晴れた空
新世紀エヴァンゲリオン・涼宮ハルヒの憂鬱・空の軌跡の二次創作SSブログです。

新世紀エヴァンゲリオンMAX!(仮題)

※この作品はエヴァンゲリオンキャラとメタルマックスの世界観を使用しています。


その大事件は、人災とも言うべきものだった。
東京の中心に建てられた最新鋭の設備が揃った真新しい研究所。
正門には『地球救済センター ネルフ本部』と書かれた看板が掲げられている。
研究所には開発されたばかりのスーパーコンピュータ、『ノア』が置かれ、全ての管理が効率的に行われる理想的な研究所であると評判になった。
土木技術、細菌、新薬開発、人工知能……。
地球環境改善のための研究が施設内で盛んに行われていた。
しかし、ノアのコピーたちが外国支部で稼働を始めた頃……。
突然、研究所内に警報が鳴り響く。
うろたえる研究所の職員たち。

「いったい何が起こったと言うの!?」

研究所の職員の一人である白衣を着た女性が、警備員の男性に問いかける。
彼女は不審者でも侵入したのかと思った。
この研究施設にある重要な研究成果や取引企業のリストなどを狙っている不届き者も多いからだ。

「おかしいですね……どこにも異常は……」

警備員の男が端末をいじっている間に、部屋の防火シャッターが一斉に大きな音を立てて下ろされる。
ただ事ならぬことに気がついた白衣を着た研究員たちは騒ぎ始める。
その騒ぎの中、絹を裂くような女性の大きな悲鳴が響き渡る。
先ほどの警備員に声をかけていた白衣の女性――この研究室の室長である――がそちらの方を見ると、悲鳴を上げた女性の側で、男性の研究職員が白衣を赤く染めて倒れていた。
男性の後ろにはコンピュータで制御されているはずの警備用ロボット。
威嚇射撃用に念のために持たせている銃弾が彼の命を奪ったのか。

「まさか、暴走――!?」
「だめです先輩、こちらのコントロールを受け付けません!」

コンソールをいじった女性職員が悲痛な叫びをあげている間にも、銃声が室内の職員たちの命を奪っていく。

「何か……何か方法は……!」

室長は室内にある薬品庫へと向かっていった――。



異変はその研究所だけにとどまらなかった。
世界各国の支部も同じような制御不能に陥り――さらにその魔の手は軍事施設のコンピュータにも及んだ。
核兵器こそ発射はされなかったものの、ミサイルや砲弾が雨のように市街地に降り注ぎ――都市はガレキの山となった。
逃げ惑う人々の声。そして痛さにわめく悲鳴。
止む事のない銃声の大合唱は即死を免れた人々の命を奪っていく。
こうなっては数の上で圧倒的に劣る自衛隊や警察官も勝ち目が無かった。
彼らの装備の一部も電子化されたものに頼っていた。
人々は機械達の追撃を逃れるために山奥などにほうほうの態で逃げるしかなかった。
しかし、その行きすぎた攻撃は、多くのコンピュータや発電施設なども破壊し、攻勢も沈静化して行った。
逃げのびたわずかの人々は、スーパーコンピュータの支配が及ばない地域に集落をつくって力を合わせて生きていくしかなかった。
地球の人口は1,000分の1まで減少してしまった……。



――これが『大破壊』と呼ばれる災害である――。



それから12年の時が流れた。
逃げのびた当初は地獄のような生活だったが、現在の人々の生活水準は電化製品を使えるまでに回復した。
スーパーコンピュータの支配を受けない古い型のコンピュータも存在していたのである。
そして、ここは第三新東京市。
旧東京から逃げのびた人々が旧神奈川県の山奥に作った街。
人間の権力欲とはあさましいもので、どちらが東京を名乗るか話し合いの結果、長野の第二新東京市に対する名前だ。
この街で、大破壊で故郷の東京を追われた碇ゲンドウという男が戦車の整備屋として生計を立てていた。
彼は逃げる際に愛する妻や友たち、多くの知り合いや同僚を失ったが、大事な一人息子のシンジと、その時たまたまシンジと一緒に遊んでいた隣家の娘アスカだけは戦乱の中助けることができた。
当時は4歳だった二人も今は16歳となっていた。

