会が減ってしまうことについては、どうお考えですか?

Sage Sundi ええ。今でも許されるならば、GMコールの対応を一日中行なっていたいです(笑)。プロデューサーとしての業務が増えるのは仕方ないですが、しかし今でもユーザーと接しています。それがやりたくて始めた仕事ですし。プレミアサイトの掲示板にも積極的に書き込んでいますよ。

 普段はどのようなゲームをプレイされるのでしょうか。これまでの話から察するに、オンラインゲームの、特にコミュニティ面を重視したタイトルが好きそうですね

Sage Sundi 最近はMMORPGが多いかな。今までハマったタイトルだと、「ウルティマオンライン」は勿論のこと、FF XIと後は「Asheron's Call(AC)」が好きでした。ACに関してはかなりやりこんで、レベル89位まで育てましたよ。普通、MMORPGのコミュニティって横に広がるじゃないですか。でもACはピラミッド型で、しかもこれがゲームシステムではなく、ユーザーによって形成されるというのが凄く面白かった。

 ゲームが好きというよりも、基本的にオンラインのゲームしかやらないですね。オンラインゲーム歴はかなり古く、最初にプレイしたのはMac版の「Air Warrior」(米GEnieが運営した空戦ゲーム)というタイトルです。そこからオンラインゲーム人生が延々と続いています。

 ちなみにEQはプレイされましたか?

Sage Sundi 製品版のスタート直後に、レベル15位まで育てました。当時は仕事の都合上、朝の6時に帰ってくるような生活で、一緒に進めようと約束した日本人の仲間と時間帯がずれてしまったんです。その後も計4回程チャレンジしてますが、ハイレベルという程にはやりこんでいません。丁度その頃にACが発売されたこともあり、仲間と一緒に流れてしまいました。

 なので実のところ、Raidといったプレイスタイルはあまり多くの経験はないです。しかしRaidがEQにおける重要要素の一つだということは理解していますので、経験豊富なスタッフを周りに集めて随時サポートしてもらっています。


■ 同一アカウントで北米サーバーと日本サーバー両方への接続が目標

 それでは本題へと移ります。EQ IIはWindows専用で必要マシンスペックが高い。しかもスクウェア・エニックスはコンソールで急成長を遂げたメーカーで、既に同一ジャンルのFF XIで成功を収めています。今回のEQ IIサービスの提供は、大きなチャレンジだと受け止める人が多いと思うのです。日本でのEQ IIの運営に至るまでの経緯を教えてください。

Sage Sundi 今後オンラインゲームの市場が大きくなる中、国内においてMMORPGのデファクトスタンダードを築き上げるのは弊社の義務だと感じています。その際に、海外タイトルはどうしても無視できません。世界トップクラスのMMORPGと肩を並べて仕事をしておきたいという気持ちがありました。また、単にSOEからゲームを買ってくるのではなく、ノウハウをお互いに授与することは、長期的に見れば非常に大きな価値があるものだと思っています。そこで私が猛烈にプッシュして、社内を説得したという流れです。

 SOEとはこれまでまったく接点の無いように思われるかもしれませんが、実は違います。FF XIの北米版GMはSOEに業務委託を行なっており、パイプは既にありました。そこから更に一歩踏み込んだのが弊社によるEQ IIの日本展開ということになります。

 和田社長のE3における発表では、ローカライズ、パブリッシング、コミュニティマネジメントまで含めた契約ということでした。この中の、コミュニティマネジメント面についてもう少し詳しくお願いします。

Sage Sundi プレーヤー達から意見を吸い上げて、それらの情報を元に開発者側へ修正個所を具体的に提言するという意味です。これまでの大半のタイトルでは、意見を吸い上げて開発に渡したら終わりでした。そうではなく、さらに一歩踏み込んだ関係を目標としています。

 たとえば多くのユーザーが、とあるイベントを熱望していたとする。しかし、要望をそのままの形で総て受け入れたら、ゲームバランスが無茶苦茶になってしまう。それを実現可能な方法に翻訳して開発側へ渡す、ということです。ユーザーズグループ出身としては、これが本来あるべき姿だと強く思っています。単に情報を集めるだけならば、誰にでもできますからね。

 EQには膨大な量のデータがあり、公式サイトだけでは総ての情報をカバーしきれていません。そのためユーザーは、クエストやマップデータなどに特化した、SOEと密接な関係を持ったファンサイトを活用することが半ば必須ともいえました。そしてEQ IIにおいても、この風潮は極端に変わることはないと思います。日本国内においてもファンサイトを支援したりといった方向性は考えられますか?

