さとて。
ぬいぐるみとは言え、
ショーデビューが「マイクヨー」という妖怪役の私。
このマイクヨーというのは、
カラオケボックスに潜む妖怪で、
要は、カラオケのマイクから生まれた妖怪なんだけど、
設定の無理矢理加減に、正直疑問だらけだ。
なんで、カラオケなんだ・・・
なんで、マイクなんだ・・・
しかも、マイクの形をしているんならまだしも、
マイクの「マ」の字もない、
髪の毛は赤毛のドレットで、聖飢魔IIの閣下みたいなメイクで、
爪がやったら長く、
黒いマントをしょっているという、
マイクが一切関係ない妖怪だった。
で、本番当日。
現場は当時、
セーラームーン特集をやっているという某遊園地だった。
セーラームーン特集ってなんなんだ。
色々準備して、控え室とやらに向った。
そこは控え室とは名ばかりで、異臭の漂う汚い倉庫で、
倉庫なのに、屋根もない・・・
意味がわからない。
そこで、着替えをしなくちゃならない。
テンションがた落ちの私は、
ショーまで少し時間があったので、
気分転換に
ちょっとその辺をウロウロしに行ったら、
驚いた。
ショーの会場は満員御礼。
女の子だけじゃなく男の子の子供も沢山で。
しかも子供だけじゃない。
カメラ小僧までいるのだ。
しかも相当数のカメラ小僧だ。
そう、
その時代はセーラームーンは大流行中。
所謂、アニメのアイドル。
「萌え〜」なワケだ。
今でいうアキバ系の方々が、
もっすごズーム出来るんだろーな的なカメラを構えて、
所狭しと並んでいる。
私はこの驚きを、セーラー戦士のHちゃんとYちゃんに伝えようと、
控え室に戻り、
一部始終を話し、Hちゃん、Yちゃんを連れて行こうとしたら、
そのセーラームーンオタクの劇団員に、
すごい勢いで止められた。
セーラー戦士はウロウロしちゃいけないらしい。
皆のアイドルセーラー戦士は、素顔を見せてはならぬのだと。
舞台裏から出て行ったら、関係者って解るかもだし、
そういうのが解らなかったとしても、
とにかく細心の注意を払わないといけないと。
じゃないと、子供の夢を崩すのだと。
それに、一番の問題はカメラ小僧達で。
そのカメラ小僧は列記とした大人なので、
セーラー戦士の中身がどんな人かまで、
追っかけて撮るらしい。
むしろ、そっちに興味を抱く人も多いらしいし、
やけに鼻の効くヤツが多いみたいで、
舞台裏で、出待ちとかしてる人もいるんだとか。
大人気だ、セーラームーン。
ま、マイクヨーな私は、全く関係ないけど。
そんで、衣装を着て、お面をするんだけど、
その前に下に全身タイツをはかなくちゃならない。
しかも肌色だ。
肌色の全身タイツがはけるなんて、なんていい経験なんだ。
と、
簡単にテンションが上った私達。
はしゃいでると、上部に何かの視線を感じた。
はっっと見上げると、
天井のない控え室なもんだから、
カメラ小僧が壁をよじ登って、
覗いて写真を撮ろうとしているじゃあないか!!!!!
そうまでして、セーラー戦士を追いたいのか・・・
なんだか哀れだ。
遊園地のスタッフが追い払ってくれて、
着替えて本番へ。
で、このショー。
ほんっっっとに大盛況の満員御礼で、立ち見もいる程だ。
ただし、私は悪役。
そう。妖怪。
人間って恐いよな。
ぬいぐるみであって、中身は鼻子なのに、
出た瞬間、会場中がブーング&悲鳴に包まれた。
しかも、満員御礼なだけに、相当なブーイングと悲鳴だ。
ち、ちきしょう。
私はただ日当6000円のバイトさんで、
別に、女優になりたくて下積みしてるワケでもなんでもないのに、
なんで、こんな悲鳴をあげられなきゃならんのだ。
方やHちゃんやYちゃんは、大人気のセーラー戦士なので、
出てくるや否や、
同じ悲鳴は悲鳴でも、歓喜の悲鳴だ。
キャーキャーだ。
アイドルだ。ジャニーズだ。
カメラ小僧もシャッターバシャバシャだ。
そんで、
主役のセーラー戦士達が舞台上で演技中、
妖怪との絡みがない間、
妖怪の私は何をしなきゃいけないかというと、
客席に降りて、子供達を恐がらせに周らなきゃいけない。
こうやって、恐がらせる演出は必要らしく、
そんな嫌なヤツを倒すからこそ、セーラームーンは強い!
