――劇場版『秘密結社 鷹の爪』のプロダクトプレイスメントは商品が思いっきり出る以外に訴求ポイントはありますか?
亀田: 面白く取り上げてくれることですね。実はこの面白くという点が観ている方の共感を呼ぶわけですよ。最近の広告は、企業が自信を持ってメッセージを発信しても伝わりにくくなっています。その一方で、信頼できるフィルター、あるいは親近感のあるフィルターを通した情報には共感しやすい。クチコミが効くのはそういう理由です。
この親近感が『秘密結社 鷹の爪』にはあるんです。友だちが教えてくれたような親近感とでも言いましょうか。これを表す例として、ミクシィには『秘密結社 鷹の爪』の主要な登場人物である島根の吉田君という名前で登録があるんですが、マイミクが4万人以上もいます。もちろんコメントも多数投稿されます。みんな、島根の吉田君が実際に存在すると思って、想像してコメントを書いているわけです。「総統は元気か?」とかね。こういう世界が出来上がると、『秘密結社 鷹の爪』が推奨というのは、自分が親近感を持っている第三者からのメッセージとして伝わるんですね。
だから、テレビCMなんかも作りやすい。今回の映画の協賛社、日本レジストリサービスさん(.jpはこの会社の商品)は、テレビCMやWeb広告、雑誌広告を展開しました。吉田君や総統を通じて「ドメインは.jpにしてね!」と嫌味なく言えるのは大きい。
それから、クライアント企業にとっては、アニメだから商品を撮影現場に持ち込む必要もありません(笑)。ネット上の画像とか送ればいいわけですよ。
ほかにもキャラクタービジネスも展開しています。第二弾でもプロダクトプレイスメントに協力いただいたジャストシステムの商品の開発者、カスペルスキー氏を登場させましたが、第三弾でもカスペルスキー博士として登場します。つまり、自分の会社のキャラクターも映画に出演させることができる。僕はこれはキャラクタープレイスメントと呼んでいます。
ただ、あんまり硬い企業の商品は入れづらいし、企業も入れたくないでしょう。笑いのネタにされるので。笑いのネタにされたら困る商品っていうのもあって、そういうのは『秘密結社 鷹の爪』では難しいでしょうね。でも、商品が思いっきり出ますから、弊社の営業もクライアントに売りやすい。広告商品の品ぞろえの中に、こういうのがあってもいいと思います。