Sage Sundi 残念ながら現在において、EQ IIの国内ファンサイトはそこまで成熟していません。これには幾つかの原因があるのですが、日本の場合は裏のコミュニティが大きいというのが挙げられます。言い方を変えれば無記名制のコミュニティということです。欧米では、先ず記名制のコミュニティが中心にあって、その陰に無記名制のコミュニティがある。これが健全な姿だと思うのですが、日本だと無記名コミュニティが表の顔を持ち始めてきている。これではファンサイトがなかなか活発にならない。

 しかし、メーカーがファンサイトを支援することによって少しづつ改善できると思います。仮にきちっとできるのであれば、たとえばNDAにサインして頂いた上で、国内ファンサイトにデータを渡したりといった支援活動も、積極的に行なっていく予定です。海外だとバックにメディアの付いているファンサイトが大きな力を持っているので、ゲーム会社もつき合いやすいんですよね。

 なるほど。EQではギルド単位でコミュニティが収束してしまい、有益な情報もその中だけに限られてしまうのが勿体ないなと常々感じていました。

Sage Sundi EQ IIのコミュニティも北米版スタートからしばらくの間は、ギルドクローズド型で進むと思います。しかし我々もこの風潮には危惧を感じており、日本では総合的な情報を扱うファンサイトが活発になることを望んでいます。そのために我々は、ファンサイトが成長するための要素を提供しなければならない。最終的にはファンサイトが盛り上がることで彼等のエネルギーが生じ、これを開発側にしっかりと届けられる流れを築くのが目標です。

 コミュニティに対する働きかけという意味では、EQやFF XIよりもUOに近いイメージになるのでしょうか、期待しています。話は変わって、EQ IIの発売時期についてはどれくらいを考えていますか?

Sage Sundi 発売時期については、大きく分けて2通りの考え方があります。ひとつは、最低限の環境だけを整えてとりあえず発売してしまい、後からパッチで調整を行なう方法。もうひとつは、ユーザーが納得できるだけのものをきっちり作り上げてから出すという方法です。弊社の基本スタンスとしては後者ですが、あまり発売時期が長びいてはユーザーが離れていってしまう。なるべく早く出せるよう頑張っており、少なくとも北米版の発売から半年以上間が空くということは避けたいと考えております。

 アカウント関連についてはどうでしょう。日本語版のユーザーが英語サーバーにログインすること、またはその逆といったことは可能ですか?

Sage Sundi 現時点で断言はできないのですが、個人的には何としても実現したいですね。日本のユーザーだけが世界から取り残されることは、あってはならないことだと思います。全世界のユーザーが一緒に遊べることがMMORPGの醍醐味であり、国別に切り離される位ならば、わざわざ持ってくる意味がない。

 たとえば、北米のファンサイトで導入予定の新機能について議論が交わされているのに、日本人はテストサーバーにすらログインできないのっておかしくないですか? また、それぞれの国が自分達でパッチをどのタイミングで導入するかどうかを判断するのもおかしい。この時点でバージョンが世界統一されていないし、極論すると真の意味ではすでに「EverQuest」ではない。

 実にSundi氏らしい意見ですね。私もそれが本来あるべき理想の姿だと思います。しかし、これを実行するには、2バイト文字の表示周りやパッチ導入のタイミングを初めとする幾つものハードルがあるでしょう。この辺りについてはどうお考えですか?

Sage Sundi パッチのタイミングに関しては、極めて難しい問題ですね。北米にてパッチが当たる時間帯は深夜で、これって日本ではピークタイムにあたります。たとえば、仕事から帰ってきて「さぁ、EQ IIやるぞ」という時、サーバーが頻繁にダウンしているようだとまずいでしょう。かといって、日本時間の深夜まで待ってからパッチを当てる場合だと、ダウンしている間に北米版のユーザーは既に遊んでいるわけですよ。つまり、同時性を取るのか、ピークタイムと被らないようにするのかという判断ですね。

 個人的には、同時性が損なわれることによって、日本のユーザーに置いてけぼり感を与える方が問題だと思っています。現在はまだ試行錯誤中ですが、まず北米版のパッチをとりあえず当ててしまう。この時点では、もちろん新機能や新しいクエスト等のメッセージはローカライズされていませんが、プレイすることは可能です。その段階を経て、改めてローカライズ版のパッチを当てるという二重構造ですね。

 課金関係については、SOEのタイトルはStation、スクウェア・エニックスのタイトルは「PlayOnline」というシステムが既に構築されております。たとえばEQ IIへのログイン時は、「PlayOnline」ビューアーを用いる形になるのでしょうか? また課金システムについては、アジア圏においてMMORPGは比較的低い年齢層も数多くプレイするため、クレジットカードのみでは不便ですよね。

Sage Sundi ID登録関連については現時点では勘弁して下さい(笑)。でも、課金方法がクレジットカードのみ、ということは無いですよ。国内のMMORPGにおいてメジャーな課金方法は他にも何通りかあります。料金もドルではなく、日本円にしたいですね。

 熱心なEQファンは、先ず発売の早い北米版に飛びつくと思います。その後日本語版が出た際に、英語版のIDを使って日本サーバーにログインできるとなると、御社としては困ってしまいますよね。英語版でプレイ中の日本人を、日本語版発売と同時に引き込むための仕掛けは考えていますか?

