――劇場版『秘密結社 鷹の爪』も同じ理由での出資ですか?

亀田: そうですね。同じように『秘密結社 鷹の爪』を利用してブランデッド・エンタテインメントを考えるなら、電通と組むしかない。電通にとっても『秘密結社 鷹の爪』を使った、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌の広告を受注できる。

 ただ、私はもっと広告というビジネスと結び付いた出資をしたいと考えていました。映画のワンシーンを利用したタイアップ広告は一般的です。要するに「なんで電通がいるの?」ではなく「電通がいたからできた!」という映画にしたいと思ったのです。そこでプロダクトプレイスメントを活用しようというアイデアをずっと温めていました。言葉は知っていてもあまりやられていないのが現状でしたし…。

――プロダクトプレイスメントは制作現場からは作家性や世界観を損なうとして敬遠されることも多いと聞きますが、FROGMANさんを含めて制作サイドの反応はどうでしたか?

亀田: 06年3月末だったと記憶していますが、ビックリしたんですよ。Flashで30分の番組が制作できて、それがレギュラー番組になった。しかも、新聞に書いてあったのですが、制作費がこれまでの10分の1だと。1〜2割安くするのは努力でできるかもしれませんが、10分の1というのは革命だと思いました。

 新聞でそんな記事を読んだ次の次の日でしたか、知人がディー・エル・イー(『秘密結社 鷹の爪』の制作や配給を手掛けている)を紹介したいと言ってきて、椎木社長やFROGMANさんと面識を持てたんです。最初に会ったときから、私は「この作品は映画にきっとなるから、その際はご一緒しましょう」とお話ししたのですが、その後、テレビシリーズの視聴率も上がって、TOHOシネマズでテレビシリーズを一気に上映する機会があったのですが、このチケットは即完売しました。そんな経緯で、予想通り映画化の話が具体的になってきたので、プロダクトプレイスメントをやりたいと伝えるタイミングがやってきました。

 ドキドキしながらディー・エル・イーを訪問したのを覚えていますが、実際にはあっさり「ウチも考えてました」くらいのノリでプロダクトプレイスメントに賛同をいただきました。FROGMANさんは新しいことに前向きな方です。しかも、まだ新人監督だったことも大きかったかもしれません。「みんながやっていないことをやりたい」――同じ気持ちのパートナーに出会えたのは幸せでした。保守的、コンサバな人たちとやっても、僕が空回りするだけですから。

車メーカーとのプロダクトプレイスメントの例。ここまで大きく製品が登場する
(C)「秘密結社 鷹の爪 THE MOVIE3」製作委員会(画像クリックで拡大)

プロダクトプレイスメントの例。背景の看板に注目
(C)「秘密結社 鷹の爪 THE MOVIE3」製作委員会(画像クリックで拡大)