「何、モンスターハンターになりたいだと?」

夕食の席で懇願するシンジとアスカの二人に対し、ゲンドウは厳しい表情でにらみつけた。
モンスターハンターとは、その名前の通りの職業であるが、大破壊にできた新しい職業である。
大破壊の際に研究所から様々な細菌がもれだしてきた。
その中には、偶然の産物なのか、はたまたスーパーコンピュータが秘密裏に作成していたのか、生物を異形進化させるウイルスも発生していた。
いわゆるバイオハザードにより、人間の体より大きいカタツムリや、車より大きいネコなど新たな個体が出現しはじめていた。
危険な生物の存在により、各都市間の交流は断絶寸前であり、武装を持つものしか街の外には出ることができなくなった。
また、街に危険を及ぼす可能性のあるモンスターについては、高額な賞金がかけられるようになり、その賞金で生計を立てていくのがモンスターハンターだった。

「ゲンドウさん、そんなにどならなくても……」

ゲンドウの怒鳴り声を聞いて、エプロンをつけて台所に立っていた女性がテーブルに近づいて来た。
彼女の名前は赤木ナオコ。
ゲンドウの部下だったと言う女性だとシンジとアスカは聞いている。
多くの人の命が失われた後。
シンジは父の再婚について反対はしなかった。
街にも多くの伴侶を失った人たちが居たし、ナオコは母親のようにシンジとアスカに接してくれているからだ。

「お前は黙っていろ……」

この家の主人であるゲンドウは後ろから声を掛けたナオコをひとにらみすると、再びシンジたちの方を向いてテーブルを激しく叩く。
並べられた食器が浮かび上がり、大きな音を立てて着地する。

「このバカ者が!」

謝ろうとしないシンジとアスカにゲンドウは痺れを切らしたのか、席を立ってゆっくりと二人に近づいて行く。
ゲンドウは両手にそれぞれシンジとアスカの首根っこをつかんで玄関へを引きずっていく。
慌ててナオコが止めようとして駆け寄るが、間に合わなかった。

「さあ……出ていけ!」

ゲンドウはそう言うと、つかんでいたシンジとアスカを冷たい地面の上に放り投げた。

「痛い!」
「痛っ!」

二人に目もくれず、ゲンドウは家の中へ入っていってしまった。

「どうしよう、シンジ……」
「僕も何も考えていなかったよ……」

二人は抱き合うように身を寄せ合って夜を明かした……。

「わはは、またイタズラでもして家から放り出されたのか?」

目を覚ますと、顔なじみのおじさんに声を掛けられていたことに二人は気づく。
どうやらいつの間にか寝てしまったらしい。

「実は……アタシたち、ハンターになりたいと思って……」
「やめとけ、そんなの命がいくつがあっても足らんぞ!」

アスカがそう言うと、おじさんは笑い飛ばして仕事に戻っていってしまった。

「アスカはどうしてもハンターになりたいの?」
「アタシは……お金のためになりたいと思っているんじゃないの。だって、大破壊のせいでアタシのママも、たくさんの人が死んじゃったんでしょ?」
「うん、何か機械が暴走したとか……」
「その原因となったコンピュータは大破壊で壊されたって言うけど、アタシには信じられない。まだまだモンスターは多いし、アタシは大破壊の謎を解き明かしたいの」
「へー、アスカってそこまで考えたいたんだ」
「何よ、アタシがただの我がままで言ったと思って賛成したの?」

アスカがそう言ってむくれると、シンジは慌てて否定する。

「アスカがそこまで真剣なら僕も考えてみるよ。戦車は2人じゃないと動かせないしね。まずこの街を歩いて何かいい案が無いか考えてみようよ」
「シンジもやっとやる気を出したわね。じゃあまずリツコ姉の所に行きましょう」

