先週、Apple vs Samsungのパテント係争は、Appleが事前差し止め命令を勝ち取り、オランダを除くヨーロッパ全土でGalaxy Tab 10.1の販売が禁止される、という深刻な局面を迎えた。本誌も報じたように、Samsungは差し止め命令が発行されてからやっとそのことを知った(ドイツの裁判所の標準的な手順なのだが)。もしもこの韓国企業が事前に知っていたら、輸入禁止を勝ち取るためにAppleが使った証拠に、重大な欠陥があることを、法廷に対し指摘できただろう。
Dutch IDGのサイトWebwereld.nlによると、iPad 2とGalTab 10.1を併置して比較している画像は、間違っているか、または、改ざんされている。Appleの訴状の28ページでは、Galaxy Tab 10.1の画像がトリミングされ、画像のサイズ比も不正になっている。Samsungのタブレットが10.1インチ x 6.9インチ x 0.34インチに対し、iPad 2は9.5インチ x 7.31インチ x 0.34インチだ。
実際に2つのタブレットを並べてみると(どちらもタテ位置で)、iPad 2は幅がやや長く、高さがやや低いことに気づく。Galaxy Tabの仕様書によると、アスペクトレシオは1.46だが、Appleが証拠として提出した画像では1.36になっていて、実際より8%ほど幅が広く、同機の”全体的な外見”がiPad 2と”実質的に同一である”、ということになっている(iPad 2のアスペクトレシオは1.30)。Appleはまさに、訴状の中(28ページ)で、そう言っているのだ。
弁護士のヘマやドジはさんざん見てきたが、これは相当ひどいんじゃない? GalTabに対する現在の禁輸はもっぱらデザインが原因だから、裁判所はまさしく外見で判断したはずだ。製品の外見を不正に表現している証拠を提出することは、今回の差し止め命令の根拠がハードウェアのデザインだけであるだけに、控えめに言っても、相当いかがわしい。しかもAppleは、単独でこの証拠を判事に提出した。つまりSamsungには、事前にそれを見たり反論する機会がなかった。
この欺瞞が意図的なものであろうとなかろうと、”完全で真実な”証拠は、ドイツの裁判所の要件だ。外見的には、これはAppleにとって良くない。同社が証拠として使った写真が、古いリリース前のGalTabのものである可能性もある。しかしそうであったとしても、嘘の証拠を提出したことはAppleの立場と企業イメージを悪くする。しかも、嘘がばれたことによって、今後の裁判の行く末も変わるだろう。ドイツの知財コンサルタントFlorian Müllerは、PC Worldのインタビューでそう述べている。
この件は、今後も追い続けよう。
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))