――プロダクトプレイスメントがさらに増えて、民放のテレビ局のように広告収入だけで利益が確保できれば、映画を無料で公開する、といったことも可能ですか?

亀田: それでは劇場が儲かりませんから、公開する劇場が無くなってしまいます。だから難しいでしょうね。映画ビジネスは、制作して原版が完成したら劇場に配給して、まず興行収入が入ってくる。その後も、DVDやテレビ放映、ネット配信などの権利を使って収益を得る。最近は海外に売れて収入が入ってくることも増えました。プロダクトプレイスメントについては、もう一つ収入源が増えたと考えています。しかも『秘密結社 鷹の爪』では、ネタも提供してくれる。本当に協力していただいた企業には感謝しています。

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 劇場版『秘密結社 鷹の爪』がプロダクトプレイスメントで成功したのは、ギャグ映画だったことが一番の要因だが、亀田氏やFROGMAN氏がプロダクトプレイスメントをどのように活用したら、その効果を最大化できるかを考え抜いたことがすごい。その結果、たどり着いたのがネタにすることだったわけだ。もちろん、シリアスな作品では同じような手法を採用することは無理だが、映画の制作費を得る手段として、どうしたらプロダクトプレイスメントが活用できるか、業界に再考を投げかけた功績は少なくない。

 最後にビジネスパーソンにとっての見どころを聞いたところ、「単純に笑っていただければいいと思います。新しい形態の映画として、観ていただき、観賞後に新しいものを感じていただければうれしい」と話す。観客がプロダクトプレイスメントで笑う瞬間を観にいくのも大人の社会勉強ではないだろうか。

(渡貫 幹彦=日経トレンディネット)