シンジとアスカは街外れにある赤木博士の研究所に向かった。
リツコも最初はゲンドウたちと住んでいたのだが、マッドな研究に没頭するあまり家を勘当され、個人の研究所を建ててそこに住むようになった。
いつも異臭と怪しい物音が聞こえるリツコの研究所は街の住民から気味悪がれている。
シンジとアスカの二人もなるべく近づきたくないのだが、ゲンドウから勘当された今、藁にもすがる思いでやってきたのだ。
異臭がたちこめる研究所の中で、怪しい実験器具をいじっていたリツコは、二人の訪問に気がつくとゆっくりと振り向く。

「私が偉大なる天才科学者の赤木リツコよ。今日は何の用かしら?シンジにアスカ」
「もう、アタシたちだってわかってるなら大げさな自己紹介は止めてよリツコ」
「僕たちモンスターハンターになるって言ったら父さんに家を追い出されたんです」
「科学者になるって言って家を追い出された私と、ついにあなたたちも同類になったのね」

アスカとシンジはリツコにそう言われて露骨にいやな顔をした。
研究所の中には、ホルマリン漬けのしゃべる脳みそ。庭に立てられた改造生物の墓。などが存在し。とてもまともには思えない。

「あなたたちがモンスターハンターになるなら、新鮮な死体になってくれそうね。運び込まれて来る死体は全部古すぎていけないもの」
「やっぱりリツコ姉が死体を生き返らせる研究をしているのは本当なのね」
「ええ、あなたたちが死んでも電気ショックで生き返らせるわよ」

イッてしまっているリツコの瞳にアスカとシンジは寒気を覚えた。
アスカとシンジは顔を見合わせてぼそぼそと話す。

「ねえ、こんな所に泊まったらゲテモノを食べさせられるどころじゃ済まないわね」
「有益な情報が手に入らないなら、長居は無用だね。他に行こう」

対して驚かず、話にも乗って来ないアスカとシンジの二人に興味が失せたのか、リツコは再び二人に背を向けて謎の実験機械を動かし始めた。
アスカとシンジはリツコの注意を引かないように息をひそめてゆっくりとソロリソロリと研究所を出た。


リツコの研究所を出てアスカとシンジは街道をフラフラと歩いている。
最低でも食事と今日の寝どこを確保しなければならない。
昨日から何も食べていない二人のお腹も悲鳴を上げている。
そんな二人の耳に街の人々の噂が飛び込んできた。

「町の南の洞窟にあるって言う戦車を狙ってハンターがこの町に来ているらしいぜ」
「有名な腕利きのハンターだとよ」

その噂を聞いたアスカの顔が明るくなる。
しかし、シンジの方は食料と寝床のことが気になって仕方が無かった。

「シンジ、町の酒場に行きましょう。内外問わず情報は飲み屋に集まるって言うじゃない」
「でも、僕たち小銭しか持って無いよ?」
「ゼロでは無いわ。ジュース一杯でも居座るのよ」

アスカの提案で二人は町では安くて美味いと言う評判の酒場に入る事にしたが、二人合わせて500円では、ジュースと唐揚げを摘むしかなかった。

「この町に来ている腕利きのハンターってどこに居るのよ」
「この店にいるとは限らないんじゃないかな」

店内をキョロキョロと見回している二人の隣の席で、無精ひげを生やした男性がワザとらしく連れの青い短髪の少女に話しかける。

「フッ、町の子供にまで噂をされるとは、俺も有名になったもんだ。そう思わないか、レイ?」

話しかけられた少女は無言でコクリと頷くのみ。
その独り言のような会話を聞きつけたアスカが慌てて男性の方を振り向く。

「嘘っ~!?アンタみたいなおじさんが腕利きのハンターなの?」

アスカに指差された男性は困ったような笑顔を浮かべてたしなめるようにアスカに話しかける。

「おいおい、人を指差すんじゃない。それに俺はまだ30だぞ?加持リョウジ、通称『レッド・ウルフ』とは俺のことさ」
「なんか信じられないわね……」
「……まあいいさ。ところでお前たち『葛城ミサト』って女を知らないか?この写真のやつなんだけど」