Sage Sundi 既に北米版をプレイしているユーザーでも、日本版を新たに導入するメリットは大きいと思います。戦闘中等の忙しいときはローマ字によるチャットを用いても、普段の雑談は日本語の方が圧倒的に意志疎通を行ないやすいですよね。また、NPCの会話も日本語の方が速く確実に理解できるはず。私自身、UOのLake Superiorサーバーでプレイしている時に日本サーバーができた際、人が集まるはずがないと思ったけど実際には違いました。もちろん、北米サーバーの雰囲気が好きだという人がいることも承知しています。そういったコミュニティに手を出しても意味がないし、無理に引き込むことも考えていません。

 それから北米サーバーから日本サーバーへのキャラクタ移動は技術的には可能ですが、新サーバーにいきなり高レベルのキャラクタが居たら初心者は気分悪いですよね。これに関してはサーバー稼働からの日数やキャラクターレベルの上限等といった制限を設ける必要があると思います。ただし、これはまだ調整中なので変わる可能性は高いですね。

 現在スクウェア・エニックスにはすでにFF XIがあります。同系統ジャンルであるMMORPG大作を2本抱えることで、同じユーザー層がバッティングすることは懸念していますか? また、FF XIとEQ IIのユーザー層の棲み分けについては、どう考えていますか?

Sage Sundi バッティングがまったくない、とまでは言えないですね。申し訳ないとは思っているけど、しかし同じゲームジャンルである以上、仕方がないという部分もあります。それを言い始めると弊社は、「ファイナルファンタジー」と「ドラゴンクエスト」の2ブランドを扱っています(笑)。でも、FF XIとEQ IIが想定するユーザー層は、完全に被っているわけではありませんよね。

 FF XIはPS2/Windowsによるマルチプラットフォーム環境と、ファイナルファンタジーという圧倒的知名度を根底に、マス層を狙ったゲームです。その反面、PS2の縛りにWindowsが合わせている所もある。EQ IIはどちらかというと、常にハード面で最先端にしがみついていたい人達、いわばカッティングエッジの位置付けにあるのではないでしょうか。

 EQ IIのために必要とするマシンスペックや、Direct Xといったハードルは確かに高いでしょう。ですが、PCを含めたMMOのユーザー層を拡大するのは弊社の義務だと思っています。そのためにEQ IIは先へと行くべきで、あくまでもカッティングエッジを狙っていきます。


■ EQ IIの世界観を損なわずに国内ユーザー層に合わせた「カルチャライズ」に注目

 ローカライズ関連について聞かせてください。ローカライズ作業は既に始まっているかとは思いますが、現在の進行状況は何パーセント程度でしょうか

Sage Sundi テキストだけを見たらおよそ25%といった所ですね。

 EQ IIの大きな特徴として、NPC等の会話が実際に英語音声で行なわれるという点があります。これらも含んだ、ローカライズはいったいどのレベルまで行なうのでしょうか?

Sage Sundi 実はEQ IIの声優さんは凄く豪華なメンバーを揃えているんですよ。これらの素晴らしい喋りをないがしろにして、日本人の声優さんに吹き替えてもらうのはあまりにも勿体ない。海外映画の翻訳にしても字幕と吹き替えの良さはそれぞれありますが、後者はどちらかというと子供向けですよね。カッティングエッジを狙ったEQ IIとしては、音声は英語そのまま&日本語字幕という方法がスマートだと考えています。

 もうひとつ重要な点として、アイテムやスペル名はどうでしょう。たとえば「Diablo 2」の場合は、完全に翻訳してしまったがために、日本版と海外版のプレーヤーがコミュニケーションを交わすことが極めて不便でした。またFF XIでは、定型文辞書機能を導入することで対応しています。EQ IIにおいてこれらの固有名詞の翻訳はどこまで行ないますか?

Sage Sundi やはり一番気になるのはそこですよね?(笑) これは現時点では確定していなくて、お答えできず申し訳ないです。ですが、英語表記・日本語表記の両方にそれぞれ良さがある。しかし併記すると長くなってしまう。この辺りのメリット/デメリットは把握しております。最終的にプレーヤーの期待を裏切らない翻訳方法を選択しますので、期待していてください。

 個人的には仮に翻訳するとしても、何らかの方法で英語表記法が分かると嬉しいですね。古い例ですが、Wizardryのように英語/日本語表記をオプションで切り替えられたりといった感じで。質問をかえますが、ローカライズに関して一番こだわりたい箇所はどこですか?

