東村高江の座り込み現場でヘリパッド建設について話を聞く学生たち=2010年12月
2010年12月3日、米国務省。日米関係や沖縄の基地問題を学ぶため同省を訪問した首都ワシントンのアメリカン大学の14人の学生たちを前に、ケビン・メア日本部長は終始リラックスした表情で話し続けた。しかし、穏やかな口調とは裏腹に出た言葉は、沖縄県民を「ゆすりの名人」「怠惰でゴーヤーの栽培も他県が多い」と断ずる差別的発言だった。違和感を抱いたまま学生たちは来県。そこで基地に苦しむ沖縄の現実に直面し、メア氏の発言との大きな乖離(かいり)に気付くことになる。
「沖縄の人々を見下していた。このような人が外交官であるなんて悲しい」。講義を聞いた学生の1人はこう振り返った。
事前に勉強会を重ねた学生たちは、質疑応答で「なぜ普天間が必要なのか」「辺野古移設による影響は」と投げ掛けた。
メア氏は、それまでの穏やかな表情から一転、いら立った様子で「辺野古が最善だ」の一点張りだった。学生の中には基地賛成派もいたが、多くの学生が県民を侮蔑する彼の発言に落胆した。
「沖縄の人たちは本当にレイジー(怠惰)なのか」。メア氏の発言に疑問を抱いたまま12月18日、来県した。
最初に訪問したのは沖縄戦の激戦地・糸満市。轟の壕では、暗闇の中で戦争が終わるのを待ち、飢えに苦しみながら息絶えた住民の体験に思いをはせた。1時間の滞在でも怖かった。多くの学生が涙を流した。体験者の証言も心に重く響いた。
広大な普天間飛行場は民間地に近く危険だと感じた。移設先とされる名護市で面談した稲嶺進市長は「陸にも海にも造らせない」と語っていた。
「沖縄はまだ軍と戦争に囲まれている。米国は沖縄の人々を傷つけている」。メア氏の発言と現実の沖縄の姿は懸け離れていた。
米軍ヘリパッド建設が進められている東村高江では、建設に抵抗する住民に「なぜ座り込みまでして反対するのか」と質問した。「米軍ヘリの騒音や墜落の可能性がある状況を残したくない」との答えだった。「わずかな人数で大きな米軍と闘っている」と勇敢さに驚いた。
なぜ沖縄の人が憲法9条を大事にしているのか、来日前に疑問に思っていた学生も、基地被害の現状を見て考えが変わった。
「聞いた話とは全然違う」。メア氏は日本の人々に差別感を持っているのではないか。そのような思考の持ち主から話を聞けば、米国の多くの政治家も沖縄の人を見下してしまうのではないか。沖縄での研修を通して芽生えた危機感と同時にメア氏の考えに疑問を持つ米国人がいることを、日本や沖縄の人にも知ってほしいという思いを強くした。
「日米の友好関係はとても重要だ。でもメア氏の考えや普天間問題がその関係を傷つけている」
(与那嶺路代、慶田城七瀬)
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