リョウジは懐から写真を取り出し、アスカの後ろに居るシンジにも見えるように見せた。
そこには長い黒髪の20歳前後の大学生に見える女性が笑顔で写っている。
シンジにはもちろん見覚えのない女性だったが、アスカはニヤリと笑う。

「ええ、見たことあるわよ」
「本当か!?」
「でも、ギブアンドテイクって言葉があるじゃない。おじさんがアタシたちに食事をおごってくれれば、教えてあげてもいいわよ」

シンジはアスカの言葉に息をのんだ。
アスカはシンジにこっそりと耳打ちする。

「背に腹は代えられないって言うでしょ。このままお腹をすかしているわけにもいかないし……」

シンジも空腹の辛さに勝つことはできず、ついアスカの甘言に乗ってしまった。

「……で、ミサトに関する情報って何だ?」
「ああ、あれね……それは……ええっと嘘よ」

---以下未完成---

純情可憐チルドレン 第1話 二重人格(※性転換に挑戦)

「どうして、お父様は私を呼んだのでしょう……。10年も前にわたくしを修道院に預けたまま、それ以来連絡の一つもして来なかったのに……」

そう言って、シスター風の服装をした琥珀色の瞳と黒髪を持ち、線の細い顔と華奢な体つきの少女、碇シンリは溜息をついた。

彼女は第三新東京市の駅で、父親のゲンドウからの手紙を持って途方に暮れていた。

何時間も前から待ち合せの目的であるこの駅には到着している。

しかし、いっこうにネルフからの迎えが来ないのだ。

待ちわびている間に非常事態宣言が発令され、シンリは途方に暮れてしまった。

「参りましたわ、わたくしもシェルターに避難した方がよろしいのでしょうか……」

シンリが不安そうにそう呟きながらキョロキョロと辺りを眺めていると、彼女の目の前に青いルノーが盛大なドリフト音を響かせながら停車した。

「ごめんごめん、寝坊しちゃって!」

そう言って、運転席から降り立ったのはサングラスにノースリーブの服を華麗に着こなしたネルフの作戦部長、葛城ミサトだった。

ミサトの姿を見たシンリはとても怒った感じで視線をミサトに向ける。

「あ、あなたが碇シンリさんね?」

「そうですけど!」

「やっぱり、怒ってる?」

ミサトの質問にシンリは頷いて、怒りが治まらないと言った表情でミサトに怒鳴り立てる。

「なんですか、いい歳をした女性がそんな露出の多い服装をして! もう少し落ち着いた服装をするべきです!」

「そっちなの!?」

てっきり遅刻した事を怒られると思ったミサトは呆然としてしまった。

とりあえず、ミサトはシンリの怒りを鎮めるために、赤いウィンドブレーカーを上に羽織った。

「いっけない、シンリさん、早く乗って!」

ミサトにうながされてシンリは助手席に乗り込む。

「ちょっちい、時間が足りないからぶっ飛ばすわよん!」

ミサトがシンリに向かってそうウインクすると、シンリはまた厳しい顔をしてミサトをにらみつける。

「葛城さん! 何ですかそのはしたない言葉遣いと態度は。あなたは淑女としての振る舞いを……」

また説教を始めるシンリの姿にミサトはウンザリとした顔をして呟く。

「あたし、この子苦手……」

ミサトの運転するルノーは急加速をし、スピードは瞬く間に200キロに達した。

急カーブもドリフト走行で切り抜けるなどの華麗なドライビングテクニックを披露しながらミサトは、助手席に座るシンリに話しかける。

「そういえばシンリさん、あなたお父さんからIDカードとかもらっている?」

しかし、シンリからの返事はない。

先ほどから説教もピタリと止んで黙りこくっている。

「シンリさん、聞いているの? シンリさん?」

シンリは、目を剥いて気絶していた。

「嘘ぉーーーー!」







ミサトは悲鳴を上げたがそれでも、スピードを落とさずネルフ本部までシンリを連れて行った。

「シンリ、お前がこれに乗って使徒と戦うのだ」

様々な紆余曲折は省略し、シンリはゲンドウにエヴァンゲリオン初号機に乗ることを強制された。

「嫌です! わたくし、使徒さんと戦うことなんてできません! だって殴られたら向こうも痛いじゃないですか!」

シンリの言葉を聞いたゲンドウは、苦虫をかみつぶしたような渋い表情のまま、シンリに言い返す。

