3つのウワサ。オラクルがEMCを買収、VMwareがノベルを買収、マイクロソフトがアドビを買収?

2010年10月20日

このところエンタープライズITの分野では、たて続けに3つの大型買収のうわさが報道されています。時系列に見ていきましょう。

VMwareがノベルを買収?

先月9月に、VMwareがノベルのSUSE Linux Enterprise Server事業部の買収を検討しているという報道がウォールストリートジャーナルに掲載。

VMwareはクラウドの構築に必要なソフトウェアのうち、OSを除くハイパーバイザ、管理ツール、フレームワーク、アプリケーションなどすべてのレイヤを保有しています。OSについては今年の6月にノベルとの戦略的提携を行い、SUSE LinuxをVMwareにバンドルして提供していました。その提携を超えて、ノベルのLinux事業部門の買収を検討していると。

VMwareはもともと仮想化ハイパーバイザの提供を中心とした企業でしたが、SpringSourceを買収してJavaフレームワークを入手、Zimbraを買収してクラウド対応アプリケーションを入手してきた経緯があります。しかも、CEOのポール・マリッツ氏はマイクロソフトでプラットフォームビジネスを経験してきています。

同社がOSを入手するためにノベルの事業部を買収することは、十分に理にかなった話です。

この経緯を詳細に報じているVirtualization.infoの記事「VMware社のCEOがNovell社買収の可能性を排除? – 記事更新(20101018-5)」によると、VMwareがLinuxに関する買収交渉を、ノベルと幹部レベルで続けているとのこと。

うわさが現実の買収へと発展する日は近いかもしれません。

マイクロソフトがアドビを買収?

今月10月に入り、7日にニューヨークタイムスなどで報じられたのは、マイクロソフトがアドビを買収するのではないか、といううわさです。

ニューヨークタイムスによると、マイクロソフトCEOのスティーブ・バルマー氏がアドビシステムズCEOのシャンタヌ・ナラヤン氏と秘密裏に会合を行ったというもの。モバイル分野でのアップルへの対抗策についてや、マイクロソフトによる買収の可能性についても話し合われたとあります。

アドビとマイクロソフトはFlashとSilverlightでリッチクライアントのプラットフォームのシェア争いをしていますが、一方で今後もっとも成長が期待されるモバイル分野ではアップルに普及を阻まれています。iOSがこれらのソフトウェアの実行を許可していないためです。

また、アドビの製品は広くデザイナーに使われている一方で、マイクロソフトの製品はエンタープライズITの開発者に使われており、両社の顧客層はうまい補完関係にあるともいえます。

共通の敵を倒すために補完関係にあるライバル同士が協力する。ありそうなシナリオですが、買収にまで進むかと言われればやや疑問符を感じます。

オラクルがEMCを買収?

そして最新のうわさが、オラクルがEMCを買収する、という衝撃的なもの。10月14日のウォールストリートジャーナルが最初に報じたようです。オラクルがEMCを買収するといううわさによってEMCの株価が上昇したとのこと。

オラクルはサン・マイクロシステムズの買収によって、ソフトウェア専業ベンダからハードウェア部門も備えた総合システムベンダへと変わりました。同社がさらに成長するには、今後の大きな成長分野であることが確実視されているストレージを強化することは、いかにも考えていそうな話です。先日、デルとヒューレット・パッカードのあいだではストレージベンダの3PARに関する買収合戦があったばかりです。

EMCはストレージのトップベンダとして幅広いストレージ製品を展開しているだけでなく、多くのサーバベンダに製品をOEM提供しています。しかもEMCはストレージ市場のトップベンダであるだけでなく、VMwareの大株主でもあります。VMware、シスコ、EMCの3社は連合してサーバ、ストレージ、仮想化ソフトウェアを組み合わせたシステムを提供しています。

もしオラクルがEMCを買収することになれば、OEM先との関係、そしてクラウドのなかで存在感を増しているVCE連合にも大きく影響するはずです。サン・マイクロシステムズを買収したときのような大きなインパクトを市場に与えることになるでしょう。


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タグ : Adobe , Cisco , Microsoft , Oracle , VMware , ストレージ

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