中国のデモ、昨年1年間で18万件

背景に貧富格差と物価高

 中国全土で昨年、物価高や生活苦、公務員の腐敗問題などに抗議する集団デモが18万件以上も発生し、さらに今年はデモの回数や規模が昨年を上回っていることが分かった。米紙ニューヨーク・タイムズが15日、報じた。

 同紙は「かつて中国政府の高圧的な統制におびえていた中国人が、今や街に繰り出して堂々と声を上げており、もはや集団デモは日常茶飯事となった」と伝えた。

 遼寧省大連市では14日、1万2000人の市民らが集まり、有毒性化学物質を生産する化学工場の移転を要求するデモを繰り広げた。大連市トップの唐軍・共産党委員会書記が警察の車両でデモ現場を訪れ、工場の移転を約束したが、デモ隊は「期限を決めろ」と叫び抗議活動を続けた。この結果、大連市は工場の閉鎖を決めた。大連のデモは、環境汚染問題に対する中国人の関心の高まりを示すもので、ほかの地域にも拡大する可能性が高いと、香港紙サウスチャイナ・モーニングポストは報じている。

 また、物価上昇による生活苦もさらに深刻になっており、貧富格差の拡大に対する不満が高まっていることから、中国各地ではデモが頻発しており、デモ隊の行動もいっそう過激さを増している。

 四川省成都市では14日夜、相次ぐ停電に不満を抱いた低所得層の市民ら約5000人が道路を占拠し、デモを行った。成都市では、連日40度を超える猛暑が続く中、突然の断水に続いて停電まで発生したため、住民の怒りが爆発した。

 11日には貴州省で数千人が、過度な公権力の行使に抗議するデモを繰り広げた。違法駐車した車両の持ち主と、取り締まりを行った地方官僚との衝突が大規模なデモに発展したもので、デモ隊は警察に襲い掛かり、警察車両十数台を破壊した。

 また、少数民族の不満も高まっている。四川省では15日、チベットの僧侶が「チベットの住民たちは自由を求めている」と叫びながら焼身自殺を図った。ニューヨーク・タイムズは中国国家行政学院の非公式統計を引用し「昨年1年間に中国全域で発生した集団デモは18万件以上に達し、ここ5年間で2倍に増加した」と報じた。

 英国の日刊紙ガーディアンは、デモ頻発・拡大の原因として、中国でのインターネットの普及を挙げ、当局が以前のように社会を統制することが困難になっていると分析した。さらに、来年には権力交代を控えているため、中央政府の地方掌握力や社会の不満をコントロールする能力が低下していると指摘する声もある。

 こうした状況の中、中国当局も無差別的な弾圧ではなく、可能な範囲で問題解決の意志を示す動きが見られる。今回起こった大連のデモでは、抗議を受けて工場を閉鎖する方針を打ち出した。また、5月に発生した内モンゴル自治区の少数民族による大規模デモの際には、デモに至るまでの事態を引き起こした漢族の石炭運搬トラックの運転手2人に対し、死刑と無期懲役を言い渡した。

金承範(キム・スンボム)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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