がん保険を疑え!
【第2回】 2011年8月17日
著者・コラム紹介バックナンバー
後田 亨 [(株)メディカル保険サービス役員]

なぜこんなに高いのか。
「がん保険」を終身保険と比べると…

previous page
2
nextpage

「がん保険」を「三大疾病終身保険」と比較してみる、
「がん保険」の方が120万円以上高い?

 「がん保険」では60歳までの保険料は月々約6800円、60歳以降は約3400円になります。平成21年の「簡易生命表」では40歳の女性の平均余命が約47年あるので、保険料の払込総額は6800円の20年分と3400円の27年分を合わせて約272万円です(以下、1万円未満の単位は、実額に合わせて調整して表記しています)。

 以前、保険会社のホームページに出ていた保険金支払いの例を引くと、ある方が初めて胃がんと診断されて、27日間入院した場合、「がん保険」で受け取ることになる保険金の総額は「診断一時金200万円+入院給付金54万円」で254万円になります。

 加えて「抗がん剤治療」など、通院による治療が長期化するケースでも、日額2万円が日数無制限で支払われる点が、このプランの売りでしょう。なお、27日という入院日数は、「厚生労働省 平成20年 患者調査」にもとづき設定されているようです。

 一方「三大疾病終身保険」は、がん・急性心筋梗塞・脳卒中の3つの病気に対応しています。保障は一生涯です。そして保険金が支払われるのは、次の4つのケースのいずれかに該当した場合、1回だけです。

①「がん」と診断された時に「診断一時金」
②「急性心筋梗塞」で「所定の状態」になった場合に「一時金」
③「脳卒中」で「所定の状態」になった場合に「一時金」
④他の病気や事故などで死亡した場合には、一時金と同額の「死亡保険金」

 たとえば、保険金額が200万円の「三大疾病終身保険」に加入し、数年後に「がん」に罹った場合、200万円が支払われ、それで契約履行が完結するというものです。「がん」と診断された時点で200万円の保険金が支払われる機能は、「がん保険」と同じです。

 この保険に40歳女性が加入する場合で試算してみます。保険料の払い込みは60歳で終わる設計で、月々約6200円。60歳までに払い込む保険料の総額は約150万円になります。

 「がん保険」で60歳までに払い込む保険料は約162万円ですから、この時点で「三大疾病終身保険」の方が12万円ほど安くなっています。「がん保険」の保険料払い込みは60歳以降も一生続くので、平均余命をまっとうした場合、「がん保険」の方が120万円以上の負担増になります。

previous page
2
nextpage
上枠
下枠
ダイヤモンド・オンライン 関連記事
がん保険を疑え!

がん保険を疑え!

後田亨 著

定価(税込):1365円   発行年月:2011年8月

<内容紹介>
いまや生命保険会社ももっとも営業の力を入れる「がん保険」。それは、もっとも儲かる商品だからではないだろうか。その販売方法や価格設定には多くの疑問があり、それらを保険のプロがすべて明かす。具体的な商品名を出しながら、高すぎる商品、比較的良心的な商品など、がん保険の真実を明かす。

本を購入する
underline
ダイヤモンド社の電子書籍


健診結果が気になりだしたら…
【健診結果が気になりだしたら…】
働く世代のカラダの不調・悩みに、よく効く「読むクスリ」そろえました。
ゴルフ情報サイトOPEN
【ゴルフ情報サイトOPEN】
名門ゴルフ場でプレー 半蔵門ゴルフ倶楽部 名門の条件 東京ゴルフ倶楽部 他
「買い時!」ならば物件探しを
【「買い時!」ならば物件探しを】
新築・土地・中古の物件情報や、住まい探しのノウハウを公開中!

週刊ダイヤモンド

特大号・特別定価号を含め、1年間(50冊)市価概算34,500円が、定期購読サービスをご利用いただくと25,000円(送料込み)。9,500円、約14冊分お得です。さらに3年購読なら最大45%OFF。

ハーバード・ビジネス・レビュー

詳しくはこちら

1冊2,000円が、通常3年購読で1,333円(送料込み)。割引率約33%、およそ12冊分もお得です。
特集によっては、品切れも発生します。定期購読なら買い逃しがありません。

ZAi

詳しくはこちら

年間12冊を定期購読すると、市販価格8,400円が7,150円(税・送料込み)でお得です。お近くに書店がない場合、または売り切れ等による買い逃しがなく、発売日にお手元へ送料無料でお届けします。
※別冊・臨時増刊号は含みません。

Keyword
Information

後田 亨 [(株)メディカル保険サービス役員]

1959年生まれ。1995年に日本生命に転職。2005年より(株)メディカル保険サービス役員。2007年発売の「生命保険の『罠』」(講談社+α新書)がベストセラーとなり、以後、主に執筆・セミナー講師・個人向け有料相談を手掛ける。他の著書に、「“おすすめ”生命保険には入るな!」(ダイヤモンド社)、「生命保険のウラ側」(朝日新書)。日経電子版「保険会社が言わないホントの保険の話」他、連載・メディア掲載多数。
公式サイトhttp://www.seihosoudan.com/


がん保険を疑え!

いまや2人に1人ががんに罹る時代。それを売り文句にがん保険が大々的に売り出されている。しかし、そもそも2人に1人ががんに罹るなら保険は成立するのか?「がん保険を疑え!」を刊行した「生保のご意見番」後田亨氏が、がん保険のなぜに迫ります。
 

「がん保険を疑え!」

⇒バックナンバー一覧