気分が悪い。
周りの人間がこちらを見てくる。
まあ、自分以外先生含め全員女子で半分以上はヒューマノイドではないのだが。
しかもチラチラ見てくるもんだから余計に気分が悪い。
授業に集中しろよ…

しかし、仕方ないと言えばそうなのだろう。
なにせ今は社会の近現代の授業。
自分が注目される理由も分かる。

まあしかし、こんな事を考える余裕は俺にはない。
社会の板書は割と多いのだ。
先生の話を聞かないと成績に響くしな。

「……この様な出来事から我々人型は魔族と戦争をすることになり、今もまだ戦争を完全に終わらせることは出来ないままです。
しかし、現在は事実上の停戦状態まで持ち込んでいます。理由は皆さんご存知の通り……」

……眠いな。
しかも話が長い。
要約すれば半分ぐらいにはなるんじゃないのか？

面倒なので自分でノートをまとめておこう。

20xx年、イギリスと日本がバミューダ海峡に調査船を送った。
それが全ての始まりだった。
調査船は二日で連絡が取れなくなり、すぐさま海軍を送ったがそれも沈められる。
しかし、通信カメラには二体の魔物に軍艦が沈められるさまが映っていた。
そこからヒューマノイド対魔物の戦争が始まるのだが、魔物は数が少ないが、単体で圧倒的な戦力を誇っていた。
これで連携をとっていたら一年と持たなかっただろう。
開戦から数ヶ月、魔術や陰陽道の類が有効だと分かり、魔術隊を送るが陰陽南一派が裏切り、作戦は失敗。
本当に打つ手が無くなった所で人型の妖怪やら獣人やら妖精やらが協力を申し出てくる。
藁にも縋る思いで受け入れたら、三年ちょっとで形成逆転。
単純に数が増えた上に、対魔物用の妖術も揃っていたおかげで地道に成果を上げていた。
まあ、ほぼ停戦状態まで持ち込んだ今となってはすっかり人間社会に溶け込んでいる。
姿形も人間とたいして変わらないし、人類を救ってくれたわけだからな。

ノートも取り終わった。
依然周りの目線を感じる。

ここまで話して察しのイイ奴は俺が注目される理由が分かるかもしれない。
女だらけの学校に俺(ともう一人)しか男がいない理由も。

俺は南鬼七一
、
16歳。
対魔物戦闘高等専門学校攻撃戦闘科、略して対魔高攻科の二年生。
使用武器は肥後守を二振り。
種族は半人型、鬼と裏切りの陰陽師のハーフで、禁断の半魔族。
そして、この不条理で下らない、灰色の青春を謳歌している。