みたいな演出なワケだ。
もうね、
これが正直めんどくさい。
結構長い時間、セーラー戦士達だけの演技が続くから、
その長い時間、
「うおおおおおおおお」
とか、
「ぎょえええええええ」
とか
言いながら、子供と絡まなきゃならんワケだ。
で、
私演じるマイクヨーには、
カラオッケーという部下がいるんだけど、
このカラオッケー役が、
すんごい張り切って子供を追うワケよ。
そしたら、なんか私も頑張らなきゃいけないんし、
子供って無邪気だな。
ただのバイトさんなのに、本気で恐がるワケよ。
中には泣き出す子供もいて。
でも、しょうがないから、続けてやっていたら、
とある1人の男の子が、
背後から私にケリを入れてきた。
振り向くと、
「オマエ。悪い奴だろう!!やっつけてやる!!」
と、
意気込んで立っている。
別にいい。
そう、だって、今私は妖怪なんから。
と、言い聞かせようと思ったが、無理だった。
そう、
私は心が狭く、そして子供に滅法厳しい。
しかも「背後から」来たというずるこさにイラっとし、
大人になれなかった。
親御さんがいるってのに、その子供を持ち上げて、
足首を持って、
逆さ吊るしにしたった。
「やめろよ!!降ろせよっ!!」
と、言っているそのガキ。
でも、ここは演出を利用して、本当の意味でお仕置きだ。
「背後から来るなんて、男のする事じゃねぇぞ・・・」
と、周りの手前、小声で言いながら、
逆さ吊りにしたった。
大人げなかったとは思う。
そしたら、泣き出したので、
正直ヤバイと思い、
「このくらいにしてやろう」
と、言って、その子を開放してやった。
すると、
親御さんに抱きつき、うえうえ泣いているので、
あ、本気でやばい。
これは怒られるかも。親に。
と、はっとしたが、
大人って得だ。
ぬいぐるみを着ているし、顔は見えない。
そして、大人は中身が人間と知ってるので、
私が悪役として遊んでやったみたいに見えたらしく、
その親御さんに
「すみませんね。ありがとうございます!!」
と、
なんだかしらねぇけど、
感謝と謝罪を頂いてしまった。
良かった、怒られなくて。
そんで、マイクヨーは無事倒されて、
午前、午後共に、楽しくショーは終了。
私達は帰る準備を始めた。
するとそこに、遊園地のスタッフがやってきて、
こう言った。
「今日はありがとうございました。
もし良かったら、今セーラームーン展示会をやってて、
通常は有料なんですが、皆さん無料で構いませんので、
是非見て帰って下さい。
それと、これ、皆さんでどうぞ。」
と、
実際アニメで、
セーラー戦士達が個々に必ず持っている重要アイテム、
「ムーンストーン」を人数分くれた。
ちなみに買うと300円位はするらしい。
ま、要は、
プラスチックで出来た石のようなもので、
それぞれの戦士にちなんで出来ていて、
黒い小さな巾着に入っており、空けてみないと、
どの戦士のムーンストーンになってるかわからない仕組みだ。
いらねぇぇぇ・・・
すっごいいらねぇぇぇぇ・・・
いらねぇし、もう帰りたい。
私達3人が3人ともそう思ってるその時、
セーラームーンオタクの劇団員達は、
引く程の悲鳴を上げ、
テンション最高潮で、大喜び。
「キャー!!、セーラーヴィーナスのだ!!}
「えーっっ!!私、セーラージュピターだ!!
ねぇ、アタナ、マーズの方がいいいでしょう?
