再注目「田舎暮らし、海外移住」の損得
<最新8/29号からチョイ読み>「漠然と田舎暮らしをしたいと考えていた人が、震災をきっかけに予定を前倒しする傾向がある」
小林正子=文 AFLO、PIXTA、マレーシア政府観光局=写真
アーリーリタイアメントで海外生活という選択肢もある。
「海外に住むといっても、永住権を取るのではなく、生活の基盤は日本に残しながら長期の海外滞在を楽しむのが現実的です」というのはロングステイ財団の山田美鈴氏。
その一例、09年11月にマレーシアのクアラルンプールに妻とともに渡ったA氏(54歳)は、130平方メートル、3LDKの家に住み、週3回のゴルフを楽しみながら1カ月を平均約24万円で暮らす。20年前、ロサンゼルスの友人夫婦を訪ねた際、普通のビジネスマンである友人が、家のすぐ近所でゴルフを楽しみ、自宅にはプールがあってという「本当の豊かな生活」を送っているのを目の当たりにした。以来、いつかは海外で暮らしたいという夢を持ち続け、夫婦の趣味であるゴルフを存分に楽しめる環境を探してこの地に行き着いた。
滞在先を探すためにマレーシアに下見に訪れ、2日で10件ほど賃貸物件を回り、もっとも気に入ったゴルフ場に近いコンドミニアムの中から、100平方メートル以上、高層階など希望の条件に合致した、いまの住み家を選んだ。
マレーシアが人気ナンバーワン
A氏が選んだマレーシアは、海外ロングステイ先希望国として、06年から5年連続第1位(ロングステイ財団調べ)。治安がよく、日本よりも物価が安く、マレーシアマイセカンドホームプログラム(MM2H、年齢制限なし)という10年間有効のビザ制度がある。さらに年金をマレーシアで受け取る際、税金が引かれないのが人気の理由だ。
「定年後の渡航先を選ぶ場合は、租税条約の中に年金項目が含まれているかを確認してください。含まれていると税法上の非居住者(海外居住の日本人)は2割引かれます。しかしマレーシアは年金項目が条約に含まれていないうえ、現地でも受け取った年金の税を支払う法律がない。日本で支給された年金を現地で満額受け取ることができるのです」
また、フィリピンには永住者向けの特別居住退職者査証(SRRV、35歳以上)もあるなど、それぞれの国が発行するビザを比較検討してみるのも一考だ。「生活費がどのくらいかかるかは一概には言えませんが、一人当たりGDPは、日本と比較した生活の割安感を見るうえでひとつの指標となるでしょう」(山田氏)。
田舎暮らし、海外移住ともに自治体や財団、旅行会社などがセミナー、体験コース、下見ツアーなどを実施している。下記HPも情報収集の一助にしていただきたい。
田舎&海外暮らしの情報収集先
■田舎暮らし
認定NPOふるさと回帰支援センター http://www.furusatokaiki.net/
交流居住のススメ 全国田舎暮らしガイド http://kouryu-kyoju.net/
JOIN:移住・交流推進機構 http://www.iju-join.jp/
オーライ!ニッポン http://www.ohrai.jp/
田舎の探し方 http://www.est.hi-ho.ne.jp/best/inaka/INAKA.htm
■海外ロングステイ
ロングステイ財団 http://www.longstay.or.jp/
マレーシア政府観光局 http://www.tourismmalaysia.or.jp/
小林 正子
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