Sage Sundi ローカライズによってEQ IIオリジナルの世界観が壊れることは絶対に避けたいです。そして、ローカライズを行った上で、なおかつ日本のユーザー層に合わせたプラスアルファの要素を提供します。単なるローカライズではなく、いわば「カルチャライズ」です。

 カルチャライズというのは、日本文化に合わせた仕様変更という意味ですか? もう少し具体的な説明をお願いします

Sage Sundi 何が何でも日本の文化だから取り入れていい、ということではありません。そりゃEQ IIにミスラやタルタルが出てきたら違和感ありまくりですよね。あくまでもEQ IIの世界観を壊さずに、なおかつ日本人にとって遊びやすいように調整するということです。またSOE側も、EQ IIについては単純にローカライズして持ってくるだけではダメだと考えているようですね。

 たとえばチュートリアルにしても、国民性の違いによって最初は移動に必要なキーを一通り教える方法もあれば、とりあえず何でもいいから攻撃してみよう、という選択肢もあるわけです。他にもゲームのインターフェイス周りは、EQ IIの世界観には直接影響を与えない部分も多い。そういう意味ですね。

 おぼろげながらカルチャライズの姿が見えてきました。たとえば国内のMMORPGはFF XIがデファクトスタンダードとなりつつあるため、ジョイパッドでも操作しやすいように環境を整える、といったことですね。

Sage Sundi これ以上の具体的なカルチャライズ内容について現時点では申し上げられないのですが(笑)、少なくとも今まで見てきたローカライズとは大分違う印象を持つと思います。カルチャライズに関する作業は非常に繊細で難しいのですが、しかし作業していて一番面白いですね。きっと良いものができると思うので期待していてください。

グラフィックス、システム、ロールプレイなどあらゆる点でカッティングエッジを狙って開発されている「EverQuest II」。我々が日本語環境でプレイできる日はいつになるだろうか?


楽しそうにEQ IIのキャラメイキング機能を解説するSundi氏。今後いずれβテスト に触れる機会があったら、カルチャライズの観点から見た意見を積極的に伝えて いこうと思った
 「ウルティマオンライン」のゲームマスター時代、リチャード・ギャリオットから命名された「Sage Sundi」という名前にこだわる続ける氏は、その発言総ての根底にユーザーコミュニティありきというポリシーを強く感じた。そして、ユーザーの考えを骨の髄まで知り尽くした氏が音頭を取り、海外MMORPGの大本命タイトルを発売後から僅か半年以内で、しかも単なるローカライズに留まらない「カルチャライズ」として日本へ送り出す。海外MMORPGに少しでも興味を持つ中で、この構想に期待を膨らませない者など居るのだろうか?

 インタビューを終えた後、短時間ではあるが現在の開発バージョンのEQ IIを見せてもらった。EQ IIの本編もさることながら、インタビュー内容を踏まえた上で、ローカライズ的な観点から見ると実に興味深かったのが忘れられない。一例を挙げると、NPCの喋る英語の音声に応じて、画面に映る唇も正確に動いているのだ。これらの魅力を損なわないためには、一体どのようにローカライズを行なうのが最も良いのだろうか。しかし、最終的には日本のEQファンにとって理想的な方法を採用してくれるはずだ。そう思わせるだけの密度を持ったインタビューであった。

 それにしても、今まで数多のタイトルのローカライズ作業を見てきたが、まさか仕様周りを聞いただけでここまで興奮するとは思わなかった……。実際にEQ IIに触れていない段階ですら約3時間のロングインタビューとなったのだから、今後βテストが始まるにつれて、聞きたいことが山ほど出てくるのは想像に難くない。本稿の読者の中にも、EQ IIについて気になる部分はいくらでもあるだろう。もし良かったら、筆者宛にメールでその気持ちを是非とも伝えて欲しい。意見を吸い上げて次回のインタビュー記事へ反映させることを約束しよう。

EverQuest is a registered trademark of Sony Computer Entertainment America Inc. in the United States and/or other countries. (C) 2004 Sony Computer Entertainment America Inc. Uses Granny Animation. (C) 1999-2001 by RAD Game Tools, Inc. All Rights Reserved.

□スクウェア・エニックスのホームページ
http://www.square-enix.co.jp/
□Sony Online Entertainmentのホームページ
http://www.station.sony.com/
□「EverQuest II」の公式ページ
http://everquest2.station.sony.com/
□関連情報
【5月11日】スクウェア・エニックス、「Ever Quest II」の日本での取り扱いを正式発表
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040511/eq2.htm
【4月28日】SOE、「EverQuest II」βテスターの募集を5月3日より開始
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040428/eq2.htm
【5月16日】Sony Online Entertataimentブースレポート
βテスト直前の「Ever Quest II」 プレーヤーの前に拡がる世界とは?
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040516/e3so.htm

(2004年6月21日)

[Reported by 川崎政一郎]



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ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp

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