「使徒に”さん”などと付けるな! やつらは我々人類の敵なのだぞ!」

ゲンドウは苛立った様子でモニターを操作すると、冬月に連絡を入れる。

「冬月、レイを起こせ」

やがてストレッチャーに乗せられた包帯姿の水色の髪と赤い目を持つ少年、綾波レイ(男)がシンリの前に運ばれてくる。

「シンリさん、あなたが乗らなければ、傷だらけのその子が乗る事になるのよ」

リツコにそう説得されたシンリは、エヴァンゲリオンに乗り込むことを承諾した。

「司令! この子は乗り物に弱くて、私の運転するルノーに乗っただけで気絶したんですよ!」

そう反対したのはミサトだった。

「構わん、座っているだけでいい」

ゲンドウは毅然とした態度でそう言い放った。

また中途の出来事は省略され、場面はシンリの乗る初号機がサキエルと対峙することから始まる。

サキエルのビーム砲やパンチが初号機に何度も直撃するが、シンリは全く反撃しようとしない。

「シンリさん! 攻撃しなさい! このままじゃあなたがやられてしまうわよ!」

「嫌です! わたくしは暴力は好きではありません」

調子に乗ったサキエルは初号機の腕をつかんで、ビームを初号機の頭部めがけて何度も放つ。

発令所のスタッフ達からも悲鳴が上がる。

しかし、次の瞬間、初号機のエントリープラグからシンリの叫びが聞こえてきた。

「こんのおおおお! 調子に乗るんじゃねええええ!」

初号機はATフィールドを突然発生させて、サキエルの両腕を切り裂いた!

「衝撃波!?」

オペレーターの日向マコトが驚きの声を上げた。

「今度はマシンガンパンチだ!」

シゲルが叫ぶ目の前の大型ディスプレイには、使徒サキエルを滅多打ちにする初号機の姿が映し出されている。

「……勝ったな」

司令席に座るゲンドウがそう呟いた。

「しかし、これは暴走ではないのか? 我が方の被害も甚大だぞ」

冬月がそう尋ねると、ゲンドウの額から冷汗がダラダラと流れる。

「修道院に預ければ、性格が直ると思ったのだが……。無理だったか……」







「私がサードチルドレンと同居でありますか!?」

戦闘後、突然シンリとの同居を命じられたミサトは露骨にいやな顔をした。

「し、しかし、やはり親子が一緒に住む事が自然の形ではないでしょうか」

ミサトが精一杯の抵抗として意見を述べるが、ゲンドウに敢え無く却下された。

「私も正直、シンリには手が余るのだ。……頑張ってくれたまえ、葛城一尉」

「そ、そんなああああ!」

コンフォート17に帰ったミサトはシンリに一体どういう反応をされるのか。

それはまた、先の物語である。





<後書き>

正直、書いている自分でも少し気色悪い気がしないでもないのですが、挑戦的作品と言う事で、試験的に公開です。

元ネタはブログに書いてあった「弐号機乗りな彼女」(エリス=ラディウス)からです。

エリス=ラディウスは綾波レイにそっくりだと言われますが、エリスの方が登場はずっと早いのでパクリでは無いようです。

新世紀エヴァンゲリオン エンドレス・エイト (※8話分8日間8回逆行 合計64話)

時系列(あらすじ)
11/27(日) 第15話 嘘と沈黙 ゲンドウとシンジが二人で会う。アスカとシンジがキス。
11/28(月) 第16話 死に至る病、そして 朝からアスカはシンジとミサトに怒る。シンクロテストでシンジNo.1。荒れるアスカ。
同日 第16話 死に至る病、そして レリエル戦。長時間シンジは取り込まれてしまう。
11/29(火) 第17話 四人目の適格者 アスカとシンジ、学校で夫婦喧嘩。アスカ、加持の部屋でトウジのことを知る。
11/30(水) 第18話 命の選択を ミサトとアスカが喧嘩。ヒカリがアスカに独白。加持が保護者として泊まりに来る。
12/01(木) 第18話 命の選択を 参号機が使徒化。 第19話 男の戦い ゼルエル戦。シンジが取り込まれる。
12/02(金) 第20話 心のかたち アスカ、家で大荒れ。シンジはサルベージ。ミサト、加持と密会。
12/03(土) 第21話 ネルフ、誕生 加持の死。落ち込むミサトを見るだけのシンジ。三人のギスギスした夕食。
12/04(日) 第22話 せめて、人間らしく アラエル戦。アスカ「みんな、嫌い!嫌い!大っきらい!」