こっちと変えっこしようよ〜」
など等、とにかく大興奮。
そんな大興奮な劇団員達が、タダで展示会に入れると聞いて、
行かないワケがないので、皆揃って帰る為、
私達はムーンストーンを手に、
展示会に行かなくちゃならなくなった。
展示会は、
今で言うコスプレ、セーラー戦士の服や、
文具、うちわ、マンガ、ブロマイド、CD、
等身大パネル、ぬいぐるみ、とにかくなんでもあった。
劇団員達は、常に無償奉仕なくせに、
これでもかという程のセーラーグッツを買い上げて、
キーキー盛り上がっていた。
その間。
私は、さっき逆さ吊りにした男の子を発見。
親御さんにさっきの妖怪です。と、自己紹介して、
大人気なく、イラっと逆さづりにした侘びに、
その男の子に、貰ったムーンストーンをあげた。
すんげぇ、喜んでいた。
いいヤツだ。マイクヨー。
しかし、まさか。
自分で「妖怪です」
と、自己紹介をするとは思ってもいなかった。
人生で。
ただ1ツ心配なのは、
その男の子が、
今も女子戦士とか追っかけてなきゃいいけど。
だって、
男の子なのに、セーラームーンて・・・
ちょっと心配。
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1.止めに来たセーラームーンオタクの劇団員がいなかったら
2.もしこの時とあるカメコと内通していたら
ムーンと美菜子とあなたの素顔拝めたかもしれない。
ムーンと美菜子とあなたとカメコと数人の子供で前話してたらもの凄く短いが楽しかっただろうし、数人の子供のなかには中の人にはまる子もいるかもしれない。
その状況をもし、
セーラームーンオタクの劇団員が見てたら、
その人にとってはネタバレもあって最悪な光景だろな。
もし、
ムーンと美菜子とあなたの素顔を撮ったカメコ
が「公開してもいいですか?」との声にあなたはどうしますか?
男の子は着ぐるみフェチはあっても、
今回の件では中の人フェチまではいかないだろう。
ついでにあなたの素顔ってどっかにないかな?
みたい。
私の写真はないです。残念なブサ顔ですからね。
おまけですが、ムーンと美菜子はキレイです。
しかし
読み返してみてかなり偏った書き方だなと思いました。色々な意味で反省。
ちなみに余談ですがカメラ小僧さんは個人的に好きです。前職でカメラ小僧さん絡む事が非常に多かったのですが、皆いい人ばっかりでした。
でもマナー違反の人はいやですね。今回の場合、着替えを撮るって・・・どうなの?それ?って思っちゃいます。
まぁこの時点でこの人カメラ小僧を名乗る資格なしですが。
前説、いいですね。やればよかったな、今更ながら。こっちも楽しかっただろうなって思います。
そんな権限なかったですが。笑
>残念なブサ顔ですからね。
>おまけですが、ムーンと美菜子はキレイです。
ごめんなさい、
やはり、
あなたとムーンと美菜子の素顔写真をモザイク無しで見てみたい。
あなたの写真は今撮ってきたものでもかまわないので…。
と言うか一度見てみないと、
個人評価差もあるのでコメントできない。
但し写真のルートは、
公開かひそかにメールにて請求のどちらか決めて下さい。
あと、
着ぐるみ上がりの汗まみれ、
ボンバーヘッド
で奇跡的に美しく化けることもあるので、
カメコはそれ狙いか、
但しこれは首から上の話だから、
それ以外となると確かに問題だね。
あと1の方の文書でもし、
外部からでスタイルも声も顔もいいのに、
ボーズが致命的すぎて、
余っていたしゃべる敵役に回された。
セーラームーンオタクでデブが昇格。
後者は喜び、前者に対して「ざまーみろ!」と言った。
こうなった場合、
敵役の子はあまりに声が良かったので、
「顔見せて」との声に素顔公開し、
さらに人気になり、中の人フェチを生み
デブの方はデブ専のオタクしか人気がなかった
当然ショーはぶち壊しである。
こういう可能性もあったよな?
そういえばセーラームーンのアニメの方は
自分が小4〜中2の頃で、男児であり
その前のもーれつア太郎→きんぎょ注意報は見られたのだが、セーラームーンになってあわなくて嫌いになり日本昔ばなしへ避難。
(平成教育委員会も嫌いでそう言う男児多かった)
きんぎょ注意報復活を願っていた。
しかし、着ぐるみの中の人は好きだったので、
セーラームーンの着ぐるみに攻撃し、
セーラームーン役の中の人に不満ぶちまけていたかも…。
しかもこれ、もう何十年前の話ですので。
あしからず。
多分、このようなコメントが突然書き込まれたのは、某着ぐるみフェチの掲示板にこのブログが紹介されたからだと思うのです。
同じ着ぐるみフェチとして、き○がいのようなコメントを書くようなヤカラが出てしまったことを、大変申し訳なく思います。
どうか、お気を悪くなさらずに。
教えて下さって良かったです。
ご丁寧にどうもありがとうございます。