2011.08.09 日本の金融システム「影響は限定的」 金融庁見解
日本の金融システム「影響は限定的」 金融庁見解
大手銀、米国債保有リスク圧縮
国内の大手金融機関は米国債格下げをある程度予想して米国債の保有リスクを
圧縮しており、今回の米国債格下げでの動揺は小さい。金融庁も「日本の金融シ
ステムに与える直接的な影響は限定的」とみている。3メガバンクの米国債残高
は6月末時点で7兆円強と保有する有価証券全体の数%にとどまる。
三井住友銀行は4~6月期に外国債券の保有残高を約3兆1000億円減らした。
その大半が米国債とみられ、米国債の6月末時点の残高は約1兆4000億円。
三菱UFJフィナンシャル・グループは6月末時点では約3兆7000億円の米国
債を保有していた。7月に入って「そのうち6割は売却した」(幹部)という。
みずほフィナンシャルグループも6月末時点の保有残高は傘下2行合算で2兆円
まで圧縮した。
日本生命保険と第一生命保険、明治安田生命保険、住友生命保険の大手生保4
社は今年3月末時点で合計7兆~8兆円の米国債を保有していたもようだ。各社
とも当面は運用方針は変更しないが、一部から「運用先の分散などは先行きの課
題となる」との指摘も漏れる。
金融庁は「米国債の格下げが直ちに邦銀などの経営問題につながることはない」
と受け止める。ただ、邦銀の取引相手である米欧銀などは大量の米国債を保有し
ていることから、格下げが世界的な金融システムに及ぼす影響を注視する考えだ。
(日経新聞)