---未完成(多分無理だ)---

アスカ・バーディラッシュ! 第2話 (※コース参考:ソニー「みんなのゴルフ」)

第三新東京市カントリーゴルフクラブ。ティーの位置はバックティ。
それがアスカとレイの対戦の初舞台だった。
本来、ゴルフは三人一組のグループで回るはずなのだが、
選手の一人が直前になって欠場したため、アスカとレイの二人だけで各ホールを回ることになった。
レイは有名な高校生ゴルファーとして注目を浴びていたため、観客や取材の数も多い。
アスカは別に人に注目されること自体は物怖じしなかった。
しかし、アスカのアイドル並みの容姿はレイとは別の意味で注目を集めていた。
シャッター音が鳴らされる観客の写メールにアスカとシンジはうんざりしていた。
アスカが初めてのティーショットを打とうとした時も『お静かに』との看板を掲げられているにも関わらず、写メールは鳴りやまなかった。

「ちょっと!集中したいんだから、写メールは止めてよ!」

アスカはついにキレて、観客の群れに向かって怒鳴ってしまった。しかし観客たちは動じない。

「怒った顔も可愛いね~」
「スイングの時、パンツ見せてくれるんだろう」
「あなたみたいな素人がレイ様に勝てるわけないわ」

不埒な観客のヤジに、アスカはますます怒りを募らせ、ゴルフクラブを振り回しだした。

「アンタたち、ぶっ飛ばしてやる!」

その剣幕に黙り込む観客がほとんどだったが、ごく一部の観客は言い返そうとした。
そんな時対戦相手のレイが口を開いた。

「試合中の写メールはマナー違反よ。……後、汚いヤジも止めてくれる?私は正々堂々と勝ちたいの」

アスカは動きを止めてレイを見て目を丸くしている。今まであいさつしても、握手しようとしてもしゃべらなかったレイである。
アスカは意外とレイっていい子なのかもと評価を改めた。

「ありがとう。アスカを助けてくれて」

シンジが笑顔でお礼を言うと、レイは赤くなったようにみえた。

「別に、いいのよ……」

アスカはそんなレイの様子を敏感に感じ取り、敵と再認定した。
いつまでも打とうとしないアスカに苛立ったのか、レイのキャディであるカヲルが髪の毛をかきあげながらアスカに声を掛けた。

「オナーの君が打たないと試合が始まらないよ。さっさと打ってくれないか」
「わかったわよっ」
「好意に値するよ」

カヲルはアスカに向かって自慢の笑顔を見せたが、アスカは何の反応も無く平然とスイングの構えに入った。
シンジはそんなアスカをみてほっと胸をなでおろす。カヲルは拳を握りしめて少し震えていた。
レイはカヲルに軽蔑のまなざしを向けていた。
アスカは1番ウッドを構えて機械のように正確にインパクトを決めてボールに当てた。試合前のイライラした気持ちは落ち着いたようだ。

「ナイス・ショット!」

シンジの掛け声の直後、観客たちから拍手と歓声が上がり、アスカの第1打のボールはピンまで残り130ヤードの好位置のフェアウェイに着地した。
次はレイの番。レイの第一打はアスカより距離は伸びなかったが、フェアウェイの真ん中。いい勝負だ。
第2打は距離が遠いレイから。第1ホールはパー4なのでここでグリーンに乗せればバーディを狙える。
レイの放った第2打はカップから93センチという近い場所で止まった。

「レイ様、素敵です~」
「ナイス・ニアピン!」

観客から盛大な拍手と歓声が上げる。
アスカも第2打を負けじと8番アイアンをスイングさせる。完璧なインパクト、一点のズレもない。アスカは手ごたえを感じていた。
グリーンに着地したボールはカップに向かって転がっていく。

「入れ!」

シンジは声を出して祈っていた。試合を観客にまぎれて見ているゲンドウも同じ気持ちだった。
しかし、グリーンを転がるボールは勢いを失い、カップまで30センチと言うところで止まってしまった。

「おおっ!」

思わぬアスカのスーパーショットに観客は沸き上がった。だが残念ながらアスカのプレイに対してヤジを飛ばす者も居た。

「おいおい、ゴルフは紳士のスポーツなんだよ?ここは野球場やサッカー場じゃない。そんな行為は好意に値しないよ」

カヲルのくだらないシャレに凍りついたのかどうかはわからないが、レイとアスカは共にバーディで1番ホールを終えた。



次いで2番ホール。パー3の全長170ヤードのこのコースは、よく飛ぶウッドでは無くアイアンでも十分届く距離だった。
オナーのアスカがゴルフバッグからアイアンを取り出すと、シンジは慌ててアスカに1番ウッドを渡そうとした。

「アンタ、バカァ!?何を1番ウッドを渡そうとしているのよ。この距離なら6番アイアンでも届くじゃない」
「アスカ、ここは1番ウッドじゃないとダメなんだ!」

アスカはシンジを無視してティーショットの構えに入った。アスカはこのコースの事を軽く見ていた。
コーチのゲンドウが作成した資料によると、このコースは難易度10段階評価のうち、下から2番目だ。
1番ホールであっさりとバーディを取ったのがさらにアスカの慢心を強めていた。
アスカの第1打のボールは……アイアンで高い軌道を描き、前方にあった桜の木に引っ掛かり、池に落ちてしまった。

「何で、アタシのボールが木に引っ掛かるわけぇ!?憎たらしい桜の木ね!」
「だから、軌道の低い1番ウッドで木の下を潜らせるべきだったんだよ。3番ウッドでも引っ掛かった事あるし」

シンジは元ゴルファーとしてこのコースの恐ろしさを経験していたので、アスカに必死に1番ウッドを勧めていたのだ。
しかし、アスカの次にティーショットに立ったレイもアイアンを構えていた。不思議に思ったアスカが見守る中、レイが第1打を放った。
レイの放ったボールは左に大きく曲がって行き、右正面にせり出した桜の木を上手くすり抜けて、グリーンにワンオンした。

「きれいなドローボールだ。……彼女の武器だね」

シンジは感心したようにレイの事を眺めていた。アスカはそれが面白くなかったが、もっと面白くない事態がアスカを待っていた。
アスカのボールは池に落ちてしまった。よって、ウォーターハザードと言うことになり、
プラス1打のペナルティを課されて池に落ちた地点の側の岸から打ちなおさなければならない。
アスカの実質的な2打目は3打目ということになってしまう。アスカは3打目を上手くピンに寄せたが、カップに入れたのは4打目。
パーより1打多いボギー。レイは2打目をカップに沈めてパーより1打少ないバーディ。2番ホールで2打差がついてしまった。



続いて3番ホール。前のホールで一番良い成績だったレイがオナーとなる。
パー4のこのホールでは、シンジはフェアウェイの真ん中にある背の高い木が気になった。風も打つ方向から見て左寄りに流れている。
レイの1打目は華麗なドローボールで背の高い木の左をすり抜けて、フェアウェイの真ん中に着地した。

「アスカ、風に流されないようにもっと右寄りに角度をつけて狙ったほうがいいよ」
「アタシに考えがあるから、大丈夫」

アスカは不安そうなシンジを見送って、ティーショットの1打目を放った。アスカの打球は少しだけ右に曲がっている。
しかし、素人が見てもレイに比べて曲がり幅は少ない。風に流されたボールはよりによって木の真正面と衝突してしまった。

「コツーンだってさ、ガハハハハハ!」
「面白いものを見させてもらった」

観客から爆笑と大きな拍手が上がる。シンジは少し泣きそうな表情になって体を震わせるアスカの手をしっかりと握って安心させようとしながら歩き出した。
アスカの受難はまだ続いた。木が真正面にあるために、直接ピンを狙えないのである。このコースでのアスカのバーディは絶望的になった。
このホールでもレイはバーディを決めて、アスカとの点差は3打まで広がった。
続く4番ホールではお互いにパー。辛くも点差は広がらなかった。



その次は5番ホール。初めてのパー5だ。距離は長いが2打でグリーンに乗せ、3打目で入れればイーグルとなる。
オナーのレイはウッドを構えたが、1打目の飛距離は200ヤードを少し超えたところ。
アスカは2打でグリーンに乗せるため、出来るだけ飛ばそうと焦っていた。アスカの第1打は240ヤード近くまで飛んだ。
アスカはこのコースでの勝利を確信していた。レイは2打ではグリーンに乗せられないだろう。こちらは十分に狙える。
そんなアスカの様子を見てゲンドウは深いため息をついた。何のためにシンジがキャディをしているのだ。
全然アドバイスがされていないではないか。ゲンドウは二人が戻ったらたっぷり小言を言うことに決めた。
レイの2打目。打ちおろしのグリーンだったので、レイの打球はグングンと伸びていき、なんと2打でグリーンに乗ってしまった。
驚いたのはアスカだ。これでは差をつけられない。
アスカは2打目を打とうとボールのある場所に向かい、グリーンの方向を見て驚いた。
背の高い木が何本もアスカの前にそびえ立っていたのだ。

「もしかして、レイの打った地点がこのコースの正しいルートなの?」
「……残念だけど、木が邪魔で2打でオンは無理だね。手堅く回り道をしてバーディを取ろう」
「嫌よ!アタシはイーグルがいいの!」
「何を子供みたいな事を言っているんだよ!」

怒るシンジを無視して、アスカはピンを狙ってボールを打った。
当然の結果、木はボールに引っ掛かり、OBゾーンには落ちなかったものの、深いラフに落ちてしまった。
続く3打目も、深いラフからのショットをピンの側に寄せることは難しく、結局パーで終わる。
対するレイはイーグルパットは外したものの、きっちりバーディを決めてアスカとの点差は4打まで広がった。



次の6番ホール。レイは3番ウッドを構えて1打目を放ち、フェアウェイの真ん中に乗せる。
アスカは次こそは負けられないと、1番ウッドで思いっきりかっとばす。
しかし、アスカの打ったボールは軌道が低すぎて、木に引っ掛かってしまった。
さらに最悪な事に、そのせいでバンカーに落ちてしまう。ここからバーディを狙うのはかなり難しくなった。

「また木なの!木が憎たらしい!あの木めー、ちょんぎってやりたいわ!」

地団駄を踏んで悔しがるアスカに後ろからレイが冷たい声を掛ける。

「キーキーうるさいわね。赤毛猿」
「なんですってー!」

赤毛猿とはアスカにとって最大限の侮辱の言葉だった。レイに殴りかかろうとするアスカをシンジが必死に押し止める。
レイは常に冷静な選手として知られていた。レイが人の悪口を言うことなど珍しい事だった。
その原因はレイ自身もはっきりとはわからなかったが、おおよその見当はついている。それはシンジだ。
アスカに優しく微笑むシンジを見ると胸がモヤモヤする。同じキャディのカヲルには感じなかった事だ。
結局このホールもレイがバーディ、アスカはパーで点差は5打まで広がった。
コース移動の時、耐えきれなくなったアスカはシンジに寄りかかった。

「ねえシンジ。アタシはこのまま負けちゃうのかな?」
「アスカ、頑張ろうよ」
「だって、ゲンドウおじさまは世界最強の女子プロゴルファーじゃないとシンジとは結婚させないって言うし……」

その会話を聞いたレイの瞳が鋭く光ったのをカオルは見逃さなかった。

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Author:朝陽
二次創作SSを書くのが大好きです。
明るめの話を書く事が多いです。
読む方は暗めの話でもOKです。

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